「手描きの時代」育ち-9・・・・前川國男建築事務所の図面(4)

2008-03-26 00:21:48 | 設計法

この建物は、タイル打ち込みコンクリート工法の、いわば完成形。
コンクリート打ち放しの外面劣化対策として考案された方法。すでに「埼玉県立博物館」でも使われているが、ここでは、いわばさらに進化している。

なお、つくばにある「洞峰公園体育館」(大高正人設計)の妻面に高い煉瓦壁があるが、ここでは、煉瓦積みで外殻をつくり(一度に3m、一層分)、それを形枠がわりに直接コンクリートを打設した、という話を、その煉瓦工事にかかわった方から聞いたことがある。つまり、タイル打ち込み方式のタイル外側の合板形枠を用いない方法。
ただ、煉瓦積が1枚であったか半枚であったかは覚えていない。多分1枚だったと思う。近くを通ったときに確認してみたい。

私の経験では、540mm角、高さ2mほど門柱で、煉瓦1枚積みの外殻だけで、完全に硬化はしていなかったが、コンクリートを打つことができた。
セメントモルタル目地の1枚積みで、目地が硬化した後なら(つまり、煉瓦壁が自立したならば)、ある程度の高さまでは十分に打設できるように思える。

平面図(部分)の原図は、縮尺1/100、矩計図(部分)は1/20ではなかろうか。また、タイル割立面図も1/20のように思われる。

どの図面も、きわめて丁寧で、ごまかしがなく、見やすい図面。このような図は、最近の設計図では見たことがない。CADで、どこまでこの図に迫れるのだろうか。


なお、打ち込みタイルの詳細図(ただし、印刷用のトレース図面)も同書に掲載されているが、今回は紹介省略。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする