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時間のない子

その子は小学校3年生から野球を始めました。

もともと才能もあったし、お父さんも野球をやっていたこともあり、めきめき上達し、小学校5年生のときにはエースに昇格。そして6年生では4番も任されるようになりました。

しかし、家族としては中学受験をしたい。本人も好きな野球をしっかりやれる環境に進学したいが、だからといって野球だけでなく、いろいろなことにも挑戦したい。

ということで中学受験準備を始めたのですが、なかなかうまくいかない。

週2回から3回は練習があるし、土日は試合。あるいは練習。その合間に塾に来て、勉強するわけですが、やはり絶対的に時間が不足しているので、なかなか進まない。

さてどうするか、ご両親と相談をすることになりました。

「今のままで、志望校に合格する、というのはかなり厳しいかもしれません。絶対的な勉強時間が不足しています。本人ができる、できないの問題ではなく、やはり勉強する時間が足りない。頭のいい子ですから、それなりに今までやってこれたでしょうが、これからそういうわけにはいかない。覚えることも多いし、問題練習もしないといけない。その時間が足りません。」
「そうですか。やはり、野球を止めないとだめですか。」
「野球をすること自体が問題ではないのです。やはり勉強時間を確保できないと、厳しい、ということなのですが。」
「しかし、今のチームにいる限りは、このペースで続きます。」
「いつまで?」
「11月まで。それが最後の大会になると思います。」
「厳しいですかねえ。」
私もご両親も考え込んでしまいました。共に、野球を止めさせたいとは思っていないが、絶対時間が不足している以上、合格は難しい部分があるからです。


「じゃあ、こうしましょう。とにかく野球はがんばる。その代わり大会が終わったら必死にやる。その代わり、普通の子どもたちと同じようにあれも、これもとできないし、第一志望と第二志望だけ、がんばる。どうでしょうか?」

元より滑り止めについてはあまり乗り気でなかったご家庭でもあるので、あまり余分なことを考えず第一志望に時間を集中させようと考えたのです。

ご家族で話をした結果、野球はやはり最後まで続ける。その代わり、野球が終わったら第一志望と第二志望に向けての勉強を集中する、ということでがんばりました。

冬期講習から1月にかけて、いいところまで来ましたが、しかし、やはり知識の量が不足していました。残念ながらなかなか覚えられない。算国は何とかなるが、理科社会がどうか。

で、結果としては2校受験して、2校とも残念でした。2校受験して、彼の中学受験は終了しました。

終わってお父さんと本人と話をする機会がありました。

「まあ、野球が終わってから、本人は良く頑張ったと思います。先生のおかげで、ある程度目標を絞っていたので、あの短い時間でもずいぶんやれたのですが、でもやはり足りなかったですね。」
「そうですねえ。」
「でも、本人は最後まで野球が続けられたし、勉強もがんばった、ということが次につながればいいと思うので。」
「じゃあ、高校受験がんばらないとね。」
と本人に言うと
「はい。次はもう浪人になっちゃうので。」
としっかりした口調で答えてくれました。

本人にとってはもちろん悔しい結果ではあったものの、3年後この失敗が生きてくれれば良いと思いました。

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