弁護士任官どどいつ集

弁護士から裁判官になった竹内浩史のどどいつ集

「世間知らず!」と 反対意見 それでもボクらは 罰しない

2009年04月18日 11時11分33秒 | 判決どどいつ
14日の「痴漢逆転無罪」最高裁判決から。
裁判官3対2で、1・2審の有罪実刑判決を破棄自判して、無罪。
朝8時前後の小田急線の成城学園前駅から下北沢駅までの間の事件であった。
多数意見は「被害者は、車内で積極的な回避行動を執っていないこと」「被害者が、成城学園前駅でいったん下車しながら、車両を替えることなく、再び被告人のそばに乗車しているのは不自然であること」などから、被告人の犯行を断定するには「なお合理的な疑いが残る」とした。
「疑わしきは被告人の利益に」の原則を強調する補足意見に対し、反対意見は「この時間帯の小田急線の車内は、超過密であって、立っている乗車は、その場で身をよじる程度の動きしかできないことは、社会一般に広く知れ渡っているところ」「この時間帯における通勤・通学電車が極めて混雑し、多数の乗客が車内に押し入るように乗り込んで来るものであることに対する認識に欠けるなど」と批判している。
絶対に間違いない認定は無理な事案であり、裁判官を悩ませた難事件であることだけは間違いない。
それでも私は「疑わしきは罰せず」を貫こうとする多数意見を支持したいと思う。
この事案で逆転無罪が出たのは、周防正行監督の映画「それでもボクはやってない」の功績であることも間違いない。

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