五里霧中

★ マンガなどの感想 ★

◆ 『GANTZ -ガンツ- 』34巻 感想

2012年05月16日 | ◆マンガ 感想

『GANTZ -ガンツ- 』34巻 (奥浩哉 先生)

 Gantz_34

 33巻感想はこちら

 私はコミックス派なので連載を追っておりません。

 なので、見当違いのことを書いてしまうこともあるかもしれませんが、

 ご容赦いただけると幸いです。

 

 

 

以下、ネタばれあります。 (未読の方はご注意ください)

 

 

 

 

【玄野を中心に描かれる34巻の戦い】

・再会、そして・・・

 Gantz_34_p003

 長かった!

 タエさんと引き離されてからここまで・・・ ついに再会を果たした玄野。

 抱擁し合い、涙を流しながら喜ぶ2人。

 幾度の危機をのりこえての再会ゆえ、感激もひとしおでしょう。

 読者としてもホッと一息。 2人の姿をみながら、「よかった」と胸をなでおろし・・・

 

 と思いきや、その絶頂から突き落とす絶望が!

 今までが今までだっただけに、ここでの転落感はもどかしすぎるでしょう!!

 

 

 

・GANTZ 極大兵器

 Gantz_34_p032

 ふたたび玄野が転送された先は・・・ 謎の極大兵器の中!?

 そうか、オリジナルの玄野は、GANTZの中の人に「解除」してもらってなかったんですねえ。

 しかしこの極大兵器、何回クリアで入手できるアイテムなのだろう。手に入れた奴いるの?

 岡の巨大ロボも、これの一部に過ぎなかったということなのかな・・・

 

 そして今や神きどりなのか、“ブラックボールを制御する男たち”は、

 玄野はじめ多くの人々を巻き込んで、意のままに操ろうと傍若無人にふるまいます。

 命令口調で「ラストミッション」を強要。

 今までのGANTZによる強制もやっかいでしたが、奴らのやりざまを目にすると、

 いくらか以前の方がましだったんじゃないか? と思えてくるから不思議なものです。

 

 ここのシーンで見事だな~と思ったのは、

 玄野が泣き叫んでいることと、そこから敵の姿を発見するや意識を切り替え、

 精神を戦闘モードにまで高めていることでした。

 玄野というキャラクターは、情けない部分とスゴイ部分のバランスが絶妙で、

 そこが「普通の人間」を感じさせつつも、「物語の主人公」であることを

 読者に印象付けているわけですね。 ゆえに、彼の戦いは盛り上がります!

 

 

 

・玄野2号の戦い

 Gantz_34_p066

 一方、レイカのパートナーである玄野2号。

 33巻で描かれた絶望の戦いをのりこえ、最後の強敵と思われる存在を前にします。

 ここで、吉川が玄野を「リーダー」と呼んでいたのは興味深いですね。

 

 玄野はチームの呼びかけ人ではありますが、それだけでリーダーと認めたわけではなく、

 今までの激戦の中で、玄野にその資質を見出したということなんでしょう。

 これだけの猛者たちの中で、一つ頭抜けるということは相当なもの。

 それだけ玄野という人間の大きさがわかりますよ。

 

 

 

・玄野2号、その心の内側

 Gantz_34_p070

 しかし強敵を前に、玄野以外のメンバーは消極的。

 ここで1人残り、戦うと述べる玄野ですが、その裏には複雑な想いがあるようで・・・

 

 自分が2号(クローン)であることを気にしているようなセリフ。

 そして、タエさんを忘れていないことを思わせるセリフ・・・

 レイカにとってはきわめて残酷なそれらの言葉は、彼女に、

 そして最後は玄野自身に、突き刺さることになるのでした。

 表紙を見たときに予感はしていましたが、こうした展開になってしまうとは・・・・・・

 

 

 

・愛する者と一緒に死のうとする心

 Gantz_34_p102

 玄野1人を残してゆけぬと、号泣して彼の元へ戻ろうとするレイカ。

 死なばもろとも。

 賛否両論ある考え方ではありましょうけど、ここでは当人がどう思うかが重要。

 玄野のいない世界なんて考えられない。 レイカ自身はそう考えたという事でしょう。

 

 この考え方は、意外と本作品における様々な人物に当てはまる気もします。

 桜井が暴走しているのもトンコツを失ったためですし、

 風が戦い続けるのもタケシのため、玄野1号だってタエのために戦っていますし、

 逆にタエも、玄野に会いたいという一心で巨人の街を生き抜いてきたのですから・・・

 

 だからこそ、玄野2号とレイカの関係にも注目してしまうというもの。

 クローンであり、いまだタエを想いつづけているふしのある2号ですが、

 彼が流した大粒の涙、レイカにかけた言葉の数々、謝罪、

 それらすべてがレイカへの愛の証しだったと、はっきり感じられました。

 

 2号は1号とは違い、レイカと共いる時間を経て、その愛を育んでいたのでしょうね。

 もとは玄野計という1人であるものの、生まれた瞬間からは別々の人間。

 異なる生き方をし、経験を積んだことは、それだけの「違い」となるのですから・・・

 だからこそ、その愛を失った時の衝撃は大きい。

 今後、玄野2号がどのように行動し、どういった結末を迎えることになるのか、注目です。

 

 

 

 

【憎悪の連鎖、その行き着く果ては・・・?】

・極大⇒巨人⇒人間

 Gantz_34_p176

 34巻で、私が目を奪われたのがこのシーン。

 極大兵器の群れが巨人たちを蹂躙する様子はもちろんのこと、

 ここで人間からみた巨大⇒極大の世界が、一望できているという点に感動。

 こんな3段階の視点の広がりは、なかなかお目にかかれるものではないでしょう!

 

 そしてそれは同時に、人類が巨人を“踏み潰している”という逆転の状況をも示しています。

 タエが目にするのは、巨人たちが襲来し、人類を殺戮したあの光景と同じもの。

 横たわる巨人たちの屍。 憎悪の連鎖。

 巨人側も大きな被害を受けたことで、人類に対する憎しみを燃やすことになるのでは?

 という不安がわきあがります。

 ゆえに巨人女性がタエを拾ったシーンには、一瞬、緊張が走りましたね。

 でも彼女には、憎悪の連鎖にはつながらない聡明さが感じられました。

 

 

 

・桜井、突撃

 Gantz_34_p200

 そんな巨人女性とは対照的に、憎悪のままに突き進む男・桜井、ここにあり。

 彼の場合、最愛の人を目の前で理不尽に殺されてしまったわけですから、

 憎しみにとらわれるのも自然といいますか、やるせない気分に・・・

 

 ただ、彼は巨人への殺戮に走っていて、生き残ろうとかそうした思考では動いていない。

 このあたりが玄野たちとは大違いですし、愛する者のいなくなった世界に価値を見出せない

 心の苦しみを感じてしまいます。

 

 それにしても、極大兵器による戦闘はすさまじかった!

 玄野の操る兵器の肉弾戦はもちろんのこと、桜井の能力を駆使した戦いもスゴイ。

 あれは、極大兵器が中にいる人間の「力」を、そのまま増幅させているってことなのか?

 いずれにせよ、戦闘は過酷さを増し、終局へ近づいているようです。

 

 そしてラスト、桜井が見たもの。 あれは幻覚?

 やはり響いていた“声”は彼のものだったということでしょうね。

 桜井の憎しみのエピソードは、ここからどのように展開するのか・・・

 “神”はどこかでこの光景を見下ろしているのか!?

 35巻は10月発売とのことで、玄野たちの戦い共々、楽しみです!

 

35巻感想はこちら

 

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。