緩い斜面に建てる-2・・・・木造の長屋:その架構

2008-06-02 20:05:47 | 設計法

[図面改訂 6月3日 10.42、11.01][記述修正 6月3日 11.10][タイトル変更 6月3日 17.38]

緩い傾斜地面に大きな手を加えずに建てるためには、一戸あたりのおおよその間口を基に計算すると、各戸相互間に約20~25cm程度の段差を設ければよい。
一方、各戸を同一断面にして、その屋根勾配を2寸5分とし、建物のズレを3尺にすると、7.5寸の段差が生じる。これで配置してみると、敷地に納まる。それが、前回紹介の配置図。

今回紹介するのは、各戸の「各階平面図」と「標準矩計図」、および「戸境通り(図の「い」通り)の軸組図」。

架構は、以前に紹介した「棟持柱」形式(「続・日本の木造技術の展開・・・・棟持柱・切妻屋根の多層農家」「棟持柱の試み・・・・To邸の設計」「棟持柱の試み・補足・・・・To邸設計図抜粋」)を採っている。

上掲の矩計図は、上掲平面図の一戸手前の住戸の矩計。軸組図は、その戸境壁(「い」通り)の軸組。
棟通り(図の六通り)を「通し柱」として、「床梁」「小屋梁」を「通し柱」の両側に出し、管柱で支える(上掲平面図では、棟通りは「七」通りになる)。
左右(南北)に延びる「床梁」「小屋梁」は、「通し柱」で「雇い小根ほぞ差しシャチ栓継ぎ」。同一位置で直交する東西方向の梁(桁)も同様「雇い小根ほぞ差しシャチ栓継ぎ」で通し柱に納める。

厄介だったのは、戸境の軸組(「い」通り軸組図参照)。
図のように、複雑になっている。ただ、この部分以外は、きわめてスムーズに仕事は進んだ記憶がある。

このような「棟持柱」形式は、ことによると現在は、、隅柱を通し柱にせよ、という「建築基準法」の規定に違反するとして、認めてくれないのかもしれない・・・。

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