新年になって、もう二月。
そして、来月、つまり三月になると東大寺・二月堂で「お水取り」(修二会:しゅにえ)。「松明(たいまつ)」が主役の一つでもあるので「お松明」とも呼ばれる。
関西では、「お水取り」が終ると春が来る、と言う。
学生の頃、「お水取り」を観に行ったことがある。
今から半世紀前、当時の国鉄には「学割」があって、運賃が大人の半額だったから、頻繁に(年に最低2回は)奈良、京都を訪ねたものだった。
博物館前の「日吉館」など、安くて学生に親切な宿屋も多数あった。
三月とは言えしんしんと冷え込んだ深夜、「修二会」の行の光と音の迫力に圧倒され、いつのまにか寒さを忘れていたのを覚えている。
上掲の写真は二月堂の西面。この建物も「懸造」である。
堂の外周の「懸造」の本体から迫り出した縁から、松明の火の粉が舞い、建物は火の粉でくるまれる。
普段の日、縁に登って西を観ると、大仏殿の屋根が眼の下に望める。
「懸造」になっているのは、若草山の西斜面に立地しているからである。写真では緩く見えるがかなりの急勾配。
写真左端に、修行僧が松明とともに駆け上がる急な階段(屋根がかかっている)が写っている。
下段の図は周辺の等高線入りの地図に伽藍の配置を載せたもの。
全体の地形と「南大門」「大仏殿」「鐘楼」「法華堂」などの位置との関係を確認できる。
東大寺から春日大社、春日山の山裾の森の中を歩き、新薬師寺、石上(いそのかみ)神宮、・・を訪ね、いくつもの古墳を観て、途中の和める集落に立ち寄り、そして三輪神社へと、のんびり一日がかりの散策をよくしたものだった。最近訪ねていないが、宅地化の波が押し寄せてはいまいか。