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私的名人戦第1局

2009年04月11日 | Weblog
【8日】
前日。対局場が都内ということもあり、いつものように関係者で集合するのではなく直接現地入りとなった。
15時前に控室に入り、まずネット環境の確認。すんなりいかないのは毎度のことだが、いざとなったらどうにかなるのが都内の強味。地方対局では周辺に何も無くて途方に暮れる(もちろん、それでもどうにかする)こともあるけれど、ここなら足りないものを調達することができる。なんやかんや検分の少し前に、様々な方々の尽力で、どうにかこうにか設営が終わった。皆さんありがとうございます。

【9日】
1日目。今回は僕が棋譜コメント担当、銀杏記者にブログを担当してもらった。彼は非常に頼りになるが、何も言わずに黙々と作業するので、たまにこちらの作業とかぶってしまうことがある。とは言っても一つ一つ確認しながら進められるほど時間的余裕があるわけでもなく、今後はある程度はシステマティックにしていく必要があるかもしれない。今のスタッフがやっているうちは阿吽の呼吸でうまくいくことが多いけれど、当然ながらいつまでも出来るわけじゃない。先を見て、いまのうちに出来ることをやっておかなきゃいけない。
夕食会終了後、坂を下ってコンビニに行き、ビールを何本か買ってきた。椿山荘は都内にあるとは思えないほど緑豊かで、建物も非現実的なくらい立派で豪華。ここに来るといつも竜宮城にいるような気がしてきてしまう。帰りに謎の小箱を渡されたらもう助からないだろう。
戻ってくるとホテルの方が笑顔でドアを開けてくれた。コンビニ袋をガチャガチャいわせながら、心の中で「庶民ですみません。ご迷惑おかけします」と丁重に頭を下げた。

【10日】
2日目。
朝、観戦記担当の東公平さんが、扇子に関係者の寄せ書きを集めているという話を聞いた。東さんは名人戦をはじめ多くの観戦記や著作があり、将棋界に多くの足跡と業績を残してきた功労者。年齢や状況を考えると、もしかしたら今回が最後の観戦記になるのではという噂もあっただけに、扇子はいい記念になるだろうなと微笑ましく思った。僕は大先輩の東さんの過去の名人戦での著作をカバンに詰めて、この日を迎えていた。棋譜コメントの中で、過去の東さんの名フレーズを紹介できればと思ったからだ。
そういった経緯があったのだが、結果としてこういう方向に進んでしまったのは残念でならない。東さんは久しぶりの現場復帰だったこともあり、控室ではうまく雰囲気に馴染めていなかったように感じられ、笑顔も見られなかった。今回、東さんの笑顔を見ることができたのは、皮肉にも画面の中で羽生名人に扇子を差し出したくだりだけだった。
もちろん東さんの行為は明らかにマナー違反であり、看過されるべきではないと思う。大山升田時代の牧歌的な雰囲気は、現代の名人戦の対局室で受け入れられるものではないのだろう。
羽生名人から扇子が返ってくると、東さんはそれを広げて嬉しそうに眺めている。将棋が好きで棋士が好き。そういった気持ちは非常によくわかるので、こうしてポジティブではない方向の事件になってしまったことが、とても悲しかった。

終局後の打ち上げでは、羽生名人と東さんは隣合わせで楽しげに話をしていた。精神的に落ち込んでいた自分にとって、その光景は涙が出そうなくらい嬉しいものだった。良いことも良くないことも、昔も今も混ぜ合わせ、それで残っていくものが文化なのだろう。良いことだけ、悪いことだけ出来る人などいない。誰のせい、誰が悪いではなく、志のある人が受け止めていく。自分もそうありたいと強く思った。

【11日】
チェックアウトぎりぎりに目が覚め、ダッシュでフロントへ。謎の小箱を渡されることもなく、無事に家にたどり着いた。こんなに天気がいいのに、あまりにも疲れ果ててしまったので、これから布団とお友だちになります。
ここまでと全く関係ない話なのですが、絡まりあっていた諸々のトラブルが、少しずつ解決に向かっているような感触があります。もうバッドニュースは聞きたくないので、ここは果報が来るように寝るのが最善。では、また近いうちに。
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36 コメント

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あの出来事の背景 (通りすがり)
2009-04-11 17:34:37
が良く分かりました。決して許されることではないが昔の牧歌的時代のことも分かった上で眺めると別の風景が見えてきますね。
打ち上げで談笑する二人の姿にはこちらも救われた気分になりました。それにしても羽生さんは懐が深いですねえ。改めて感服。
Unknown (Unknown)
2009-04-11 20:35:08
無視されたり、払いのけたりされても当然ではないんでしょーかね
ま、当事者がいいならいんでしょーが
Unknown (Unknown)
2009-04-11 21:13:19

羽生さんが負けていたら、果たして談笑出来たでしょうか?
後藤レポートって何ですか? (Unknown)
2009-04-11 21:15:18
こんなの見ましたけど。

「後藤レポートには松本氏以外の記者の発言もたくさん書かれていた。」・・・・

ほんとですか。

ん? (ごとげん)
2009-04-11 22:26:48
後藤レポートって、自分のことですか?
全然心当たりがないのですが、どこに載っていたのでしょう?
観戦記に期待 (ちかちゃん)
2009-04-11 22:48:22
まあ、東さんの勇み足は事実ですが…

先年、朝日と毎日との共催になり、東さんの名人戦の観戦記を楽しみにしていたところ、体調の関係で身を引かれ、残念でした。

東さんの観戦記、おそらく最後の仕事になると思います。最近の観戦記は、特に棋士が書いたものは、文章が下手糞で、さらに手数の解説ばかりが過ぎて、全く面白くありません(解説にしても中途半端ですね)。

東さんならではの、肩に力の入らない、しかし味わい深い観戦記を期待したいです。
Unknown (たけぞう)
2009-04-11 23:11:18
まあやっぱり将棋は「将棋村の住人」
のためのものであるという事が
つくづく分かった一件だったですね。
ごとげんさん位ではないでしょうか、
ちゃんと書いてくださったのは。
(A日も連盟もW辺氏もスルー)

でもサッカーでも野球でも相撲でも
演劇でもこんな事はありえない、
非常に緊張感のないルーズな試合中の
出来事であると同時に、他の業界では
考えられない記者への厚遇ぶりを
示した事象でしたね。






いままで真剣に見てて損した。
ボケ老人は引退しろ! (西不公平)
2009-04-11 23:22:32
何がポジティブじゃない方向だ、ふざけるな!
真剣勝負している時にボケ老人が非常識な行動を取ってそれを誰も止められないなんて情けないな!
これじゃこのボケ老人も何の反省もしてないだろうな!
今後、このボケ老人を出入り禁止にしないとますますボケが酷くなって、何をしでかすがわからないぞ!
後藤レポとは (くまさん)
2009-04-11 23:25:53
某巨大掲示板のあるスレッドで、
棋界事情通を自称する人が流してるデマのことです>後藤レポ

ごとげんさんがまとめたもので、mtmt氏の行状を
まとめて連盟に提出し、連盟が関係者に配布したような話になっているようです。

むろん、「まともな人」で本気で信じる人はいないでしょうけど。
お疲れ様です (桃鉄北海道編)
2009-04-11 23:44:42
>今後はある程度はシステマティックにしていく必要
>があるかもしれない。今のスタッフがやっているう
>ちは阿吽の呼吸でうまくいくことが多いけれど、当
>然ながらいつまでも出来るわけじゃない

そろそろ曖昧から具現にすべき時期なのかも知れませんね。凡そのスキームは出来ているわけですから。

立場が曖昧な記者にもオフィシャルという概念を加えるのは名調子で読者を魅了した紅記者の名誉回復の為にも急務だと思います。
牧歌的な昭和の棋界と違い、平成の世の中は思ったよりウェットではないので。

>絡まりあっていた諸々のトラブルが、少しずつ解決
>に向かっているような感触があります

待ち遠しいですが、楽しみにしてます。

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