お仕事ブログ

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コンピュータ将棋関連のこと

2013年04月20日 | Weblog
ずっと、しっくり来なかったことがあるんですよね。

コンピュータ将棋の関係者はこう言います。
(1)プロ棋士に勝って人間を凌駕したことを示したい。
(2)棋士にはコンピュータ対策ではなく、真っ向から戦って欲しい。うまく指されて負けるのが理想である。

(1)は話題作りとして有効であり、コンピュータ将棋のアピールや開発資金の捻出に大きな影響を与えるでしょう。
(2)は人工知能の進捗に寄与するために有益なサンプルになるという考えに基づいていると思われます。
勝ちたい、負かしてほしい。相反する望みは両立するのか。そんなことがあるわけはない。勝負に心震える人と、そうではない人は、種類が違うと分けて考える必要があります。どちらもそれが十割ということはなく、それぞれ割合があって、おそらく一徹の信念を持っている人はそんなにはいないはず。

先日、渡辺竜王がこんなことを言ってました。
「棋士はコンピュータ将棋の仕組みとかアルゴリズムは、正直言ってわからない。だから勝負として戦うしかない」。聞いたとき、これは至言だと胸に響いたんですよね。
たとえば入玉狙いのような、コンピュータ将棋の穴をつく技術も、必ず人工知能の発展に大きな影響を与えるものになるはず。いまはただ速度で人間を超えようとしているだけで、本当に重要なことは速度では絶対に埋まらないはず、と思うんです。
だから、「負かしてほしい」とか「良いサンプルが欲しい」というような血の通わない失礼なことは言わないでほしくて。先には先のことがあり、そのときに皆で考えればいいことでしょう。
むかし、羽生先生と谷川先生の将棋を見た升田先生が、「未だなり!」と一喝した逸話があって、その言葉がはたして技術的に本質を突いているかどうかはわからないけれど、少なくともコンピュータと人間の関係はそういう段階ではないはず。棋士は勝負しているんだから、コンピュータ将棋側も上目遣いでいながら上から目線というふうに気取らないで、勝ちと負けだけを言及すればいいじゃないですか。 

無知からの失礼な物言いがあったら申し訳ないのですが、僕の感覚ではそう思うんです。
明けて20日は日本将棋連盟モバイルで▲三浦弘行八段-△GPS将棋の棋譜コメントを担当します。経過、結果に関わらず、人間と人間の勝負として伝えられるように全力を尽くしたいと思います。ニコニコ生放送だけでも十分に楽しめるけれど、よろしければモバイルの方もよろしく。いよいよ最後。ライブ感覚で全身で堪能しましょう。
コメント (6)

ネット中継について

2013年04月01日 | Weblog
こんばんは。今日の昼に大阪競馬遠征から帰ってきて、ついさっき(23時)まで爆睡してました。
これでまた夜型生活になってしまったら困るな。でも「春眠暁を覚えず」っていうし、このまままた眠れるかな。

さて表題の件。
まずはご報告から。平成25年度末までで、将棋連盟のネット中継に関する業務から離れることにしました。「烏」という記者名がお目汚しするのは、あと丸一年ということです。
わざわざ皆さんにお知らせすることでもないのですが、長いことやってきましたし、ちょうどよい区切りなので一応。理由は以下に書いていきます。

(1)将棋連盟のネット中継事業が安定してきたこと
将棋連盟のネット中継業務が始まったのが5年前。自分はスタートからネット中継記者のリーダーという立場でお仕事をさせてもらってきました。
最初のころにはネット中継の仕組み作り(レベル制導入、中継記者公募など)のお手伝い。骨格が出来上がってからは中継記者の育成(技術やノウハウの指導、将棋界のルールやしきたりを教えるなど)、ネット中継の認知(棋士や関係者にネット中継を理解してもらう。当初は苦情や提言も多く、その都度説明、お願いをするなどの対応)が主な仕事でした。
技術やノウハウは多くの人の協力で質の高いマニュアルが出来たので、それを改訂しながら運用すれば大丈夫。中継記者や業務に対する認知と理解も一定のレベルで安定してきています。
これならネット中継記者リーダーとしての自分の役割を終わらせてもいいかなと考えました。

(2)中継記者としての自分の立場
将棋連盟のネット中継スタートから(リーダーという立場もあったので)、優先的に自分が中継したい対局を選ばせてもらってきました。具体的には、たとえばタイトル戦の日程が決まった時点で、電子メディア部から「7番勝負のなかで2~3局を選んでください」というような打診があり、「では第1局、3局、5局を」というやり取りです。特にタイトル戦は第1局が大事で(第2局以降に担当する記者がやりやすいように、関係者等に地ならしをしておく)、ここを担当することが多かったです。
将棋が好きな方ならわかると思いますが、【間近で観戦したい対局を選べる】というのは、あまりにも贅沢すぎること。自分はこの数年間で十分すぎるほど享受したので、来年度以降はより多くの記者にタイトル戦の舞台を経験してもらいたい。というか、これ以上続けていたらバチが当たります(笑)

(3)その他
・自分も今年の11月で35歳。それでもネット中継の現場業務という点ではまだ(技術、体力とも)衰えを感じることはなく、むしろ臨機応変に物事を対処する能力は向上している気がします。
問題なのはネット中継をしても体重が減らなくなったこと。以前はタイトル戦の遠征で美味しいものをたらふく食べても、体重を減らして帰ってきたものです。最近は効率的に(ずる賢く?)、汗をかかずに仕事をすることができるようになってしまったのか、体重が増えるんです。年をとって代謝が悪くなっただけかもしれませんが、自分のなかで体重の増減は中継記者を引退する目安と考えていました。
ですので、リーダーという立場だけ他の記者に譲って中継記者を続けるという選択肢はありません。そもそも自分が残ったら、新しく引っ張っていってくれるであろう人がやりにくいでしょうし。
もっとも来年度以降、リーダー制が残るのか、別の形になるのかはまだわかりません。僕としては自分がやってきたことにはいくらかの自負があり、いまいる他の記者が同じことが出来たかと問われれば(自惚れかもしれませんが)難しいと思います。ただネット中継事業開始から現在までにリーダーに求められる仕事と、これからの状況や環境で求められる仕事の質は変わってくるはず。新しい人が新しい文化を作る。人は流れ、場面は変わる。そういうことです。


ザッと、こんなところでしょうか。何か質問などあればコメント欄にお願いします。
個人的なことをいえば、これまでネット中継の仕事で得ていた収入はそのまま目減りすることになります。ネット中継から離れることを決めたのは自分なので仕方ないとはいえ、やはりそれなりの危機感は持たなくてはいけません(妻いわく「やめるのが一年遅い」。ちょっと変わってますよね)。
そうは言っても焦って別の仕事を入れて埋め合わせするのではなく、これまでネット中継に割いていた時間を、どんな形にせよ有意義に使うことを優先するつもりです。あ、観戦記の仕事は続けますので、その点はご心配かく。心配する人がいるかはわからないけれども。
ネット中継はあと1年。どうぞよろしくお願いいたします。
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