お仕事ブログ

日々のライター稼業など。コメント欄に書きにくいことや仕事のお話はgotogen510@yahoo.co.jpまで

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

観戦記について…など

2008年06月14日 | Weblog
棋聖戦第1局の、梅田望夫さんのリアルタイム観戦記は、とても面白い試みだと思いました。
最初にグッと読み手を引き付けて、途中は「あらら大丈夫?」とハラハラさせながらも、最後は無事にフィニッシュ。
サラッと言ってしまうけれど、観戦記者や将棋ライターと呼ばれる人たちの水準を楽に超えた作品だったと思います。(と言われて腹を立てる人はどのくらいいるのだろう?)

後日、産経新聞に梅田さんの感想記が載るそうですが、こちらも注目されるでしょう。インターネットから新聞(紙媒体)への呼び水になり得るのならば、今後は別の方面からのアプローチもできそうですね。

そうそう、リアルタイム観戦記ということで言えば初期の名人戦中継で青葉記者がやっていたものが素晴らしかった。もうネットギャラクシーのブラックホールに入って出てこれないんでしょうか。もったいない。


さて、ここで急に、第19期竜王戦七番勝負第2局の▲渡辺竜王-△佐藤挑戦者の棋譜とコメント欄を貼り付けます。

梅田さんが書かれたコラムがリアルタイム観戦記と呼ばれるなら、ネット中継の棋譜コメントはどういうものなのか?どちらも観戦しながら書いているから観戦記?それとも棋譜コメントは観戦記とは認められない?などと色々考えた挙句、見ている方々に判断を仰ごうと思ったわけです。
なぜこの将棋を選んだかというと、(1)竜王戦の棋譜、コメントは誰でも見ることができるソース。(2)自分が担当したもの。(3)やっぱり名局がいいでしょ。の3点から選出されました。
棋譜コメント自体の字数は13000字ほど。出来れば将棋盤に並べながら、一手一手進めて堪能してください。このご時勢、便利だけが正義というわけではないと思うので。では行きます。

と思ったら、このブログは10000字以上はダメなんですね。ははは、本文と合わせて14000字はアウト。というわけで、まず半分だけ。

-------------------------------------

第19期竜王戦第2局 場所:富山県宇奈月温泉
開始日時:2006/10/31 9:00 終了日時:2006/11/1 19:51
持ち時間:8時間 消費時間:162手▲7時間59分△7時間59分
▲渡辺 明竜王
△佐藤康光棋聖

【開始局面】
サンフランシスコでおこなわれた第1局は挑戦者の佐藤が制した。渡辺が勝って追いつくのか、それとも佐藤が離すのか。注目の第2局は富山県黒部市宇奈月温泉にて行われる。両者の過去の対戦成績は渡辺1勝、佐藤5勝。
両対局者とも若干小ぶりな駒を気にしていたが、立会いの有吉九段がうまくまとめて無事に検分を終えた。
本局の記録係は村田顕弘三段(20歳・中田章道六段門下)。
棋譜・コメント入力は烏。
※印は感想戦での模様、局後に書かれたコメント。

【▲7六歩】
渡辺が初手▲7六歩を指し、立会人、報道陣が退室。

【△3四歩】
相矢倉を目指すなら△8四歩。読売新聞に掲載された展望記事で、森内名人は佐藤棋聖のゴキゲン中飛車がありそうと予想していた。

【▲2六歩】
独創的な将棋を指す佐藤。どのような戦型になるにせよ、先手番の渡辺は堂々と構えるしかない。

【△5四歩】
森内名人の予想が的中。佐藤は第2局にゴキゲン中飛車を持ってきた。

【▲2五歩】
5筋の位取りを牽制する。仮に△5五歩なら▲2四歩から飛車先交換をして不満なし。

【△5二飛】
ここで▲2四歩は△同歩▲同飛△8八角成▲同銀△2二銀で、わずかに振り飛車ペースとされている。

【▲2二角成】
丸山九段が指したことから「丸山ワクチン」と呼ばれている指し方。
角交換は手損だが駒組みを限定させる意味がある。

【△同銀】
△2二同飛は▲5三角から馬を作りにいき先手十分。

【▲9六歩】
第23回朝日オープン準々決勝の▲佐藤-△山崎戦で初めて指された佐藤新手。立会人の山崎七段は当時を振り返り「すぐには意味がわかりませんでした」と語ってくれた。ちなみにその将棋は山崎七段が勝利を収めている。

【△9四歩】
佐藤新手▲9六歩は、▲7八銀と上がったときに▲9七香と逃げる余地を作っている。
△6二玉、△3三銀の実戦例もあるが実戦の△9四歩が現在の主流。

【▲7八銀】
左美濃を視野に入れた銀上がり。もちろん▲6六歩~▲6七銀と中央に手厚く構える指し方も考えられる。

【△7二金】
△5五歩に▲6五角と打たれる筋を消した金上がり。この手は奨励会の竹林俊太郎二段が好んで指していた。公式戦では遠山四段が朝日オープンのアマプロ戦で加藤幸男アマを相手に指したのが一号局。一瞬壁金だが、△6二銀と上がれば中央に厚い陣形となる。

【▲6六歩】
△5五歩に▲6七銀を用意。そうなると中央から攻めるのが難しくなるため、△3三銀から向かい飛車にする指し方が有力といわれている。

【△6二銀】
壁形が解消され、6一~7一と玉が逃げるルートができた。

【▲6八玉】
後手が壁を直したことに呼応して、先手も玉形の整備に入る。
この手で▲2四歩は△同歩▲同飛△3五角の反撃でまずい。

【△3三銀】
△3五角の反撃が無くなったため▲2四歩を受ける。

【▲4八銀】
居飛車は右銀の活用が重要。この駒の働き如何で形勢が左右するといっても過言ではないだろう。

【△6一玉】
この局面は過去に3局指されており、次の一手はいずれも▲4六歩だった。
渡辺は扇子を握りしめ、前傾姿勢で盤に向かっている。

【▲3六歩】
▲3六歩は新手。向かい飛車にしたあと、△3五歩▲同歩△4四銀の攻め筋が発生するため指しにくい手なのだが…。前例が無いため、渡辺の新構想を見守るしかない。
△5五角の筋は▲3七銀△6六角▲7七銀△4四角▲4六銀と対応し、歩損を手得プラス持ち角で補うことができる。

【△8八角】
▲3六歩を真っ向から咎めにいく一手。一見▲7七角と打たれて意味が無いように映るが、△同角成▲同玉△6四歩から玉のコビンを狙う筋がある。3六歩型のため玉と飛車がラインに入り受けにくい。
△7七同角成に▲同銀なら先手玉は美濃囲いに組むことができなくなる。手損以上に形を乱した得を主張するつもりだろう。

【▲7七角】
ひとまずは角を合わせる一手。

【△同角成】
佐藤の△8八角に記者陣が驚きの声を上げると、奥で練習将棋を指していた立会いの有吉九段と山崎七段がモニターの前へやってきた。

【▲同銀】
やはり▲同玉は危ないとみた。新手が出たにも関わらず、両者とも指し手に淀みがない。研究の範囲内と見て間違いなさそうだ。

【△2二飛】
玉形を乱してから向かい飛車へ。渡辺は常に△2四歩の仕掛けを気にしつつ進めなければならない。「すぐに▲7八玉は△4五角の筋があるので指しにくい。第一感は▲4六歩ですが、△4四銀から△3五歩の筋があるので…佐藤棋聖は積極的に動くつもりだと思います」(山崎七段)

【▲4六歩】
山崎七段の第一感の手。先手が自陣をまとめるまで、しばらく時間がかかるかもしれない。

【△7一玉】
一段目に飛車を打ち込まれた場面を想像すれば、6一玉と7一玉の安全度の違いがよくわかる。

【▲4七銀】
4八にいたままでは働きが悪い。▲3七桂の活用、▲5六銀~▲6七銀と固める指し方を視野に入れている。

【△4四銀】
▲3七桂なら△3五歩▲4五歩△3六歩▲同銀△3二飛で後手良し。先手は早く玉を安全な場所に移動したい。

【▲7八金】
▲7八玉~▲8八玉の囲い方では、2手進めたところで6九金が浮いてしまう。▲7八金~▲7九玉なら怖いのは玉が6八にいるこの瞬間だけ。玉が露出した危険な状態は、相手の手が進まないうちにサラッとやりすごすのがセオリーだ。

【△3五歩】
控え室では「佐藤さん元気あるなぁ」と感心する声が上がった。後手玉は6一と7一で大違いだが、先手玉は6八と7九で大違い。相手の玉形が悪いときに動くのが戦いの基本だ。
反発するなら▲4五歩△同銀▲3五歩の銀挟みだろう。そこで△5五歩なら▲1八角と打って先手優勢だが、△5五歩ではなく△6四角と打つ筋がある。
妥協するなら▲3五同歩△同銀▲3六歩。何でもやってこいと開き直るなら▲7九玉だろうか。
この局面で昼食休憩に入った。消費時間は渡辺1時間10分、佐藤2時間4分。

【▲7九玉】
やってこいの▲7九玉。この手は山崎七段が推奨していた。再開後すぐの指し手に「決断がいいですね。8時間あったら3、40分考えそうなものですけど」と山崎七段。

【△8二玉】
3筋には触らず玉を入る。ここまで囲えば存分に暴れることができそうだ。

【▲8八玉】
渡辺も入城。早く4九の金を玉に近づけたいが、△3六歩▲同銀△3二飛の攻めがあるため簡単にはいかなそうだ。

【△3六歩】
本来なら決断の一手なのだろうが、常に積極的な佐藤が指しているため自然に映る。

【▲同銀】
一直線に進めると、△3二飛▲4七銀△3五銀だろうか。そこで▲2四歩と突き、△同歩なら▲3六歩で先手良し。しかし形悪くとも△同銀と辛抱されて後続手が難しい。

【△3二飛】
4九金を使いやすくする意味で▲3七歩も考えられるが、桂の跳ねる場所に歩を打つのは抵抗がある。

【▲3七歩】
指し手がパタパタと進む。双方予定通りなのだろう。

【△2二飛】
歩を打たせて飛車を戻す。「歩を打ちたくないので▲2六飛と浮いて頑張りたかったですが…▲3七歩△2二飛の進展は後手がポイントをあげたと思います」(山崎七段)

【▲5八金】
「先手は▲7五歩と位を取って指したい。5八の金も三段目まで上がりたいのですが、3筋の歩が切れているので△3八歩のような手が気になってきます」(山崎七段)
佐藤は体を左右に揺らしながら黙考している。ここまで早いペースで進んできた本局も、午後に入ってやっと落ち着いてきたようだ。

【△3三桂】
どんどん前に出るのが佐藤将棋。歩を3七に打たせているため、桂頭を狙われる心配がない。
先手から攻めるなら▲4五歩△同銀▲4八飛のような筋だが、△6九銀の割り打ちがあり無理筋だろう。

【▲7五歩】
後手は手持ちの歩、3三桂の働きなど主張できる点が多い。一方の先手はこれといって主張できる点がない。
▲7五歩は主張するポイントを作る考え方。理想は▲8六歩~▲8五歩と伸ばして銀を4七~5六~6七~7六と持っていく感じだろうか。

【△4二金】
「△2一飛を先にすれば無難だと思うんですが。しかし▲2四歩△同歩▲3一角の筋はやらないだろうから関係ないですか。▲3一角に△3二飛▲4二角成△同飛▲2四飛…そこでどう指すか。感覚的にはやりにくいです」(阿部八段)

【▲4七銀】
渡辺は誘いに乗らず銀を引いた。

【△2一飛】
△4二金・△2一飛は隙のない好形。ここからは玉側の厚みを争う戦いになりそうだ。

【▲3六歩】
部分的には相当な手損だが、局面の流れが収まれば手の損得は関係ない。
さっきまでは明らかに後手十分という流れ。しかし「先手は指したい手が多く、後手は手詰まり。長引くと後手まずそうですね。先手持ちです」(阿部八段)
「うーん、他人の将棋なら△2五桂▲同飛△2四歩といきたいところです。しかし▲2八飛△2五歩▲3七角くらいで、▲7四歩を狙われて無理筋ですか」(山崎七段)
ここにきて、渡辺の作戦巧者ぶりに感嘆の声が上がっている。

【△6四歩】
渡辺の注文である息の長い戦いに応じた手。動く手がないのであれば仕方ないが、決して本意ではないだろう。
持久戦になれば7五の位がビカビカに光ってくる。

【▲6七金右】
金を上がる形は、2筋を絡めて△4九角や△6九角の筋が気になる。大丈夫なのだろうか。

【△6三銀】
佐藤はノータイムで△6三銀。どうやら速攻はないようだ。

【▲7六銀】
「位を取ったら位の確保」。先手は7五の位を守り、▲8六歩~▲8五歩と伸ばしていく。後手は…指し手が難しい。

【△5九角】
「先手は▲6五歩から歩交換できるので、後手はじーっと待つ作戦が使えない。△5九角は放置すれば△1五角成、▲1六歩には△2五桂▲同飛△4八角成の狙いです」(山崎七段)
衛星放送が始まり、阿部八段は▲1六歩に△3八歩を推奨しているのを見て「なるほど、△3八歩もありますね」と山崎七段。
有吉九段と山崎七段が話していた予想手順は、▲1六歩△3八歩▲同飛△2六角成▲2八飛△2五馬▲4五歩。以下△同銀は▲3七桂、△5三銀でも▲3七桂△3四馬▲4六銀の要領で馬を目標にしていく。
この局面で規定の時間になったため、渡辺竜王が次の一手を封じて一日目が終了。消費時間は渡辺3時間14分、佐藤4時間18分。

その2へ続く)
コメント   トラックバック (3)   この記事についてブログを書く
« 将棋世界7月号 | トップ | 観戦記について・その2 »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事

3 トラックバック

梅田氏のネット観戦記と「お仕事ブログ」を読んで考えたこと (Takodori's Self-brainstorming How to Promote Shogi Globally)
 梅田望夫氏の棋聖戦第1局のリアルタイムネット観戦記に以下の記述がある。【棋聖戦
【実践】ゴキゲン中飛車vs2四歩即交換型(▲4五角~2筋逆襲) (☆☆アマ将棋道場☆☆【将棋定跡研究】)
先手:アマ棋士 後手:六段の方 ▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △5四歩 ▲2五歩 △5二飛 ▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △8八角成 ▲同 銀 △3三角 ▲2八飛 △2六歩 ▲7七銀 △2二飛 ▲4五角 *アマ棋士はいつもこ...
竜王戦 棋譜について (フーフー(夫婦)して見るブログ)
竜王戦 棋譜について 竜王戦 棋譜稼ぐために始めたのに余計お金を使っただけで辞めるのは自分に対して無性に腹が立つ。自分の不甲斐なさに腹が立つ。自分の情けなさに腹が立つ。自分の意志の弱さに腹が立つ。とにかく、何をやっても結果が出ない自分に腹が立つ。そ...