10月27日(日)
26日付中日春秋に日本の奨学金制度の貧弱
なことが記されていた。私はなるほどと思った。
ここにも根本的に見直さなければ、世界から
見放される問題がある。
こんな記事である。
「私立大学生で経営学を学ぶ二十一歳の佐藤
君には、多額の借金がある。大学を出るまでに、
その額は一千万円余に膨らみそうだ▼彼は二歳
の時、父を病気で失った。母は月収七、八万円の
パートで育ててくれた。だから高校・大学に進学
するには借金をするしかなかった。卒業後は二十
年間にわたり、利子を含め月三、四万円づつ返済
することになる▼「本当に不安です。親元から通え
る就職先でなければ、返済は難しいでしょう。自分
の家庭を持ち、子どもを育てていけるのでしょうか
?」と佐藤君は話す▼彼の借金を日本では奨学金
と呼ぶ。もし和英辞典を引いて「スカラシップ」と訳
したら、英語圏の人なら「それはスカラシップでは
なく学生ローン」と言うだろう。漢字の本場・中国の
人も「それは奨学金ではなく助学貸款だ」と指摘
するに違いない▼どうも日本語の「奨学金」という
言葉が、この国の貧弱な教育支援制度の実態を
見えにくくしているようだ。日本には、給付型つまり
返済不要な公的奨学金は皆無に近く、ほとんどの
奨学金は国際的にはローンと呼ばれているものだ。
▼ある調査によれば、日本では毎年五万人の高校
三年生が貧困を理由に進学をあきらめているという。
そんな子を一人でも少なくするために、佐藤君ら「あ
しなが育英会」の学生たちは、この週末も街角で
募金を呼びかけるはずだ。