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第1回朝日杯将棋オープン(観戦記まとめ)

2008年06月26日 | Weblog
というわけで、第1回で僕が書かせてもらったweb観戦記を、ひとことコメント付きでまとめてみました。いわゆるブックマーク用です。

▲遠藤正樹アマ-△遠山四段(1次予選)【どちらも立派な将棋指し】

▲丸山九段-△鈴木大八段(本戦1回戦)【鈴木さんほど棋士らしい棋士はいないと思う】

▲佐藤康二冠-△郷田九段(本戦1回戦)【ネット観戦記じゃなかったら書けなかったかもしれない】

▲木村八段-△羽生二冠(本戦1回戦)【大差が大差にならないのが強さ】

▲丸山九段-△杉本七段(本戦2回戦)【感想戦で緊張しまくり】

▲佐藤康二冠-△行方八段(本戦2回戦)【行方さんは言語感覚が突出して素晴らしい】

▲羽生二冠-△佐藤和五段(本戦2回戦)【そのときは書けなかったけど羽生さん3連戦】

▲阿久津六段-△行方八段(準決勝)【阿久津さんの、いい意味での軽さは癒される】
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長い…しかしそれがいい

2008年06月22日 | Weblog
金曜日はA級の▲深浦-△郷田戦と、B級1組の中継担当でした。午前9時過ぎに将棋会館に行って、出たのは午前2時半頃。これでも早いほうですけど。
根を詰めて仕事しなきゃいけないときってsadomazoの世界に入りやすいものなんですが、中継は間違いなく後者です。千日手とか持将棋になると「もう好きにして」ってなります。
あと中継スタッフは、諦めの悪さと諦めの良さが重要かもしれません。最低限必要なこと(例えばネット接続とか更新とか)に対しては究極的に諦め悪く、個性の発露(写真や文体や、終電など)に関しては諦め良く。これが逆だとひどい事になりますよね。

さてさて。
最近気付いたことのひとつに、「将棋関係者のたいがいの人は僕が観戦記を書いていることを知らない」というものがあります。
対局者に挨拶したときに「あれ、観戦記は初めて?」と聞かれることは日常茶飯事だし、連盟内のお決まりの挨拶「今日は何?」に観戦記と答えると、ほぼ意外な顔をされるんですよね。そういえば去年くらいに、雑談のなかで「今度、羽生さんと佐藤さんの観戦記を書くんだけど」という話を片上さんにしたら「百年早いでしょ」と一刀両断されたりも。いや、まあ気持ちはよくわかるんだけども(笑)

僕の理想のひとつは、将棋連盟の棋譜データベースに観戦記が付記されて、それがいくらか遅れてでも一般の人が購入できるような環境になること。物理的には面倒くさがらなきゃ出来ることなんですが、超えなければいけないハードルは少なくないようです。
全ての観戦記が多くの人の目に触れ、そして賞賛酷評まみれた評価がなされる環境になれば、自然に観戦記全体のレベルが上がるはず。
僕は観戦記のレベルが上がることが将棋文化の成熟に繋がると考えているので、自分に出来ることは積極的にやっていきたい。そして、それを出来る環境を作ることが今の僕の課題なわけです。
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すみません

2008年06月19日 | Weblog
飲んで帰っての更新です。今日はいい飲み会でした。

前エントリーのコメント、そしてトラックバックと検索で見つけたいくつかのブログを見ました。ありがとうございます。個人的裁量で重く受け止め、今後の参考にさせていただきます。

諸々を踏まえて一つだけ。
ネット上でも紙でもなんでも、一度でいいから誰の迷惑も顧みない、出力100%の原稿を書きたい。今の力では、それがなかなか出来ない。いっそ宝くじでも当ててやろうかと思ったりもしますけどね。

コメント

観戦記について・その2

2008年06月14日 | Weblog
続きです。その1はこちら

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【▲6五歩】
封じ手は▲6五歩。予想では▲1六歩が本命、対抗は▲3七角。
衛星放送で解説をしている阿部八段、千葉女流王将は「一秒も考えませんでした」。予想外の封じ手に、控え室に戻ってきた立会いの有吉九段や報道陣も驚きを隠せない様子だった。

【△同歩】
この手で△1五角成は▲6四歩△同銀▲3七角△2五馬▲4五歩で先手相当。周囲の意表をついた▲6五歩だったが、佐藤はたいして時間を使わずに△6五同歩と応じた。

【▲同銀】
渡辺の指し手も早い。次に▲6四歩と押さえれば先手良くなるため、ここは△6四歩と打つだろう。
△6四歩には▲7六銀と引く一手。以下の狙いは▲3五歩からの桂頭攻め、▲7七金寄~▲5六銀~▲6八飛の転換あたりか。

【△6四歩】
▲5六銀は△5五歩でまずい。

【▲7六銀】
歩を手持ちにしたため、もう一枚歩があれば▲9五歩△同歩▲9三歩△同香▲9四歩の攻めが生じる。

【△1五角成】
馬を作るとともに、▲3五歩に△2五桂や△2五馬を用意している。

【▲7七角】
次に▲1六歩△2五馬▲4五歩の狙い。先に▲1六歩よりも含みが多い。
山崎七段は△2四歩と突いて「この瞬間は怖いですが、馬を3四あたりに持っていければ後手相当だと思います」。

【△2四歩】
控え室で有力とされているのは、▲2四同歩△2六歩▲4五歩△5三銀▲3五歩△2四馬▲2六飛の順。形勢自体は難しそうだ。

【▲1六歩】
検討が進んだ結果、「この手と▲2四同歩のどちらかしかなさそう。」(山崎七段)
なさそうというあたりに先手思わしくないというニュアンスが感じられた。

【△2五馬】
馬が3四に行ければ攻防に利いてくる。

【▲4五歩】
一本は筋。先手は角の利きを生かして3三桂を攻めなければしょうがない。
しかし5三に引いて二枚銀の好形が作れるため、後手も不満はないだろう。

【△5三銀】
△3四(1四)馬から△2五歩の筋が見えており、先手はかなり忙しい形。
4七銀を使えなければ勝ち目がないため、何か工夫したいところだ。

【▲5六銀】
思い切った銀上がり。多少危険でもこの駒を使わなければ勝負にならないとみた。次は▲3八飛~▲3五歩の桂頭攻めが狙いだろう。
昼食は、渡辺・ざるそば。佐藤・野菜天ざるそば。
先ほど控え室にやってきた田村康介六段は「(先手の囲いを)どうやって攻略すればいいんですか?攻め合いになったら振り飛車まずいので、2、3筋でよほど大差にしておかないといけません」
田村六段の予想は△3五歩。阿部八段は「打ちたくないですけど桂頭を守る△3四歩。理外の理ということもありますからね」。

※打ち上げの後の控え室。「△3五歩はいい手ですね。なるほど。」(佐藤)
「△3五歩は▲同歩△同馬▲3八飛△3六歩▲3四歩△同馬▲3六飛△3五歩▲4六飛△2五歩▲6五歩のつもりでした。▲6五歩に△同歩なら▲8六角で…2筋と6筋の勝負なんですが、あまり自信無かったです」(渡辺)

【△5五歩】
積極的な指し方。▲5五同角なら△5四銀直▲7七角△5一飛の要領で中央を制圧しにいく狙いだろうか。▲5五同銀にも△5一飛と転換し、そこで▲3七桂△3六馬▲2四飛といった順が検討されている。△5一飛のところでは△4五桂と跳ねる手も有力。
「いずれにしても押さえ込む将棋ではなく、捌きあう将棋でしょうね」(阿部八段)
ここで2日目の昼食休憩に入った。消費時間は渡辺5時間、佐藤5時間49分。

【▲同角】
渡辺は昼食休憩を挟み、1時間ほど考えて角で取った。

【△5四銀直】
歩を捨てた代償は中央からの盛り上がり。ここで▲6五歩△5五銀▲同銀のような強襲は、馬が質駒になっているとはいえ無理気味だろう。

【▲7七角】
普通に指すなら△5一飛から△5五歩。そこで▲6五歩と合わせてどうか。

※渡辺は△5五歩▲同銀△同銀▲同角△5一飛▲5六歩△5五飛▲同歩△4六角の筋を気にしていた。

【△5一飛】
△5五歩▲4七銀と引かされる形は辛すぎる。▲3七桂と跳ねて、△3六馬なら▲3四歩または▲2四飛という筋はあるが、後で桂が目標になる可能性も高い。

【▲6五歩】
△5五歩と打たれる前に一仕事しにいく。現在、先手の囲いは金銀4枚。後手は4二金が離れているため3枚。この差を生かすには玉頭戦に持ち込むのがベスト。

【△同銀】
アグレッシブに△6五同銀。こうなれば▲同銀右△同歩までは必然となる。

【▲同銀右】
先手は4二金の働きが弱いことと、2五馬の質駒がセールスポイント。

【△同歩】
放置すれば△4五桂や△6六銀から中央を狙う。

【▲8六角】
4二金に狙いを付ける。一回△6六歩にはどう応じるのだろう?
有吉九段と田村六段の検討では、△6六歩を決めるのは損になる可能性が高いため一回△5二金と寄せてどうかといわれている。

【△5二金】
先に△6六歩を決めるのは▲同金△5七飛成▲6七金引△5一竜▲7四歩△同銀▲6四歩で損得微妙のようだ。
いま検討されているのは、▲7四歩△同銀▲4二銀△6一飛▲5三銀成の順。
有吉九段「筋は悪いけど…田村さんどうですか?」
田村六段「ええ、嫌ですね」
有吉九段「こういう展開は引いてばかりで豪快じゃないですからねぇ。田村さんらしくないでしょう」

【▲7七桂】
じっと桂。5二金の瞬間は先手陣への脅威が薄れているため、こういった溜める手が有効になる。
現地で行われている大盤解説会で山崎七段は「△5五銀でしょう。間違いない」と断言。有吉九段は△3四馬を推奨している。
有吉九段「△5五銀は▲7四歩△同銀▲4二銀△6一飛▲5三銀成で山崎さんどうですか?」
山崎七段「うーん…確かに5五の銀がぼけているかもしれません」
有吉九段「さっきの検討では▲4二銀の筋でビチッと決まったんですよ。ねえ田村さん」
田村六段「いえ、ビチッとまではちょっと」
現在は△5五銀▲7四歩に△同歩の順が検討されている。

※有吉九段指摘の▲7四歩△同銀▲4二銀について。
佐藤「この手も考えました」
渡辺「いやー、上から攻める手が難しくなるので…いやいやわかりませんけど」

【△3四馬】
有吉九段は「私の感覚もまだぼけてない」とご満悦。山崎七段の表情には若干の陰りが見られた。
次に△4五馬と出れば、さっきまで質駒だった馬が主役になれそうだ。

【▲5五銀】
天王山に銀打ち。
有吉九段「5五に銀ですか。あれ?これはさっき山崎さんが言っていませんでした?」
山崎七段「僕の手は駒の向きが逆です…しかし5五が盤面の急所だということは証明できましたか」
有吉九段「そう、ここは急所ですねぇ」
田村六段「竜王良しは間違いなさそうです」
有吉九段「あぁ、そうですか」

【△6六銀】
やはり5筋、6筋が急所。ここの勢力争いを制した方が優位に立つことができそうだ。
佐藤「ここは好転したかと思ったんですが…」

【▲同金】
銀で取るのは△同歩が先手になる。ここは攻め合いを目指して▲同金。

【△同歩】
▲6四歩は見えているが、もう後戻りはできない。

【▲6四歩】
両者の指し手は早い。

【△4五桂】
控え室では△5七桂成が早いため後手乗りの見解が多かったが…。

※この手に対し▲6三歩成は「△同金左が幸便なので」(渡辺)。「ええ、勝ちそうですよね」(佐藤)

【▲6六銀】
歓声が上がった。有吉九段は「さすがタイトル戦ですねぇ」としみじみ。

【△6四銀】
出たてきたら攻める。引けば手を戻す。

【▲7四歩】
6六銀、7六銀、8六角の三枚の並びが絶品。控え室の見解は渡辺優勢。

【△6三金左】
飛車筋を通しつつ銀を守る一石二鳥の一手。とはいえ、ここで▲6五歩と打たれると△5七桂成しかなく、スピード勝負は避けられない。

【▲7三歩成】
控え室の形勢判断は行ったり来たり。ギリギリの大熱戦ということだろう。

【△同銀】
▲7九歩、△7一歩の底歩が利くため、どちらの玉もそう簡単には寄らないようだ。

【▲4二角成】
角が移動することで上部への逃げ道が広がる。衛星放送で山崎七段は△5七飛成▲同銀△同桂成の強襲を推奨。控え室に戻ってきて「後手が勝ちやすい将棋だと思うんですけど…」。

【△5四飛】
△5七飛成では足りないと判断。もう一回飛車を追わせてから決行するつもりなのかもしれない。

※この手に代えて△5七飛成は▲同銀△同桂成▲6一銀△7一金打▲7二銀成△同金で「あまり考えなかった。一手もわかりません」(渡辺)。「△5四飛浮いてからは自信ありません。△5七飛成もよくわからない」(佐藤)

【▲6一銀】
気付けば後手陣は矢倉。となれば矢倉崩しの銀打ちが有効になる。
▲7二銀成と金を取る手は、危険地帯に玉をおびき出す大きな手。できれば7二の地点で取らせたくない。

【△6二金打】
△7一歩も検討されていたが、▲8五桂が攻防手になるため損得微妙。一般的に金は守りと詰め、銀は敵玉に迫るときに活躍する。ここでの金銀交換が今後にどう影響してくるか。
ほぼ▲7二銀成の一手の局面で渡辺はなかなか指さない。▲7二銀成△同金の局面で考えると相手が楽になるため、3手後にノータイムで指す準備をしておこうという勝負術だろう。
検討が進み、山崎七段、田村六段は▲6五銀左で渡辺乗りとのこと。▲7二銀成を保留するのは▲6五銀左△5七飛成▲同銀△同桂成のときに▲6四歩が利くという意味。先に金を取っては△6二金引とされて大変だが、取ってなければ△6二金引がない。また、▲6五銀左△5七飛成以下、どこかで△6一金と取られることになっても▲3一飛で取り返せる。
「むしろ▲6五銀左が本線です」(山崎七段)

【▲6五銀左】
控え室では▲7二銀成△同金▲6七金打も有力視されており、「▲6七金打は大山先生みたいな手ですね」と有吉九段。たしかに金を打てば先手玉への攻めが完全にシャットアウトされる。
渡辺が力強い手つきで▲6五銀左としたのを見ると、一同で「大山先生の域には達してない」。

※▲7二銀成△同金▲6七金打は、「ひえー、こういう発想は無かったですよ。考えてないんじゃしょうがない」(渡辺)
佐藤「これは…△6四歩と打つつもりでした。傷を消しておいて、わりと自信ありました」(佐藤)
むしろ▲7二銀成△同金▲6五金が優ったようだ。以下△5七飛成▲同銀△同桂成▲7四歩で、「金を手放すと攻め駒不足になりそうなので指しにくかった。しかしこっちだったか」(渡辺)

【△5七飛成】
佐藤は残り2分まで考えて突進した。

【▲同銀】
△5七同桂成のときに何を指すかが問題。残り時間の少ない佐藤は60秒ギリギリで着手するだろう。

【△同桂成】
ここで▲6四歩に△6二金引と出来ないのが93手目▲6五銀左の効果。

【▲6四歩】
控え室の予想通り進む。有吉九段は「まだどっちがどうなってるかわかりません」

【△6一金】
▲6三歩成△同金▲4一飛が馬と金の両取りだが、その瞬間に△7八馬がある。

【▲6三歩成】
▲7二銀成を決めなかったことで後手陣を乱すことができた。先手玉は底歩が利くため、そう簡単には寄らなそうだ。

【△同金】
盤面の最急所は3四の馬。

【▲7九歩】
「ここで受けに回るのでは変調かもしれません」(有吉九段)

【△7二銀】
この銀打ちで再び中盤に戻ったような印象。長引けば持ち歩の差が出てくるとの大局観だろう。

【▲3一飛】
最急所である3四馬の動向を聞く。

【△4四馬】
攻防の好位置へ。先手は歩が無いため、△6六歩や△6七歩が厳しくなっている。

【▲2四飛】
歩を補充しつつ、4四の馬を質駒に。4四馬がいなくなれば鉄壁の後手陣にも寄せが見えてくる。

【△6六歩】
この手が一番早い。▲6八歩なら△6七歩成~△6六歩~△6七歩がある。

【▲6八歩】
やはり6七にと金を作らせるわけにはいかない。△6七歩成▲同歩△6六歩▲同歩△6七歩は、馬の筋が止まる。その瞬間が勝負。

【△6七歩成】
先手が6、7筋に歩を打っているため、後手玉への攻めが制限されている。

【▲同歩】
ここ数手は佐藤の言いなりになるしかない。再度の△6七歩の瞬間までは。

【△6六歩】
時間の無い佐藤は50秒を読まれてから着手。必然手の場合も最大限時間を活用する。

【▲同歩】
渡辺は相手に時間を与えないため、早めに着手する。

【△6七歩】
さあ勝負どころ。

【▲5二金】
着実だが、後手に駒を渡すためやや危険か。しかし代わる手も難しい。

【△6八歩成】
強く攻め合いに。△5一歩の受けは▲6一金△同銀▲5一馬でスピードアップする可能性がある。

【▲6一金】
急所に迫っているが、金が質駒という側面もある。

【△7八と】
かなり迫られているが、4二の馬が受けに利いているため案外しっかりしているようだ。

【▲同歩】
佐藤はここで一分将棋に。

【△6七成桂】
次に△6六馬が厳しいが、先に▲4四飛がある。

【▲4四飛】
決断。もう双方の玉は補修が利かない形になる。

【△同歩】
▲7一角と打っても後手玉に詰みはない。しかし▲7五馬など攻防に利かす手があるか。

※大盤解説会から戻ってきた山崎七段は「▲7一角ではなく▲7一金でわかりやすい勝ちだと思います。」ところがしばらくすると「いや、いやいや、危ないのか。金を渡すと危ないんですね」。
しかし終局後に「やはり▲7一金△6一歩▲7二金で勝ちでしょうね」と山崎七段。以下△同玉に▲3四角が攻防手。これは渡辺も認めていた。

【▲7一角】
普通は美濃囲いに▲7一角と打ち込んだら寄り筋としたものだが…。

【△9二玉】
7三銀型は大山十五世名人が好んで指した美濃囲い。そう簡単には寄らない形だ。

【▲7五馬】
後手玉に詰めろをかけつつ、先手玉の上部を厚くする。

※渡辺「そうか、馬引きが悪手だったか。本譜は忙しくなって最悪だった」。
この手では先に▲8五桂と跳ね、△8二銀打▲7五馬△8四金▲9五歩で勝ちと感想戦で言われていた。感想戦が終わり、部屋で着替えてから控え室に来た渡辺は「あれ?▲9五歩に△7五金ってどう勝つんだっけ?」。
▲9五歩以下△7五金▲9四歩△7七角▲同歩△5八飛▲9七玉△9六歩▲同玉△9五歩▲9七玉△8五金の順は後手勝ち。渡辺は首をひねりながら打ち上げの席に向かった。
数時間後、控え室に戻った佐藤は「▲8五桂に△8二銀打は▲7五馬△8四金▲6二金△同金▲9三金△同桂▲同桂成△同玉▲8五桂△9二玉▲8四馬で勝ちなので、途中の▲7五馬には△8四銀打とするしかない。しかしそれも▲6二金と引かれてはっきり負けです」。
週将の記者にそれを聞いた渡辺は「なるほど、変化の余地ないですね」。

【△8四銀打】
▲8五桂がまた詰めろ。銀を使ったため、△7七金~△7八飛のトン死筋も消えた。

【▲同馬】
逃げては駄目と見た。控え室は△同歩でどうするのかわからない。

※「切る手は全く読んでませんでした。慌てましたね」(佐藤)

【△同歩】
渡辺もここで一分将棋に突入。

【▲9五歩】
ここで△6一銀なら勝ち。△8三玉は「負けたら敗着でした」(佐藤)
△6一銀に▲同飛成は△7九角▲同玉△6九飛▲8八玉△7八成桂▲同玉△6七金▲8八玉△7八金打以下詰み。
△6一銀に▲9四歩も、△8九金から即詰みがある。

【△8三玉】
控え室では佐藤勝ちの声が出ているが…

【▲6二金】
※▲8二金以下の詰めろ。この手が利くなら渡辺勝ちかと思われたが、そう簡単にはいかなかった。

【△9五歩】
もう検討が追いつかない。

※この手が自玉の詰めろを消しながら先手玉に詰めろを掛ける必殺手。仮に▲7二金なら△7九角▲同玉△6八金以下6三の金がよく利いて詰む。

【▲8二金】
この手に代えて、▲6三金が詰めろ逃れの詰めろ逃れの詰めろだった。
先手玉は△7九角▲同玉△6八金▲8八玉△7八金▲9八玉△8八飛▲9七玉△9六歩▲8六玉△8七飛成▲同玉△7七成桂▲8六玉△8五歩▲7五玉△7四歩▲同銀△同銀▲6四玉△6三銀上▲5三玉で逃れ。6三の金を取っておけば詰みがなく先手勝ち筋。

【△9四玉】
※ここで▲9五香△同玉▲8六銀△9六玉▲9七銀△9五玉▲9六歩△9四玉▲7二金右があった。先手玉に詰みが無いため△7七成桂▲同玉△8五桂と迫るが、▲8八玉と引いて難解な将棋。
(その後の検討では△8五桂に代えて△9九角で後手勝ちが確認された)。
△9四玉のときに▲6三金と取るのは、△8九金▲同玉△6九飛と打たれて金合いしかなくトン死。
打ち上げの席で渡辺と山崎が▲7二金左を検討していたが、△7九角▲同玉△6八金▲8八玉△7八金▲9八玉△9六飛▲9七歩△7七成桂▲6七角△7六桂で後手の勝ちと結論付けた。「僕は酔っていたので怪しいです」(渡辺)。ちなみに山崎は素面だった。

【▲7二金右】【△7九角】
※佐藤は即詰みだと思って王手を掛けたという。

【▲同玉】
先手玉に詰みはないが、△8二銀と手を戻す筋がある。

【△6九飛】
控え室は△6八金▲8八玉△7八金▲9八玉△8八飛▲9七玉△8七飛成▲同玉△7七成桂▲9七玉に△8二銀で勝ちと見ていた。

※「ええ、△6八金で駄目だと思ってました」(渡辺)

【▲8八玉】
※佐藤の読み筋は△7七成桂▲同玉△8五桂で詰みというもの。しかし△8五桂に▲7六玉と逃げ△7五歩▲8六玉△6六飛成▲7六銀打で不詰め。「ひどいですね」(佐藤)。「最初は詰みかと思って観念したが、詰まないことに気付いて、やってきてくれないかなと期待しました(笑)」(渡辺)

【△8九金】
これは「△6九飛は佐藤さんポカじゃないですか?もっと安全に勝てそうだったのに」と田村六段。

※田村六段の見立ては正解だったようだ。

【▲9七玉】【△8二銀】
※寄せ間違えた佐藤だったが、この手でギリギリ残っていた。

【▲7六角】
後手は△8五歩の一手。

【△8五歩】
※これで逃れている。以下変化はあるものの後手勝ちは動かない。

【▲同角】
控え室は△8四玉で佐藤勝ちと結論を出した。

【△8四玉】【▲7五銀】【△同玉】【▲7六銀打】
控え室は検討が打ち切られ、モニターの前でフィナーレを見守っている。

【△6六玉】【▲4四角成】
△5七玉なら▲8六玉で上部開拓を目指す。渡辺はまだ諦めていない。

【△5五歩】【▲8六玉】【△8四金】【▲5五馬】
△同玉は▲3五飛成△4五歩▲6三角成で勝負する。

【△同玉】【▲3五飛成】
△4五歩▲6三角成には、△7五銀から詰みがある。渡辺万事休す。

【△4五歩】【▲6三角成】【△7五銀】【▲同銀】
△同金▲同玉△5七角▲7四玉△8三銀打▲8五玉△8四銀▲7四玉△7五角成までの詰み。変化はあるが全て詰んでいる。

【△同金】【▲同玉】【△5七角】【投了】
この手を見て渡辺投了。▲7四玉は△8三銀打、▲8六玉は△7五銀以下即詰みとなる。162手、双方一分将棋。控え室で何度「名局だ…」の呟きが聞かれたかわからない。

※感想戦が終わり両者が一礼したあと、渡辺は大きく首をひねり、それから2度3度とうなずき、やはり納得がいかないのか再び首をひねっていた。
佐藤は検討の最中、何度か渡辺を見やって楽しそうに微笑んでいた。あくまで主観なのだが、その表情からは仲の良い遊び相手を見ているような親密さが感じられた。語弊を恐れずに書くと、佐藤は本局で渡辺の力を本当に認めたような気がした。少なくとも、これまでの渡辺-佐藤戦のベストマッチであることは間違いないだろう。
打ち上げの後、控え室の奥は佐藤が記者を相手に解説。渡辺は手前でインターネットを見ていた。対局者が同じ空間に長時間いるのは珍しい。
佐藤は0時過ぎに自室に帰っていった。渡辺の退室は1時49分。渡辺は佐藤がいるときも帰ったあとにも、「今日の負けは熱い!もう一番!」とおどけた調子で繰り返していた。

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重くてすみません。どんな方面からの見解でも、思ったことなどコメントしていただければ幸いです。よろしくお願いします。
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観戦記について…など

2008年06月14日 | Weblog
棋聖戦第1局の、梅田望夫さんのリアルタイム観戦記は、とても面白い試みだと思いました。
最初にグッと読み手を引き付けて、途中は「あらら大丈夫?」とハラハラさせながらも、最後は無事にフィニッシュ。
サラッと言ってしまうけれど、観戦記者や将棋ライターと呼ばれる人たちの水準を楽に超えた作品だったと思います。(と言われて腹を立てる人はどのくらいいるのだろう?)

後日、産経新聞に梅田さんの感想記が載るそうですが、こちらも注目されるでしょう。インターネットから新聞(紙媒体)への呼び水になり得るのならば、今後は別の方面からのアプローチもできそうですね。

そうそう、リアルタイム観戦記ということで言えば初期の名人戦中継で青葉記者がやっていたものが素晴らしかった。もうネットギャラクシーのブラックホールに入って出てこれないんでしょうか。もったいない。


さて、ここで急に、第19期竜王戦七番勝負第2局の▲渡辺竜王-△佐藤挑戦者の棋譜とコメント欄を貼り付けます。

梅田さんが書かれたコラムがリアルタイム観戦記と呼ばれるなら、ネット中継の棋譜コメントはどういうものなのか?どちらも観戦しながら書いているから観戦記?それとも棋譜コメントは観戦記とは認められない?などと色々考えた挙句、見ている方々に判断を仰ごうと思ったわけです。
なぜこの将棋を選んだかというと、(1)竜王戦の棋譜、コメントは誰でも見ることができるソース。(2)自分が担当したもの。(3)やっぱり名局がいいでしょ。の3点から選出されました。
棋譜コメント自体の字数は13000字ほど。出来れば将棋盤に並べながら、一手一手進めて堪能してください。このご時勢、便利だけが正義というわけではないと思うので。では行きます。

と思ったら、このブログは10000字以上はダメなんですね。ははは、本文と合わせて14000字はアウト。というわけで、まず半分だけ。

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第19期竜王戦第2局 場所:富山県宇奈月温泉
開始日時:2006/10/31 9:00 終了日時:2006/11/1 19:51
持ち時間:8時間 消費時間:162手▲7時間59分△7時間59分
▲渡辺 明竜王
△佐藤康光棋聖

【開始局面】
サンフランシスコでおこなわれた第1局は挑戦者の佐藤が制した。渡辺が勝って追いつくのか、それとも佐藤が離すのか。注目の第2局は富山県黒部市宇奈月温泉にて行われる。両者の過去の対戦成績は渡辺1勝、佐藤5勝。
両対局者とも若干小ぶりな駒を気にしていたが、立会いの有吉九段がうまくまとめて無事に検分を終えた。
本局の記録係は村田顕弘三段(20歳・中田章道六段門下)。
棋譜・コメント入力は烏。
※印は感想戦での模様、局後に書かれたコメント。

【▲7六歩】
渡辺が初手▲7六歩を指し、立会人、報道陣が退室。

【△3四歩】
相矢倉を目指すなら△8四歩。読売新聞に掲載された展望記事で、森内名人は佐藤棋聖のゴキゲン中飛車がありそうと予想していた。

【▲2六歩】
独創的な将棋を指す佐藤。どのような戦型になるにせよ、先手番の渡辺は堂々と構えるしかない。

【△5四歩】
森内名人の予想が的中。佐藤は第2局にゴキゲン中飛車を持ってきた。

【▲2五歩】
5筋の位取りを牽制する。仮に△5五歩なら▲2四歩から飛車先交換をして不満なし。

【△5二飛】
ここで▲2四歩は△同歩▲同飛△8八角成▲同銀△2二銀で、わずかに振り飛車ペースとされている。

【▲2二角成】
丸山九段が指したことから「丸山ワクチン」と呼ばれている指し方。
角交換は手損だが駒組みを限定させる意味がある。

【△同銀】
△2二同飛は▲5三角から馬を作りにいき先手十分。

【▲9六歩】
第23回朝日オープン準々決勝の▲佐藤-△山崎戦で初めて指された佐藤新手。立会人の山崎七段は当時を振り返り「すぐには意味がわかりませんでした」と語ってくれた。ちなみにその将棋は山崎七段が勝利を収めている。

【△9四歩】
佐藤新手▲9六歩は、▲7八銀と上がったときに▲9七香と逃げる余地を作っている。
△6二玉、△3三銀の実戦例もあるが実戦の△9四歩が現在の主流。

【▲7八銀】
左美濃を視野に入れた銀上がり。もちろん▲6六歩~▲6七銀と中央に手厚く構える指し方も考えられる。

【△7二金】
△5五歩に▲6五角と打たれる筋を消した金上がり。この手は奨励会の竹林俊太郎二段が好んで指していた。公式戦では遠山四段が朝日オープンのアマプロ戦で加藤幸男アマを相手に指したのが一号局。一瞬壁金だが、△6二銀と上がれば中央に厚い陣形となる。

【▲6六歩】
△5五歩に▲6七銀を用意。そうなると中央から攻めるのが難しくなるため、△3三銀から向かい飛車にする指し方が有力といわれている。

【△6二銀】
壁形が解消され、6一~7一と玉が逃げるルートができた。

【▲6八玉】
後手が壁を直したことに呼応して、先手も玉形の整備に入る。
この手で▲2四歩は△同歩▲同飛△3五角の反撃でまずい。

【△3三銀】
△3五角の反撃が無くなったため▲2四歩を受ける。

【▲4八銀】
居飛車は右銀の活用が重要。この駒の働き如何で形勢が左右するといっても過言ではないだろう。

【△6一玉】
この局面は過去に3局指されており、次の一手はいずれも▲4六歩だった。
渡辺は扇子を握りしめ、前傾姿勢で盤に向かっている。

【▲3六歩】
▲3六歩は新手。向かい飛車にしたあと、△3五歩▲同歩△4四銀の攻め筋が発生するため指しにくい手なのだが…。前例が無いため、渡辺の新構想を見守るしかない。
△5五角の筋は▲3七銀△6六角▲7七銀△4四角▲4六銀と対応し、歩損を手得プラス持ち角で補うことができる。

【△8八角】
▲3六歩を真っ向から咎めにいく一手。一見▲7七角と打たれて意味が無いように映るが、△同角成▲同玉△6四歩から玉のコビンを狙う筋がある。3六歩型のため玉と飛車がラインに入り受けにくい。
△7七同角成に▲同銀なら先手玉は美濃囲いに組むことができなくなる。手損以上に形を乱した得を主張するつもりだろう。

【▲7七角】
ひとまずは角を合わせる一手。

【△同角成】
佐藤の△8八角に記者陣が驚きの声を上げると、奥で練習将棋を指していた立会いの有吉九段と山崎七段がモニターの前へやってきた。

【▲同銀】
やはり▲同玉は危ないとみた。新手が出たにも関わらず、両者とも指し手に淀みがない。研究の範囲内と見て間違いなさそうだ。

【△2二飛】
玉形を乱してから向かい飛車へ。渡辺は常に△2四歩の仕掛けを気にしつつ進めなければならない。「すぐに▲7八玉は△4五角の筋があるので指しにくい。第一感は▲4六歩ですが、△4四銀から△3五歩の筋があるので…佐藤棋聖は積極的に動くつもりだと思います」(山崎七段)

【▲4六歩】
山崎七段の第一感の手。先手が自陣をまとめるまで、しばらく時間がかかるかもしれない。

【△7一玉】
一段目に飛車を打ち込まれた場面を想像すれば、6一玉と7一玉の安全度の違いがよくわかる。

【▲4七銀】
4八にいたままでは働きが悪い。▲3七桂の活用、▲5六銀~▲6七銀と固める指し方を視野に入れている。

【△4四銀】
▲3七桂なら△3五歩▲4五歩△3六歩▲同銀△3二飛で後手良し。先手は早く玉を安全な場所に移動したい。

【▲7八金】
▲7八玉~▲8八玉の囲い方では、2手進めたところで6九金が浮いてしまう。▲7八金~▲7九玉なら怖いのは玉が6八にいるこの瞬間だけ。玉が露出した危険な状態は、相手の手が進まないうちにサラッとやりすごすのがセオリーだ。

【△3五歩】
控え室では「佐藤さん元気あるなぁ」と感心する声が上がった。後手玉は6一と7一で大違いだが、先手玉は6八と7九で大違い。相手の玉形が悪いときに動くのが戦いの基本だ。
反発するなら▲4五歩△同銀▲3五歩の銀挟みだろう。そこで△5五歩なら▲1八角と打って先手優勢だが、△5五歩ではなく△6四角と打つ筋がある。
妥協するなら▲3五同歩△同銀▲3六歩。何でもやってこいと開き直るなら▲7九玉だろうか。
この局面で昼食休憩に入った。消費時間は渡辺1時間10分、佐藤2時間4分。

【▲7九玉】
やってこいの▲7九玉。この手は山崎七段が推奨していた。再開後すぐの指し手に「決断がいいですね。8時間あったら3、40分考えそうなものですけど」と山崎七段。

【△8二玉】
3筋には触らず玉を入る。ここまで囲えば存分に暴れることができそうだ。

【▲8八玉】
渡辺も入城。早く4九の金を玉に近づけたいが、△3六歩▲同銀△3二飛の攻めがあるため簡単にはいかなそうだ。

【△3六歩】
本来なら決断の一手なのだろうが、常に積極的な佐藤が指しているため自然に映る。

【▲同銀】
一直線に進めると、△3二飛▲4七銀△3五銀だろうか。そこで▲2四歩と突き、△同歩なら▲3六歩で先手良し。しかし形悪くとも△同銀と辛抱されて後続手が難しい。

【△3二飛】
4九金を使いやすくする意味で▲3七歩も考えられるが、桂の跳ねる場所に歩を打つのは抵抗がある。

【▲3七歩】
指し手がパタパタと進む。双方予定通りなのだろう。

【△2二飛】
歩を打たせて飛車を戻す。「歩を打ちたくないので▲2六飛と浮いて頑張りたかったですが…▲3七歩△2二飛の進展は後手がポイントをあげたと思います」(山崎七段)

【▲5八金】
「先手は▲7五歩と位を取って指したい。5八の金も三段目まで上がりたいのですが、3筋の歩が切れているので△3八歩のような手が気になってきます」(山崎七段)
佐藤は体を左右に揺らしながら黙考している。ここまで早いペースで進んできた本局も、午後に入ってやっと落ち着いてきたようだ。

【△3三桂】
どんどん前に出るのが佐藤将棋。歩を3七に打たせているため、桂頭を狙われる心配がない。
先手から攻めるなら▲4五歩△同銀▲4八飛のような筋だが、△6九銀の割り打ちがあり無理筋だろう。

【▲7五歩】
後手は手持ちの歩、3三桂の働きなど主張できる点が多い。一方の先手はこれといって主張できる点がない。
▲7五歩は主張するポイントを作る考え方。理想は▲8六歩~▲8五歩と伸ばして銀を4七~5六~6七~7六と持っていく感じだろうか。

【△4二金】
「△2一飛を先にすれば無難だと思うんですが。しかし▲2四歩△同歩▲3一角の筋はやらないだろうから関係ないですか。▲3一角に△3二飛▲4二角成△同飛▲2四飛…そこでどう指すか。感覚的にはやりにくいです」(阿部八段)

【▲4七銀】
渡辺は誘いに乗らず銀を引いた。

【△2一飛】
△4二金・△2一飛は隙のない好形。ここからは玉側の厚みを争う戦いになりそうだ。

【▲3六歩】
部分的には相当な手損だが、局面の流れが収まれば手の損得は関係ない。
さっきまでは明らかに後手十分という流れ。しかし「先手は指したい手が多く、後手は手詰まり。長引くと後手まずそうですね。先手持ちです」(阿部八段)
「うーん、他人の将棋なら△2五桂▲同飛△2四歩といきたいところです。しかし▲2八飛△2五歩▲3七角くらいで、▲7四歩を狙われて無理筋ですか」(山崎七段)
ここにきて、渡辺の作戦巧者ぶりに感嘆の声が上がっている。

【△6四歩】
渡辺の注文である息の長い戦いに応じた手。動く手がないのであれば仕方ないが、決して本意ではないだろう。
持久戦になれば7五の位がビカビカに光ってくる。

【▲6七金右】
金を上がる形は、2筋を絡めて△4九角や△6九角の筋が気になる。大丈夫なのだろうか。

【△6三銀】
佐藤はノータイムで△6三銀。どうやら速攻はないようだ。

【▲7六銀】
「位を取ったら位の確保」。先手は7五の位を守り、▲8六歩~▲8五歩と伸ばしていく。後手は…指し手が難しい。

【△5九角】
「先手は▲6五歩から歩交換できるので、後手はじーっと待つ作戦が使えない。△5九角は放置すれば△1五角成、▲1六歩には△2五桂▲同飛△4八角成の狙いです」(山崎七段)
衛星放送が始まり、阿部八段は▲1六歩に△3八歩を推奨しているのを見て「なるほど、△3八歩もありますね」と山崎七段。
有吉九段と山崎七段が話していた予想手順は、▲1六歩△3八歩▲同飛△2六角成▲2八飛△2五馬▲4五歩。以下△同銀は▲3七桂、△5三銀でも▲3七桂△3四馬▲4六銀の要領で馬を目標にしていく。
この局面で規定の時間になったため、渡辺竜王が次の一手を封じて一日目が終了。消費時間は渡辺3時間14分、佐藤4時間18分。

その2へ続く)
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将棋世界7月号

2008年06月10日 | Weblog
午前中に落ち着いた時間がとれたので、流し読みだった将棋世界7月号を読み直しました。
いろいろ感想を書こうと思ったんですが、そろそろ出かける準備をしなければいけません。なので話題になっている、橋本七段と阿久津六段の順位戦予想について少しだけ。

先日、とある棋士の方に「後藤君は、あの記事を見てどう思った?」と聞かれました。僕のそのときの答えは「怖いもの見たさに、前期のB級2組の順位戦の表を見直した」でした。まだ流し読みの状態だったし、それほどきちんとは読んでいなかったので。

いま改めて読んでみて思うのは、橋本さんや阿久津さんは、将棋世界からの依頼があったから踏み込んだことを話したんだろうということ。
まさか自分から「予想させてください!」と売り込んだとも思えないので、依頼の意図を読んで発言したのでしょう。

もちろん将棋世界編集部も、「みなさん強いですし、誰が上がっても不思議はありません」という記事にしたいのではなく、彼らなら面白いことを話してくれるという期待があったから依頼したはず。

発言すれば、良くも悪くも反響があります。よくぞ言ってくれたと思う人もいれば、棋士間でアイツらにだけは負けないという雰囲気になるかもしれない。なんにせよ話題になって活気が出るのは良いことと考える人もいると思う。発言した側は、全部受け入れるしかありません。

ここで提案。将棋世界はいっそのこと下のような記事を掲載して、二人の順位戦を追いかけるというのはどうでしょう。このまま言わせっぱなし、言われっぱなし、結果だけ見てもらうというのは、わだかまりだけ残ってしまうような気もしますし。

・B級2組1回戦の橋本-阿久津戦の自戦記(どちらかでも、両方でも)。
・B級2組の棋士の、対橋本、対阿久津戦の自戦記
・前半5回戦を終えての両者の手応え。
・それに全日程を終えたあとの感想(それが昇級の記になったらカッコイイすね)。

少なくとも僕はそういう記事が読みたいし、きっと見応えのあるものになるはず。当事者が書く、書かないはともかく、発言する場所を用意するのは必要じゃないかなと思います。
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おみやげなど

2008年06月10日 | Weblog

(馬と餃子)


(ウサギと餃子)


(とある原石)


最近見た将棋の中で面白かったのは、5月27日の桐山九段-矢倉六段戦。桐山玉の「僕はここにいるのに…」という呟きが聞こえてきそうな感じでした。
ちなみに餃子の名前は「ぎょうちゃん」だそうです。決してみょーちゃんではありません。

【おまけ】

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備忘録のようなもの

2008年06月09日 | Weblog
まずは訂正から。
下の【先週の土曜日】は、【先週の金曜日】の間違いでした。今となっては先々週なんですけども。

どうも最近は時系列が曖昧なので、一日ずつ振り返ります。

【8日】
朝から教室対抗戦のお手伝い。クラブカップ、キングカップ、ドラゴンカップとあって、僕はドラゴンカップの審判長という重要なポストを任されたのですが、スタッフの皆様に助けていただいてどうにかこうにか。ありがとうございました。
終了後に少しだけ打ち上げに参加させてもらったものの、ビールは飲めず。この後に大和証券杯のお仕事だからね。こう見えて、そのあたりは真面目なんです。飲まないとわかってて「まあまあまあ」とビールをすすめる某竜王は、なかなか素敵な性格してますな。くっ。

大和証券杯第2回最強戦の木村八段-阿久津六段戦は、解説兼立会いの北浜七段が「将棋は素晴らしい」と連発する名局でした。
感想戦終了後に、木村さんと阿久津さんが事務室に戻ってきて、北浜さんと3人でしばらく終盤の変化を話していたんですが…こういうときの棋士の会話は宇宙語ですね。本当はこういう場面を動画で配信できれば面白いんでしょうけど。


【7日】
午前4時に、週将の原稿を書き終えた相崎さんと将棋会館を出て、代々木で始発までビールなど。僕はB級1組の中継終わりで。
帰ってきて昼まで寝て、起き抜けに競馬を少々。上半期がもうすぐ終わりますが、下手すると負け分が大台に乗りそうで涙目。まあ勉強だと思って、長い目で見守ることにします。って他人事みたいだ(笑)

【6日】
木曜?

【5日】
こっちが木曜?ああ、6日は金曜ですか。金曜はB級1組のネット中継。5日は何だろう?たぶん月曜に取材した将棋の原稿書いてました。

【4日】
ここも諸々の原稿書き。原稿書くのが好きなのはいいんですが、そのせいで過剰に何パターンも書いてしまうんですよね。もう少し明確なビジョンを持って臨みたいのに、あれもこれもと欲張ってしまうんです。だから取捨が大事。

【3日】
日中は国立の教室。夜は久しぶりの焼肉。もはや常連になっているこの焼肉屋は、値段と価格がいい意味で釣り合わない優秀店。行くたびに「いいんですか?」と聞きたい衝動にかられます。さ、行きたい人は挙手挙手!

【2日】
中川七段-北浜七段戦の観戦記。終わったあとに3人で近場で軽く。観戦記はほんと難しいです。当たり前だけど、物を書くという作業は常に取捨との戦い。棋士との、読者との戦い。そして何よりも自分との戦い。せめて、何があっても起こっても胸を張って出せる原稿を書きたい。
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最近のことを、いくつか

2008年06月03日 | Weblog
【先週の土曜日】
石川町にてライターの古田さん、相崎さん、美人編集者、美人女子大生と飲む。この店はビールを量り売りするので、必然的にビール量が多くなる。ははは、ビール腹とはこのことか。はははは。

【先週の日曜日】
阿佐ヶ谷の棋友館経由で、新宿の京王プラザホテルへ。
棋友館で偶然手にとった将棋マガジン1994年3月号に「巻頭スペシャル 観戦記の世界」という特集があって、それがムチャクチャ面白かった。

・観戦記私論 東公平氏
・われらフリーの観戦記者(対談) 木屋太二氏、池崎和記氏、鈴木宏彦氏
・こんなにある観戦記の楽しみ方 小室明氏
・観戦記の書き方 池崎和記氏
・観戦記を育てた人々 越智信義氏

観戦記の根本的な悩みどころは、当時も今も変わらないと思う。ただネット中継が確立したことによって、将棋の見せ方の幅が広がったのは確か。

池崎さんの座談会後のコメントに「十代、二十代の若い観戦記者が出てきてほしい…(中略)将来的には活字を離れて映像を見せるショーに移行する可能性が高い」というものがあったのには大感心させられた。自分もこうありたいと強く思いました。

あらら、もう出かけなきゃいけない時間なので、続きは後ほど。ではでは
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