五里霧中

★ マンガなどの感想 ★

◆ 今月のナポレオン

2015年02月02日 | ◆[不定期] ヤングキング・アワーズ

ヤングキングアワーズ 2015年3月号より

 
 
 
 

以下、ネタばれあります。 (未読の方はご注意ください)

 
 
 
 
 

●ナポレオン -覇道進撃- (長谷川哲也 先生)

 

 コミックス8巻、ほやほや発売中! そんな今回、ティルジットの和約。

 恒例の1ページ目、衝撃シーンから始まった今回。
 イエナ・アウエルシュタット、アイラウ、フリートラントの戦いを経て、
 フランスとロシア・プロシアの間に、ティルジット講和条約が締結されます。
 いかだの上で、というのが面白い所ですね。

 これにより、プロシアの国際社会での立場は弱まり、
 フランスとロシアには協調関係が生まれることになるわけで、
 フランス皇帝ナポレオンと、ロシア皇帝アレクサンドル1世の
 抱き合っている場面は、まさに象徴的と言えるでしょう。

 まあ、もちろん互いに、腹の底では何を考えているかわからない
 政治的な思惑でいっぱいなのでしょうけども・・・・・・
 

 
 

 

 プロシア王妃・ルイーゼ様、お冠。

 ティルジットの和約に関して、欧州をフランスとロシアで分けようとしている
 と指摘していますが、確かにプロイセンの領土は大きく削られたうえに、
 そこにナポレオンの息のかかった国が作られるのですから、間違ってはいないかも。

 その一方で、分割されていたポーランドは、ワルシャワ公国として復活するのですから、
 マリア・ヴァレフスカさんなどにとっては、ナポレオンは大恩人とも言えるでしょうね。

 それにしても、ルイーゼ様のナポレオンへの怒りは深く、その破滅を望む姿は、
 強烈な執念を感じさせましたね・・・ タレイランの言うとおり、「怖」かった!

 
 
 

 

 ナポレオンとタレイランの間の亀裂・・・

 ティルジット条約の締結後、国際社会でのフランスの態度について話し合う2人。
 しかし、イギリスとの和解を提言するタレイランの言葉に、ナポレオンの反応は薄く、
 タレイランは皇帝に対し、不審を抱き始めます。

 その際の言葉が、「バランス感覚でなく、自分の声を聞いている」というのは面白い。
 そして、そのことで「政治家として劣化している」と評価するのも、納得でありました。

 いまや、欧州に君臨する“怪物”となったナポレオン。
 その“怪物”の行く末を予感し、自分の手で決着をつけなければと考えるタレイラン。
 彼の表情から垣間見えるのは、失望か、はたまた憐憫なのか・・・

 その後、ナポレオンとのやりとりで、挑発ともとれるような行動に出て、
 反発を隠そうともしないタレイランは、明らかにナポレオンとの距離をとり始めた
 ということなのでしょうね。

 

 

 

 スキャンダルの嵐。

 まずは、ナポレオンがマリアさんとの関係をジョゼフィーヌさんに知られてしまい、
 頭を抱えていましたけども、さらに、アイラウ戦の最中におけるタレイランの行動や、
 ミュラとジュノー間の問題を知って、てんてこまい。

 これらの情報をもたらしたのは、フーシェというから、さもありなん。
 皇后にマリアさんの存在を告げ、タレイランの足を引っ張り、
 ナポレオン配下の醜聞をつかんでいるとアピールするのは、効果的ですね。

 
 そんなフーシェのいやらしさはともかく、
 ここでの、ミュラとジュノーのやりとりは面白かった!

 元帥と将軍の格を教えてやると豪語するミュラに、負けじと対抗するジュノー。
 男同士の派手なぶつかり合いが、迫力あって、たまりませんでしたよ!
 しかしフーシェは、気楽な言葉を吐きつつ、その場を去っていて、いやはや何とも。

 壮絶な殴り合いの末、2人の“決着”はナポレオンの言葉もあって
 不思議と清々しさを感じさせましたけど、ナポレオン自身の心は晴れない様子・・・

 

 

 

 化け物2匹。

 タレイランとフーシェ、2人の“化け物”は、味方であれば頼もしくもあるものの、
 それと同時に御すことの難しさを、ナポレオンは痛感している様子。
 2人とも、皇帝陛下に対して、牽制ともとれるような行動をとっていますからね。

 ティルジットの和約締結が描かれ、これでフランスの覇権が確立したと思いきや、
 内憂外患さまざまな禍根が存在していることが、ひしひしと伝わって来た今回。

 これで平和が来るわけでもないあたり、ナポレオンの業の深さが感じられます。
 次は、ロシア・スウェーデンの話か、はたまたスペインか・・・
 いずれにせよ、今後も楽しみです!

 

◆ ヤングキングアワーズ 感想

 


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