”本気で遊びながら「未来」の一部を作る”をキーワードに新規サービスを創出するNTTレゾナントの社内プロジェクト「PLAYPLAY」。自身が強く惹かれる興味関心からサービス開発に挑戦し、将来のオピニオンリーダーを育てる場を目指しているプロジェクトです。
本日は、事務局(コア)メンバーに、プロジェクトの概要やワークショップのエピソード、今後の目標などをお聞きしたインタビューをご紹介します。
<事務局メンバー>
パーソナルサービス事業部 小峯 久治さん、米村 剛さん、渡辺 将大さん
ソリューション事業部 豊野 雄さん、大谷 一仁さん
自分の渇望を未来のサービスに生かしてイノベーションしよう
---------「PLAYPLAY」プロジェクトの概要を教えてください。
米村:未来をつくる新しいサービスは、「こんな社会になったらいい」「こんなプロダクトがほしい」といった一人の生活者として湧き出る渇望や強いエネルギーから始まります。「goo」もそういった想いから誕生しました。今回は自身が強く惹かれる興味関心や好きを起点に未来の兆しをとらえを捉え、そこからサービス創出のプロセスを実践するプロジェクトが「PLAYPLAY」です。「PLAYPLAY」では自分の興味関心を「B面」、未来の兆しを「未来ヒント」と呼んでいます。これまで実施した 4回のワークショップでは、参加メンバーがそれぞれの「未来ヒント」とサービスアイディアまでを導き出しています。
---------プロジェクトを立ち上げたきっかけを教えてください。
米村:元々は、NTTレゾナントとして新しいサービスを生み出すため、あるいは既存サービスに新しいものを取り込むためのガイドラインを作る目的で、2019年度にブランド戦略室と私が所属するX(エックス)デザインチームが起ち上げたたプロジェクトでした。幹部層も参加し、未来にはどんなことが起こるか、その時にgooではどんなことができるかを考えました。そこで導き出したヒントを「未来ヒント」という形でドキュメント化して、2020年度に発信しましたが、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって関連ワークができず社内に浸透させることができませんでした。
今回のプロジェクトは、マーケティング室の大谷さんから「未来ヒント」について相談をいただいたことをきっかけに、一緒にお互いの想いや課題を共有し合って実現しました。
大谷:私が所属するマーケティング室のリサーチユニットでは業界調査や消費者動向調査の報告会を年間4~5本行っています。その他に、Youtubeチャンネルを開設したり、Lightning Talkを開催したりしていますが、参加してくれる人がだいたいいつも同じメンバーだったり、一生懸命周知しても気づいてもらえなかったりと、より多くの社員が参加してくれる施策とするための課題を抱えていました。組織の今後を考えた時、必要なのは20代後半から30代前半の、業務を通じて社会経験を積み、あれやりたいこれやりたいとレゾナントにジョインした時の新鮮な気持ちのある人が育ち会社のコアになること。そしてその背中を見て次の世代が活性化することだと考え、人材育成の場としてこのプロジェクトを立ち上げました。
事務局となるコアメンバーは、これまでLightning Talkや社内ワークに積極的に参加している中から個性豊かで知見が豊富な人に声をかけました。ワークショップの参加メンバー(PLAYER)は、Lightning Talkや社内ワークによく参加してくれる人や今回のキーワードになる「B面」を持っていそうな社員にターゲット絞って設計しました。
「B面」はテック・ジャイアンツにも成り得る存在
--------- ワークショップ運営で工夫した点、苦労した点など印象に残っているエピソードを教えてください。
渡辺:「B面」は未来の種なので、例えば今「〇〇にハマっている」人が100人しかいなくても5年後には何万人という単位に増えているかもしれない、という仮説の基でワークショップを進めていきますが、そもそもその100人は自分の「B面」を周りに言いにくかったり言っても理解されず浮いてしまうんじゃないかと思ってしまうと想像できます。僕自身もオタク気質な趣味がたくさんあり、周りの人に打ち明けることを躊躇することがあります。でも、「PLAYPLAY」では「B面」が主眼になるので、「こいつらバカやってるな。でもなんかちょっと気になる、楽しそうだ」と思ってもらえるような募集メッセージや、「好きなことをどんどん出していい場所なんだ」と安心して参加してもらえるような声かけを工夫しました。
ビジネスにおいて、隠れたスキル=「B面」は、テック・ジャイアンツみたいな存在になる可能性が十分あるんだという想いを込めて、自分を含めた「B面」を隠している人に向けたラブレターを出しました。その甲斐があって、入社歴が浅い人にもPLAYERになってもらえたり、参加していない社員からも「PLAYPLAYはどう?」と声をかけてもたえたり、プロジェクトを認知してもらうことができました。
小峯:このご時世での大前提としてオンラインでのワークショップを運営するにあたり、コーディネートを依頼したロフトワーク社の方々と一緒に、オンラインホワイトボード「miro」を活用して、ストーリー性のあるテンプレートを作りました。
「PLAYPLAY島」というフレームを作り、ロールプレイングゲームで島を冒険するかのように、各キャンプサイト(チーム毎のワーク場所)を起点に、海エリアを探索し食材を集め(各自が興味関心を持つテーマのトレンドリサーチ)、それらをテーブル・コンロエリアで加工したり調理するかのように要素を分解(未来ヒントを考える種となる「未来の現れ」を言葉にする)しながら、未来ヒントと新サービスを生み出すための作業を行う、といったような見せ方で楽しんでワークに参加できる工夫をしました。
外部コーディネーターが作ったテンプレートをそのまま使うのではなく、コアメンバー全員で意見を出しながら半年かけてワークショップを構築できたことは大きな収穫だったと思います。
豊野:小峯さんが言ってくれてたように、プロジェクトが自走するための考え方やファシリテーション手法、設計や運営などの全てのプロセスに関わることでレゾナントらしいワークショップにすることができたと感じています。まだまだ続きますが、学ぶことが多く達成感を味わうこともできました。コアメンバーがこれまで各々の現場で培ってきた経験も生かすことができたと感じています。個性も経験もあるコアメンバーだからこそ立ち上げることができたプロジェクトだと思います。
渡辺:ワークショップの工夫という観点では、ポジティブチェックを意識したことも良かったと思っています。PLAYERが「B面」を膨らませられるようバックアップしたり、悩んでるPLAYERがいたら個別でミーティングしたり、継続的な成功体験を得られる土壌を作ることができました。
事務局としては稼働がかかった部分でもありましたが、最後までPLAYERを応援し続けられた、運営姿勢の良いアプトプットになりました。
大谷:私自身もUXデザイナーとして外部のセミナーやワークショップをたくさん受けてきましたが、フレームのノウハウを学べても、それを現場に落とし込むには自分たちなりの工夫が必要だと感じていました。今回のワークを通して参加メンバーはプロダクトマネージメントとしての知見拡大と、コアメンバーとして今後この取り組みを社内だけで完結し、実行し続けられるファシリテート力の知見と、さまざまなレイヤーの視点で学び成長できた機会となりました。それぞれ業務で置かれているポジション、背景や環境などを一旦置いておいて、自主性に任せたことが大きなポイントだったと思います。
---------ワークに参加したPLAYERからはどんな声がありましたか?
米村:リアルなコミュニケーションが難しい環境下でしたが、事業部横断の施策だったことで「横のつながりができた」という声が多くありました。ワークショップやコアメンバーに自分の考えを話て整理する「壁打ち」以外にも、チーム全員がオンライン上で黙々と作業をする時間を設けたことも好評でした。一人じゃなくてちゃんとつながっている意識が持てたのだと思います。
自担当の業務だと意見を言えない、自分を出せないと悩んでいた人がこのワークショップで「自分の考えや発想をアウトプットするプロセスを学んだ」、「業務で生かす良い経験になった」と言ってくれたメンバーもいました。また、法人営業を担当するメンバーからは、「クライアントがどんな気持ちでサービスを立ち上げているのか、どんな想いでサービス設計をしているのかを知ることができ、本業で役立てたい」といったコメントもいただきました。
「未来ヒント」がレゾナント入社の志望動機に
---------最後に、今後の取り組みや目標を教えてください。
米村:このあと、プロトタイプ制作と実証実験のフェーズに入ります。自分のサービスアイデアの解像度を高め、自分たちでカタチにしていきます。PLAYERに楽しく学んでもらうことはもちろんですが、まだ「B面」をオモテに出せない人が「次は参加したい」とアクセスしてもらえるようなアウトプットを続けていこうと思っています。色んな意味で未来思考のここで経験した知見やマインドをそれぞれが消化し、A面でもB面でも生かせる循環ができると良いなと思います。
豊野:実証実験の結果ビジネスにつながらなかったとしても、失敗もオープンにして、「失敗してもいい」ということを伝えたいと思います。他人ごとではなく、みんなが肯定し合い、同じ方向に進むプロジェクトとしてこれからも取り組んでいきたいと思います。
小峯:あらゆる経験を楽しむ、自慢しあう、そんな環境づくりの一助としてプロジェクトを継続していきたいです。私自身も自分でサービスやアイデアをカタチにして社内外に発信することが好きなので、様々なスタッフの「B面」から「未来ヒント」やサービス創出につなげられるような文化をレゾナントに根付かせることができるようチャレンジしていきたいと思っています。
大谷:みんなが言ってくれているように、「売れるプロダクトを作る施策」ではありません。成功しても失敗しても、結果だけにフォーカスするのではなく、そのプロセスを踏まえて気づきを得たり、モチベーションにつながればいいと思っています。このプロジェクトに参加するために、あるいは「未来ヒント」からサービスを創るためにレゾナントで働きたいと言ってくれる人が現れるまでのプロジェクトに成長させたいと思います。