最近ハワイでもバンジョーウクレレが目立つようになったため、その代表的なモデルをご紹介いたします。
ひとつはおなじみのフルークやフリーを出しているマジック・フルーク社から出た米国製の「フリーM80ファイアフライ(蛍)」で(写真上)、もうひとつはエディー・フィン社からでている台湾製の「EF-BU1バンジョー・ウクレレ」(写真下)です。
それぞれの裏側はこのようになっています。
写真からお分かりのようにエディー・フィンのほうが伝統的なバンジョーを小さくしたような構造を持つのに対して、フリーのほうは極端に簡素化した構造になっていて、バンジョー・ヘッドのテンションの調節はおろか交換もできないように見えます。でもこのクラスのものはそれでも良いかもしれません。
エディー・フィンではボディー内部に太い金属棒を通すことでネックから連続したと同様の効果をもつ構造になってるのに対して、フリーのほうはネック自体をテールまで延長し、テールとの接合部にあるネジでボディーとネックのなす角度が調節できる構造を持っています。
バンジョー・ウクレレは振動膜(メンブレン)の上にブリッジを載せているために、長期間演奏したり保存していると弦の張力により膜が伸びてしまい、ブリッジが沈んで行きます。そのためエディー・フィンのような構造の楽器ではボディー周囲に配置されたナットを回すことで膜の張力を回復させるようになっているのです。
それに対し、この構造をもたないフリーの場合にはブリッジの沈みは覚悟のうえでネックとボディーの角度を調節することで弦がフレット線に触れてバズ音が出ないようにするという画期的な構造(特許でしょうか)で設計されています。
ただ、フリーのほうにはネックにサイドドットがないので演奏がやや困難になるでしょう。
いずれも専用のギグバッグが付いていますが、これは楽器の構造上どうしても必要とおもいます。なにしろ既成のケースには収まらないでしょうから。
バンジョー・ヘッド(振動膜)はトップメーカーのRemo社製もしくはライセンス生産品によるマイラー(ポリエチレン・テレフタレート)製ヘッドで、フリーのほうはポリスパンを混ぜて音質と外観を考慮したFiberskyn3というものを使っています。
それぞれの寸法を比較すると(フリー/エディー・フィンの順)、まず全長は547mmと553mmとほぼ同じ、弦の実効長も355mmと350mmといわゆるスタンダードサイズ。全幅すなわちバンジョー・ヘッドの直径は200mmと167mmと大きくちがうのですが、何よりも違うのは質量(重さ)で450グラムに対してなんと985グラムと2倍以上エディー・フィンが重たいのです。このため立って演奏するとズリ落ちそうになります。やはり本格的!な構造を持つことが災いしているのです。
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この軽いほうのフリーM80ファイアフライをお持ちのjunさんから「ギヤペグに付け替えられないでしょうか?」というご相談をいただきました。
junさんのご希望ではゴトーのUK-700(図面上)かUK-12(下)を取り付けたいとのことでしたので、もともとのファイアフライの寸法を確認してみました。
この会社(マジック・フルーク社)の製品は代表的なフルークもフリーのいずれもが同じ構造のスロッテッド・ヘッドとなっています。ただし一般的なスロッテッド・ヘッド構造ではチューナー(弦巻き)のシャフトの先端も支える形状なのですが、こちらは普通のチューナーのように根元だけでしっかりと取り付ける「片持ち構造」になっています。
最初にご希望のUK-700の検討をいたしますと、取り付け面から弦を通す穴までの距離はオリジナルとほぼ同じ19ミリあるのですが、問題はベースの取り付けネジ方向の長さが33.5mmもあるのでオリジナルの取り付け穴を移設しない限り取り付きません。しかもそれと直交する方向の長さが16mmあって取り付け面から1mmずつ上下にはみ出すのです。もちろん穴の移設加工ができるのであればこの「はみ出し部分」を削り取ることも可能ですが、ちょっと大掛かりな作業になってしまいますのでUK-700採用案はボツとなりました。
つぎにUK-12を検討しますとベースの取り付けネジ方向の長さは十分短い(31mmに対し21mm)のでここはパスしたのですが、取り付け面から弦を通す穴までの距離が16.2mmなのでブッシュの鍔厚まで考えると穴がぎりぎり顔を出す程度となり、弦を余裕を持って巻きつけられないという問題点があります。こちらのほうは「使えないことは無い」のですがあまりお勧めできない構造でした。
実はゴトーにはこの場所に絶対に取り付く製品があるのです。
それは超小型チューナーの「ステルス・シリーズ」で、これにも「高価」という問題点がありますが間違いなくこの位置に取り付けることが可能なのです。
ステルス・シリーズには「ウクレレ用」という製品もあるのですが、これはヘッドストックに穴を開けず、チョコンと載せる構造をもっているので一般的には大変便利なのですが、今回の目的には適しません。
ここで使えるのはギター用のSTM-31という製品で6個一組(つまり2個は使わない)で14,000円もするのですがjunさんはこれの採用に踏み切りました。
しばらくしてjunさんから写真が送られてきました。注文していたSTM-31が届いたので先輩の方に取り付けていただいたとのこと。
正面と
背面
そして側面の写真です。
さらにヘッドストック付近の正面と
裏面
そして側面の写真です。
大変きれいに出来上がったので毎日この楽器を楽しく演奏しているとのことでした。
バンジョーとマンドリンは一度も触った事が有りません。
マンドリンは中学で好きだった娘が、別の高校へ行きマンドリンクラブに入ったと聞き文化祭へ聴きに行った事が有りましたが、あの悲しい響きは苦手です。
じゃ、バンジョーはと言えば全く無縁でけたたましいと言う印象しかないのですが、、。
って、ペグの話でしたね。
たぶんカントリーやデキシーの音楽が背景にあるのでしょうね。
普通にウクレレを弾く感覚でこれを弾くとたしかにけたたましく感じますので、それなりのアレンジが必要な楽器でしょうね。
でも、さすがにマンドリンの引き合いはありません。
NUAにも顔を出したビルさんが自作のマンドレレでプロ活動している程度ですね。
ウクレレも弾き方で変わりますね。
この楽器はこうあるべきという考え方は一部改めなくてはいけなのでしょうね。
当然限界があり、やはりこの音楽はこの楽器が一番というのはあるでしょうが・・・・。
しかしながら、MATTさんの探究心にはいつもながら感服いたします。
まだまだ限界が見えませんね。
よくわかりませんが、通常はギヤを介して微調整ができるようになっているのですが、こういう演奏用にギヤ結合を解除できる構造になっているのかもしれません。
その後スラッキー・フェスティバルでLTスムーズが普通のギターでこれに似た奏法を披露していたので、彼も研究しているんだなぁと思いました。
どなたかウクレレでやってみませんか?
只今ホノlルルに滞在中です。今週いっぱいいますので、お時間がありましたら、ウクレレ談義でもしませんか。
http://www.facebook.com/toshi.harasawaへ連絡先を
書き込みしてください。
facebookは現在休止中ですがメッセージを送らせていただきました。