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量は追わない

多くの中学校の国語の問題は、おおむね物語文と説明文(あるいは論説文)の読解で構成されています。

学校別出題傾向として記述式なのか、選択式や適語選択などの記号式なのか、という違いはあるものの、基本は結局読解力がなければいけない、ということなので、たくさん読解の練習をした方が良い、ということになりがちです。

結果として、この時期くらいから、たくさんの過去問にあたる、という勉強の仕方をしている受験生が多いと思うのですが、量をやっても力が伸びないケースがあります。

というのは、国語力は読んで、考えて、書く(あるいは記号を選択する)という3つの過程の訓練がある程度深くないといけない。国語の問題は著者が作問するのではないので、採録された文章から根拠となる部分を探す、ということが解法のヒントになることは、これまでも繰り返しお話してきましたが、しかし、それとても万能ではありません。

例えば、物語文の心情読解において、登場人物が何を感じているのか、どういう気持ちになっているか、想像して書く、という問題も出題されている。もちろん文章から読み取るわけですから、採点するポイントはいくつか、文中に含まれていますが、結局は本人がどう読み取ったか、ということをしっかり書けないと点数にはならないわけです。

つまりたくさんの問題を解いたからといって、そこに深さがなければ力はつかないのです。

特に最近採録される文章は現代物が多くなり、揺れる登場人物の気持ちを的確に表現できなければいけない、というような問題も増えてきました。しかし、人生経験が少ない子どもたちがこれを完全に読み取れるか?といえば、そうではない。

だから、つい答えを写すだけで、具体的にどんな気持ちになっているか、ピンときていない場合も多いのです。したがって、たくさんやってもその深さがなければ同じことをくりかえしているだけだから力がつかないわけです。

私はたくさん解く必要はないと思っています。むしろ、一問の掘り下げ方が大事でしょう。

国語の指導のうまい先生の授業を見ていると、その状況を説明してまず、子どもたち自身がその状況に立ったような気にさせます。

その上で、「どんな気持ちになった?」ということを複数の子どもたちに聞き、板書していく。

3つ、4つあがってもまだやめない。子どもたちとしては、まだあるのか?と思いながら考えを進めていく。そうすると、もしかするとこういう気持ちもあるかも?という考えが浮かんでくる。そうやっていろいろな見方を見聞きさせながら、疑似的な人生体験をさせていきます。

表現というのは、6年生の後半になって実際に何を書こうか、ということがわかっていればそれなりに上達はしていくものですが、最初の場面での理解はそういう疑似体験が深まらないとなかなか出てこない。ですから、家で勉強するときは、どうしてこの答えになるのだろうか、というような話をできれば、お父さん、お母さんとしてほしいのです。

実際には物語のその場面が良くわかっていない場合もあるだろうし、人間関係を取り違えている場合もあります。そうなると、なかなか自分の考えから抜け出せない。逆に一緒に考えて、話す、ということだけで、想像が広がっていき、相当力がついてきます。

量をこなすよりも深さ、が国語の読解、特に物語文では必要ですから、闇雲にやろうとしてはいけません。

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