2009年6月14日(日)にNUA(日本ウクレレ協会)の創立50周年イベントが東京で開催されました。(このイベント関連の写真はNUAサイトより借用しました)200名の参加者を3組に分けて撮影したうちの1枚です。
当日はNUA創設者灰田さんのお嬢様の並河さん(写真右)をはじめ灰田さんのNUAでの良き片腕だった特別会員の渡辺さん(写真左)、特別会員で「フラガール」のモデルにもなった早川さんほか多彩なゲストにお越しいただきました。
その中でも灰田さんがNUAを立ち上げるきっかけとなったNUA名誉会員のオータサンは特別な存在でした。
オータサンは演奏はもちろんのこと
特別なワークショップも実施してくださいました。
この日同じステージで帰山さんとMegさん(右)によるユニット「レレ・デ・ボッサ」
の演奏もありましたが、これを聴いたオータサンからMegさんに彼の最新の作品への日本語歌詞付けが依頼されました。
承諾したMegさんのもとへ10曲を超える作品が送られてきたため、Megさんとしてはしばらく日本語歌詞付けに没頭することとなりました。
そして完成した作品をハワイに送ったところ、オータサンからレコーディングのオファーがあったためMegさんはハワイに飛ぶことになりました。
オータサンの親友で、オータサンの数多くのアルバムを録音しているエンジニアで作曲家のピエール・グリル(中央)
の所有する「ランデブー・スタジオ」でその全曲をMegさんが歌い、オータサンが演奏する、という形の録音が完成したのですが、なんとこのアルバムは完全な「非売品」であってオータサンとMegさんの記録の目的だけに作られた「幻のアルバム」だったのです。
そしてこのアルバムのタイトル・ソングが今回Sheet Music化した「遥かな人へ」
だったのです。上記楽譜には「Cool Exciting Melody」という英語のタイトルがついていますが、Megさんが受け取った楽譜
にはまだタイトルが付いておらず、のちに作詞家のジェイミー・ホープに渡ったときに英語タイトルがつけられたため日本語歌詞と英語歌詞は全く関係ないものとなっています。
ところでこの曲はユニークな構造になっているためにちょっと問題があるのです。
それは上記楽譜で分かるように全体の構成はA-A’-B-A’’なのですがサビのBメロディーが短三度(半音3個)高くなるように曲内転調しています。
しかもその後BメロディーからAメロディーに戻るのですが、その際もとのキーには戻らず短三度高いまま進行するのです。
ここでポピュラー曲によくあるようにもう一度AメロディーなりBメロディーに戻ろうとすると、このままではキーがどんどん高くなってしまうことになります。
今回作成されたCDから採譜した楽譜はこのようになっています。
これですと良くわからないのでブロックごとのキーを表示しますとこのようになります。
すなわちMegさんの歌は「キー・オブA♭」でスタートし、サビで短三度上の「キー・オブB」(左下と右上)に転調しますが、それに続くオータサンのウクレレ・ソロはそれより半音高い「キー・オブC」すなわち一番弾きやすいキーで演奏されます。
Megさんのお話では、オータサンから届いた楽譜のオリジナル・キー(C/E♭)では後半部分がMegさんに取ってキビシイのでA♭に移調してデモ音源を作成してハワイに送り、それがピエールに採用されたようだったとのこと。
サビが「キー・オブ・B」だったためオータサンがそのままウクレレ・ソロでAメロディーを演奏する際にはウクレレにとって弾きやすい「キー・オブC」に転調させたのでしょうね。
そしてその先がもっと大変です。
オータサンのウクレレ・ソロでキーがCに上がっていたのにMegさんの歌うBメロディーがふたたび「キー・オブB」に下がっているのです。
インストゥルメンタルでしたらいかなるキーに飛んでも問題ないのですが、ボーカルの場合半音上がるのでしたらまだしも、それまでのキーから半音下げて歌うというのはかなりリスクが大きい曲内転調です。
なぜ下げたかと言えばおそらくエンディング部分で「キー・オブC」に上がることでリスナーに最後の盛り上がりを感じさせることを考慮したのでしょう。
いずれにしてもこの苦心の作を聴いてみてくださいね。
2023年2月28日(火)のMegさん15回目(多分:本来なら29日なので・・・)の誕生日に開催されたプウホヌアのカニカピラでこの構成による演奏をいたしましたが、コードが目まぐるしく変わるのでオタオタしているうちに終わってしまいました(汗)
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2015年にこの曲を含んだアルバム「ランデブー・イン・ハワイ」
がリリースされました。私のブログ
でもご紹介済みです。このアルバムでオータサンが演奏する「Cool Exciting Melody」をお聴きください。
ご存じのようにCDという媒体はサンプリング周波数44.1kHzで16ビットの量子化ビット数で記録されているのですが、この元となるスタジオでの記録はCDの2倍以上の周波数96kHzでサンプリングされるとともに16ビットの256倍の分解能である24ビットで記録されているのです。ということはCDの500倍以上の繊細な分解能で記録されていることになります。
ただ、残念なことにCDにそれを入れ込むことはできないので、別途「高解像度(ハイレゾ)データ」として発売しているアルバムがあり、オータサンのこのアルバムもハイレゾとして販売されていますので、この曲だけ、もしくは全曲を購入してハイレゾ音源をお楽しみください。(1曲:550円、全曲:3,300円)
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今回のシート・ミュージックもA3判二つ折り、両面カラー印刷で作成いたしました。
表紙側はこんな具合。恒例に?したがって左右逆に配置しています。QRコードが4個もありますね。
ボーカル用のメロディーとウクレレ・ソロ用のメロディーです。
内面はこんな具合です。価格が変わらないのでカラー印刷にいたしました。
実は上記の譜面には間違いがありました。上記譜面左ページ3段め右端の部分でタブ数字の位置が一段ずれていたのです。プウホヌアの会の際にMegさんから指摘を頂いて初めて知った次第です。
この譜面をお持ちの方はお手数でも訂正よろしくお願いいたします。
ところで伴奏する立場から見ると、この曲は目まぐるしくコードが変わる「イヤな曲」と言えるかもしれませんね。
せめてものサポートにウクレレのコード・フォームを書きましたが、それでも1小節に2個も3個コードが変わるのは困ったものです(汗)
他の曲の場合はコード表1段あたり8小節表記できるのですが、この曲ではそれができず4小節が精一杯でした(涙)
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