煉瓦を積む-3・・・・木骨煉瓦造:図面補足追加

2008-03-02 10:29:16 | 設計法

更に図面追加。工程写真に相当する西側の立面図。実施設計図より。
コメント (2)
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煉瓦を積む-2・・・・木骨煉瓦造:図面補足

2008-03-02 07:16:29 | 設計法

図面が読みにくかったので、部分詳細図面だけ編集し直しました。
図面名称は省きました。

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煉瓦を積む-1・・・・木骨煉瓦造

2008-03-02 01:58:33 | 設計法

[字句修正 10.44、3月3日 2.29]

07年3月14日に「煉瓦の活用」として紹介した建物の、煉瓦積工程を撮った写真が出てきた。

この建物は、喜多方の煉瓦蔵の方式に倣って木造軸組に外側から煉瓦をはめ込む積み方をしている。
ただ、喜多方では大半の建物が全面を煉瓦でくるむのだが、ここでは内法差鴨居下端まで。
したがって、内法寸法は、煉瓦枚数を勘案して決めている。上掲の「煉瓦標準割付図」参照。1段70㎜で計算(標準寸法60㎜+目地10㎜=70㎜/段)。[字句追加 3月3日 2.29]

   註 普通煉瓦の規格寸法:長さ210×幅100×厚60㎜ 

工程写真は、建物西側の台所~食堂~居間の西側の壁を積んでいるところ(上掲の「全体平面図」および「部分平面図」「部分断面図」参照)。
なお、「煉瓦標準割付図」「平面詳細」「部分断面」は、実施設計図からのコピー。全体平面図は「住宅建築1987年12月号」から転載加筆。

写真①で、煉瓦上面に、次段を積む用意として、目地材が全面に置かれているが、これは「砂漆喰」。
「砂漆喰」は気硬性のため、水硬性のセメントモルタルとは異なり、すぐには固まらず、数日分つくっておくことができる。保管は空気があたらないようにカバーをかけておけばよい。これは作業上きわめて都合がよい。

また、「砂漆喰」には調湿性もあるので、何年経っても一定程度弾力性・柔軟性がある。そのため亀裂も入りにくい。新潟地震の際、喜多方の煉瓦蔵では、古い砂漆喰を使った建物では、亀裂が生じなかったという。

   註 このⅠ邸の場合、冬季、カラカラに乾燥した頃、
      内法下部:煉瓦と差鴨居の接点に若干隙が生じたが、
      乾燥が納まったら、元に復したという。
      竣工後20年を経過したが、今のところ亀裂はない。

煉瓦を積むにあたっては、左官用の舟に水を張り、煉瓦をしばらく漬けておく。
普通煉瓦は吸水性があるので、それをしないで煉瓦を積むと、目地材の水を吸収してしまい、接着に不具合を起こすからである。
ただ、水に漬けると、ただでさえ重い煉瓦は更に重くなる(1個3キロ近くなる)。大体、1日あたり200~250本積むのが妥当のようで、それ以上積むと、翌日仕事にならない。手が動かなくなるのである。

写真③は、①のやり方とはちがい、1枚ずつ漆喰を盛って積む普通の方法。
写真では見にくいが、定規の糸が張ってある。
煉瓦の寸法は規格があっても1枚ずつまったく異なる。長さは規格では210㎜だが数㎜の狂いがある。厚さ60㎜も同様。そのため、高さ70㎜ごとに糸を張り、煉瓦上端の前面角(かど)を糸にあわせ、横方向は「見た目」で按配する。この作業は、壁面全体を常に見渡すことに慣れている左官職がうまい。一方、タイル職は、寸法が正確なタイルを日ごろ扱っているためか、「目地幅を揃えること」の方に気がいってしまい、結果として面としての仕上りはうまくゆかない(目地幅を揃えることは不可能といってよい)。[字句修正10.44 3月3日 2.29]

なお、この設計では、1間6尺を8枚で割り付けている。したがって1枚あたり7寸5分≒225㎜。つまり、現在の規格煉瓦では、目地幅は平均15mmとなる。喜多方で使われた煉瓦は、現在の寸法よりも多少大きめ。
通常、煉瓦の目地は10㎜とされる。煉瓦の規格である210×100㎜という寸法は、この目地寸法から決められたもの。
すなわち、小口2枚+目地10㎜=210㎜。

軽井沢の山荘でも、設計図ではこれと同様の割付にしたのだが、施工した煉瓦積に慣れている職方がいっこく者で、この割付と無関係に積んでしまった。結果は、煉瓦積と木軸とが分離した感じになってしまって、見栄えはよくなかった。それは、木軸部の寸法と煉瓦部の寸法が整合していないからなのだ。


④⑤⑥の暖炉は追加工事のため、実施設計図には記載がない。暖炉部設計図を探したが見つからないので、今回はあきらめた(暖炉は完成後、よく燃えた)。

機会があれば煉瓦積を、単なる化粧ではなく本格的に使用したいのだが、なかなか出番がない。そうこうしているうちに、この建物で使った煉瓦を製造した「日本煉瓦製造KK」は煉瓦製造を終了してしまった。
この会社は、国の「建築の近代化」に呼応して、渋沢栄一の肝いりで創設された会社。碓氷峠の鉄道関連施設の煉瓦は、ここの製造になるもの。
工場は埼玉・深谷にあり、当初(明治期)の煉瓦製造焼成窯:ホフマン窯が重要文化財として保存されている。
 

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