今日の大阪高裁「住基ネット」違憲判決から。
そんな実例があったとは知りませんでした。
折しも「防衛庁」から「防衛省」への昇格法案が国会審議中。
(読売から抜粋)大阪高裁、住基ネット離脱を容認「情報保護に欠陥」
住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)はプライバシー権を侵害し違憲だとして、大阪府箕面(みのお)市など府内5市の住民16人が、住民票コードの削除や損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決が30日、大阪高裁であった。
竹中省吾裁判長は「住基ネット制度は、個人情報保護対策の点で無視できない欠陥があり、プライバシー権を侵害している」と述べ、住民側の請求を棄却した1審・大阪地裁判決を変更、箕面、吹田、守口の3市に、住民4人のコードを削除し、住基ネットからの離脱を認める判決を言い渡した。
住基ネットからの「個人離脱」は昨年5月、金沢地裁が初めて認定。高裁レベルでは初めて。
判決はまず、「住基ネットが、情報漏えいや目的外利用によって、本人が情報の提供や利用の可否を決める自己情報コントロール権(プライバシー権の一つ)を侵害される具体的な危険があれば、憲法13条に反する」との基準を示した。
竹中裁判長は「住基ネットは厳重なセキュリティー対策が講じられ、情報漏えいの危険性はない」と評価。一方で、行政機関が保有する本人確認情報を利用できる国の事務が拡大され、行政機関自ら法律や条例で将来、無制限に拡大できる点を指摘した。
さらに、防衛庁が自衛官の適齢者情報を収集した自治体のうち、3分の1以上が住民基本台帳法で閲覧が認められていない情報を提供していた実例も挙げ、「個人情報が際限なく、目的外利用される危険性が具体的に存在することをうかがわせる」と認定した。
これらの点から、竹中裁判長は「集積された個人情報が、住民票コードによる検索でデータ照合や名寄せが行われ、本人の予期しない時に予期しない範囲で行政機関に保存・利用される危険がある」とした。
そのうえで「目的外利用を監視する第三者機関はなく、住基ネットの運用は、自己情報コントロール権を著しく侵害するものと言わざるを得ない」と結論付けた。