Chapter Two, On Current Theories of Relative Species Abundance
(大前提)中立説で扱う群集は、単一機能群に属する種から構成されている(within trophic-level)。
群集を構成する種それぞれの個体数分布を表すグラフは二種類ある(種ランクー個体数曲線と1種あたりの個体数ー種数曲線)が、相互変換可能。
個体数ー種数曲線については、Fisherの対数級数則(Fisher's logseries)がまず最初に提案された。これは、個体数の少ない"レアな"種ほど種数が多いというパターンである。しかしPrestonによって異なるパターンが観測され、彼は対数正規則を提案する(Preston's lognormal)。これは、レアな種ほど種数が多いのではなく、種数に関して中央値があるパターンである。個体数が多すぎる種も、逆に少なすぎる種もそんなにたくさんはいないわけである。
このような観測パターンの説明しようとするモデルとして3つのモデルが紹介されている。
*broken-stick model・・・ある棒の長さを総資源量と見なして、ランダムにその棒を折っていき、バラバラになった棒の断片それぞれを、1種が占めることのできる資源幅であり個体数を反映すると見なすモデル。いくつに棒を折るかという種数をあらかじめ設定しなくてはならない。
*niche-preemption model・・・broken-stick modelと類似。1種めは、棒のうち(1-k)の割合を使える、2種めは残りの棒のうちの(1-k)の割合を使えるという風に資源分配をしていくモデル。競争のヒエラルキーを仮定している。
*sequential broken-stick model・・・一本の棒をまずランダムな位置で2つにおり、折れてできた2つの棒のうち片方をランダムに選んで、それをまた2つに割り、という風に分割していくモデル。いつまでこの作業をつづけるかを生態学的根拠なく作為的に決めなくてはならない。
それぞれのモデルが異なる個体数ー種数パターンを予想するがlognormalになるのは、sequential broken modelだけ。
さらにこれらのモデルは個体群の再生産、死亡、分散といった基本的な動的プロセスを反映してないという欠点がある。
では、そういった動的プロセスを扱う枠組みである微分方程式系のモデルで、種数ー個体数分布問題を取り組んできたかというと答えはノーである(そうだ)。
これら理論への批判に続いて、サンプル数を増やしていくと、実はlognormalにすら観測パターンは当てはまらなくなるという事実について明らかにされる。実際のパターンでは、個体数の少ないレアな種は、lognormalの予測に比べてもっとたくさんの種がいるのである。別のいい方をすれば、個体数の多い種の種数についての予測はlognormalでOKということになる。
この新たなパターンは、再生産、死亡、分散という動的プロセスに基づく"unified neutral theory"で初めてモデル化でき、その予測パターンを"zero-sum multinomial"と呼ぶことにした、ということでこのモデルについては次章以降のお楽しみ。
ロトカヴォルテラはそんなに役立たずなのかー?!
(大前提)中立説で扱う群集は、単一機能群に属する種から構成されている(within trophic-level)。
群集を構成する種それぞれの個体数分布を表すグラフは二種類ある(種ランクー個体数曲線と1種あたりの個体数ー種数曲線)が、相互変換可能。
個体数ー種数曲線については、Fisherの対数級数則(Fisher's logseries)がまず最初に提案された。これは、個体数の少ない"レアな"種ほど種数が多いというパターンである。しかしPrestonによって異なるパターンが観測され、彼は対数正規則を提案する(Preston's lognormal)。これは、レアな種ほど種数が多いのではなく、種数に関して中央値があるパターンである。個体数が多すぎる種も、逆に少なすぎる種もそんなにたくさんはいないわけである。
このような観測パターンの説明しようとするモデルとして3つのモデルが紹介されている。
*broken-stick model・・・ある棒の長さを総資源量と見なして、ランダムにその棒を折っていき、バラバラになった棒の断片それぞれを、1種が占めることのできる資源幅であり個体数を反映すると見なすモデル。いくつに棒を折るかという種数をあらかじめ設定しなくてはならない。
*niche-preemption model・・・broken-stick modelと類似。1種めは、棒のうち(1-k)の割合を使える、2種めは残りの棒のうちの(1-k)の割合を使えるという風に資源分配をしていくモデル。競争のヒエラルキーを仮定している。
*sequential broken-stick model・・・一本の棒をまずランダムな位置で2つにおり、折れてできた2つの棒のうち片方をランダムに選んで、それをまた2つに割り、という風に分割していくモデル。いつまでこの作業をつづけるかを生態学的根拠なく作為的に決めなくてはならない。
それぞれのモデルが異なる個体数ー種数パターンを予想するがlognormalになるのは、sequential broken modelだけ。
さらにこれらのモデルは個体群の再生産、死亡、分散といった基本的な動的プロセスを反映してないという欠点がある。
では、そういった動的プロセスを扱う枠組みである微分方程式系のモデルで、種数ー個体数分布問題を取り組んできたかというと答えはノーである(そうだ)。
これら理論への批判に続いて、サンプル数を増やしていくと、実はlognormalにすら観測パターンは当てはまらなくなるという事実について明らかにされる。実際のパターンでは、個体数の少ないレアな種は、lognormalの予測に比べてもっとたくさんの種がいるのである。別のいい方をすれば、個体数の多い種の種数についての予測はlognormalでOKということになる。
この新たなパターンは、再生産、死亡、分散という動的プロセスに基づく"unified neutral theory"で初めてモデル化でき、その予測パターンを"zero-sum multinomial"と呼ぶことにした、ということでこのモデルについては次章以降のお楽しみ。
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