ヤングキングアワーズ 2016年9月号より
以下、ネタばれあります。 (未読の方はご注意ください)
●ナポレオン -覇道進撃- (長谷川哲也 先生)
カール大公への反撃!
をもくろむナポレオンでしたが、そこで懸念すべき事態に。
マッセナ元帥が足を骨折したとのことで、戦線離脱の可能性が出てきています。
しかも、足を負傷したこともあって、「ランヌの二の舞」という印象を持ち、
だいぶ不吉なことに感じられてしまいますからね。
が、強敵カール大公との戦いを前に、重要な戦力であるマッセナの離脱など
考えられるはずもなく、ナポレオンは「何とかしろ!」と命じるあたり、
無茶ぶりが過ぎていて、いつもの陛下らしい。
「なんとかする・・・」
足を折ったものの、それでも何とかすると皇帝に伝えてくれと、述べるマッセナさん。
その顔に迷いも怒りもない所が、さすがな風格ですけども、一体どうする気なのか。
骨折を抱えても、戦場に立ち続けるなんて、並大抵のことではないでしょうし。
そして、ここでマルボさんの愛馬リゼットに、目を付けちゃうマッセナさんが面白い。
「いい馬だな」と、見る目は確かなのですが、「俺に売れ」「安く」と続くあたり、
マッセナさんらしくて、笑ってしまいましたよ(´▽`;) いい馬なんだから、高く買いなよ。
それはともかく、いよいよカール大公も動き出し、各元帥に号令をかけるナポレオン。
「6週間かけて準備した計画」を実行に移すとのことで、この戦いにかける意志が感じられます。
ベルトラン指揮のもと、次々と橋ができあがり・・・
25分かかると述べていた架橋作業を、「5分でやれ」などと無茶ぶりする陛下。
それを実行してしまうベルトランの優秀さが光ります。
本来、作業時間の短縮は、弊害が大きいのですけども、ここではそのようなこともなく、
しっかりした橋が出来上がっているようで、作業中に渡河しても大丈夫な所に、
工兵部隊の力量が感じられますね。
嵐の中、あっという間に橋が4本できあがり、オーストリア兵も驚いていますが、
カール大公はそれが前回と同じ経路であることに気付き、ナポレオンが同じことをするのかと
疑問を抱いたことで、罠だと感知しているのが、さすがでありました。
実際、突出したところを、別方面から架橋し進軍した軍勢が、包囲する手はずになっており、
全貌を知らずとも、何かしらの罠があると察知したカール大公は、やはり良将といえるでしょう。
それにしても、マッセナさん、馬車に乗って渡河するのは良いのですが、
その際、御者の選び方が面白すぎて(^^;
鈍いのか、度胸があるのか、よくわからない人物を選び、なおかつ安い値段で雇おうとするも、
その御者さん、報酬について「そんなに」もらるのかと喜んでいて、マッセナさんと相性よすぎ。
この場限りの関係なのでしょうかね~、何となく名コンビになりそうですけども。
ウジェーヌとマクドナルド。
イタリア副王となったウジェーヌくん、だいぶ立派になったように見えます。
そんな彼の軍事顧問になったのが、マクドナルドさん。
まだ元帥ではないものの、この後の戦いを経て、元帥杖を手に入れる人物ですが、
ウジェーヌくんから「皇帝と決して目を合わせないね」と疑問を持たれています。
そのことに関しては、以前のある出来事が原因になっているのですが、
ウジェーヌにも言えないことであり、その理由が「ある方の名誉にかかわること」
と述べていたのが印象的で、他人の名誉を重んじる好人物であるとわかります。
しかし、ナポレオンと目を合わせようとしないという点から、確執がありそうな気配
ではあるのですけども、歴史から知ることができるこの後の行動から考えますと、
個人的な感情よりも、公への奉仕を重んじる性格なのかな、とも思えます。
このあたり、どう描かれてゆくのかは、楽しみかもしれません。
「忠臣」のイメージを持たれていたりもしますが、複雑な評価を得ていますからね。
カール大公に逃げられたナポレオン。
このあたり、さすがカール大公といった所でしたが、それでも「逃げた」わけで、
それを追うナポレオンに勢いがあることは、間違いありません。
ランヌの仇を討つという意思のもと、戦意を高める大陸軍。
ダヴー、ベルナドット、ウディノ、マルモン、ウジェーヌ、マクドナルド。
それらの面々が集い、決戦の場となるのは、ヴァグラム!
ランヌの仇を討ち、雪辱は果たせるのか?
強敵カール大公との戦いに、湧き上がる期待を覚えつつ、今後も楽しみです!