自筆の書の前で
26,27日の2泊で、赤江さんが上京しておりました。
05年の6月以来ですので、ちょうど2年振りというになります。
今回の上京の目的は、昨年暮れから連続して発売された作品集の、打ち上げ会のような位置づけでしょうか。
各出版社の担当編集者のかたたちが、赤江さんを囲んで一献傾けるというくらいの、きのおけない慰労会でしょうかね。
それにしても昨年の暮れからの赤江本の発行数は、近年稀にみる量でした。
12月から4月まで、5冊連続発売です。
7月には学研新書の発売も控えておりますからね。
既刊の5冊を、ネット上にアップされている画像を拝借して紹介いたします。
06 12月 学研M文庫
07 1月 光文社文庫
07 2月 光文社文庫
07 3月 光文社文庫
07 4月 徳間書店
こうやって並べてみると、壮観です。
上記4冊は、過去に発表されているものを編集したアンソロジーです。
赤江ワールドを、かなりの部分カバーしております。
3冊の光文社文庫の表紙は、オリジナルのイラストです。
どの作品が描かれているかは、赤江さんのファンのかたなら、一目でわかります。
例えば「禽獣の門」には、プラス「熱帯雨林の客」とかね。
改めて拝読すると、赤江文学の持つ魔の世界を享受できるシアワセに、酔い痴れてしまいます。
赤江教の信者にとっては、初めて作品を手にしたときの妖しい期待感を、追体験出来るのです。
過去にも何度も経験していることですが、その都度繰り返される至福の時間こそ、赤江文学に魅せられた人間の喜びであり、宿業でもあるのです。
赤江瀑ラッシュとも思えるこの時期に、新しい読者が増えて、正しい赤江教の信者になって欲しいですね。
「狐の剃刀」は、ファン待望の新作単行本です。
問題小説に掲載された8本の短編を収めた作品集です。
「キツネノカミソリ・狐の剃刀」というタイトルが、嬉しかったです。
花を追っかけているおじさんにとっては、ピンとくるタイトルなんですよ。
もともと赤江さんの小説には、「花」という文字を含んだタイトルが数多くあり、作中にも数多の花が登場しております。
噎せ返るような京都の庭を描いた「花夜叉殺し」は、今回連続発売された光文社文庫の、第1弾のタイトルにもなっておりますしね。
今回は作品について語るつもりもありませんので、エピソードをひとつ。
「赤江さんは、何の花が好きなんですか?」
無礼丸出し、これ以上の直球は無いだろうというような質問してみました。
花ブログをやってる人間として、聞いておきたかったことではあるのです。
過去にも赤江さんとの会話のなかで、花が話題になることはあったのですが、ご本人が好きな花については伺ったことなかったのでね。
こちらとしては、ある答えを想定していたんですがね。
見事に裏切ってくださいましたよ、赤江瀑は。
「シュウカイドウは、わりと好きですね」
シュウカイドウ・秋海棠ですか・・・
同席していた編集者のかたには、シュウカイドウがどんな花かわかった人はいなかったでしょうね。
私にしても、かなり意外な花を出してきたなと思いました。
まさかシュウカイドウが出てくるとは、ほんとに驚きです。
赤江さんならあの花かなと思われる候補は、思いつくんですよ。
確かに今回の作品の「狐の剃刀」のなかにも、秋海棠は出てきているのです。
因みに、キツネノカミソリ、フクジュソウ、スズラン、エニシダ、レンゲツツジ、キョウチクトウ、そしてシュウカイドウが、作品のなかに出てきます。
この七つの花に流れている通奏低音がわかったところに、作品の落としどころが用意されています。
だからといって、好きな花がシュウカイドウだという赤江さんの答えの意外性が、すんなり納まったということではありません。
実は私が意外に思ったのは、好きな花がシュウカイドウだったということも、もちろんあるのですが、好きな花は何かという質問に、赤江さんの口からすんなり答えが出てきたことのほうにあります。
きっとあれこれと花の名前をあげて、ひとつの花には絞れないというのが、赤江さんの答えかなって、そう思っておりました。
拍子抜けするくらいの速さで、シュウカイドウという答えが返ってきましたのでね。
いやいやビックリでした。
シュウカイドウの花、goro's Diary には、未だ登場したことはありません。
お仲間の「木立ちベコニア」は登場しておりますがね。
どれどれ、この秋、いや夏場には、シュウカイドウの花でも探してみましょうかね。
赤江瀑の作品の登場する花たちを追っかけるのも、おもしろい企画になるだろうな。
まあ、時間との兼ね合いってことですかね。
どっちにしても、しばらくは無理でしょうが。
(上記、各花の名前をクリックすると、goro's Diary でアップしたそれぞれの花たちのページへとリンクしております。クリック出来ないものは、未だ出会いの無い花たちです)
7月11日付けで発売される学研新書は、こちらです。
創刊されたばかりの学研新書の、第2弾のラインナップの1冊です。
発売前に読ませていただきましたが、なかなか面白い内容でしたよ。
過去を含め、歌舞伎の入門書は数々出版されておりますが、『赤江瀑の「平成」歌舞伎入門』のタイトルの示す通り、「赤江瀑」であり「平成」であることが、この本を普通にある歌舞伎入門書とは、一味も二味も違った歌舞伎の世界を垣間見させてくれます。
それなりの毒も、あちこちに潜ませておりますしね。
赤江さんにとっては、新書での書き下ろしは初めてのことです。
新書という媒体の特色を考えてみたときに、「平成」と、括弧付きの平成を挿入したことで生まれたであろう制約が、昭和歌舞伎の世界を熟知している赤江さんにとっては、かえってよかったような気がします。
ある意味、手枷足枷状態だったはずです。
だからこそ生まれた赤江瀑の世界があると、私は思います。
こいうタイプの赤江瀑の作品も、なかなか面白いです。
このラインなら、まだまだ企画が生まれそうですよ。
今回は2泊だけの東京でしたが、京都を回って帰られるそうですよ。
相変わらずお若いですね、赤江さん。
昭和一桁生まれとは、とても見えません。
畢竟の大作、お待ちしておりますよ。
おもしろいですよ、是非読んでみてくださいって、簡単に薦められる作家ではないのが赤江瀑なんですよね。
嵌ったら一直線でしょうが、外れるとどうしょうもないですからね。
ジャンルでいうと耽美派ということになるんでしょうが。
女性作家たちのファンが多いのですよ。
ポージィさん、以前に篠田節子の小説についての記事を書かれていたことがあるでしょう?
彼女も赤江さんのファンで、今回の光文社文庫の「花夜叉殺し」の解説は、篠田さんが書いておりますよ。
赤江さんの小説には、いろいろな花が散りばめられております。
物語の重要なファクターになっているものも、たくさんあります。
是非一読をとは申しませんが、チャンスがありましたら読んでみてください。
好みは別にして、新しい世界がそこにあることは確かだと思います。
★Motoちゃん
いやいや、お久っ!
正しい信者の道を歩んでおりますよね、Motoちゃんは。
久々の新刊が発売されました。
是非ご一読を。
今回の『赤江瀑の「平成」歌舞伎入門』には、狂言(台本)とかお話し(物語)について書かれている記述は無いんです。
主に役者について書かれています。
赤江さんの視点が読み取れて、面白いものになっております。
新書ですからね、小説とはまた違った角度から、赤江さんの歌舞伎感を知ることが出来ます。
読んでください。
また語りましょう。
ワタシもすっかり赤江教の信者。
新作を、待ちかねておりました。
タイトルだけで、もっていかれそうな「狐の剃刀」読ませていただきます!!!
歌舞伎入門本もそそられます。
大蛇と蝦蟇と蛞蝓の物語について記載ありましたか?
ともあれ、明日はジュン○堂行かねば。
拝見していると、ちょっと読んでみたいという気持ちが湧いてきます。
「魔の世界」ですか。文庫本の表紙イラストからして、
なにやら妖しげで不思議な世界という感じがしますものね。タイトルも。
でも本屋さんで手にとるにはちょいと勇気がいるかも…(^^;)
花にも詳しい方なのですね。そしてそれが作品の中に効果的に
配されている。ふ~む 拝読したら私にも新しい世界が開けるかも。