読書など徒然に

歴史、宗教、言語などの随筆を読み、そのなかで発見した事を書き留めておく自分流の読書メモ。

武士の始り

2008-11-19 14:40:46 | 歴史
海音寺潮五郎著「歴史余話」から
大宝律令には軍制の規則があって、常備軍が置かれる事になっていたが、平安初期、桓武天皇の延歴年間(元年782)に財政上の理由で廃止されてしまった。軍のない政府となってしまったのである。検非違使と言う警察制はあったが盗賊の追捕程度は出来るが武装した大きな集団になると対応出来なかった。住民はここに自衛の手段が必要となった。寺院の僧兵、神社の武装神人はこうして発生したが自らの手で開墾し地主となった者は私領地の民の中で屈強の者を郎党とし武術を習得させ従えた。これが武士の起源である。従ってこの時代の武士とは在地地主とその家ノ子、郎党らとを武力を備え持つと言う点で呼んでいる名に過ぎない。実体は地主、自作農、小作農などの作農者で生産者なのである。後の戦国時代中期から江戸幕末に至るまでの消費者としての武士下級とはこの点ではっきり違っている。

「少年よ、大志を抱け」に続く言葉

2008-11-18 09:40:39 | 読書
 
息子が「少年よ、大志を抱け。」に続く良い言葉が有るらしいと言っていたので調べて見た。

“Boys be ambitious ! Be ambitious not for money or selfish aggrandizement , not for that evanescent thing which men call fame . Be anbitious for the attainment of all that a man ought to be .”
となっており、
 金を求める大志ではなく、利己心を求める大志でなく
 束の間の名声を求める大志でもなく、人として在るべき全てものを
 求める大志を持ちなさい。
と有って、中学、高校の教科書に有るらしい。
Boys be ambitious !と言うこの語は後世、付け加えられたのではないかと
言う説もあるそうだが朝日新聞の天声人語によって人口に膾炙したと言う。


これも本の借り方

2008-11-15 13:50:01 | 読書

ガソリンが高くなり、遠くの図書館まで本を借りに行けなくなった。インターネットで県立図書館のホームページで本を検索し、最寄の図書室でリクエストカードにその本を記入し、少し日数は掛かるがそうして本を借りる事が多くなった。ついでにもう一つやっている事がある。新聞の日曜版に色々な本の書評が出る。それを読んでから興味を持てる本をやはり近くの図書室でリクエストカードに記入し借りると言う事をやっている。新刊書の場合は図書室でその本を買って貰える事がある。

宋襄の仁

2008-11-14 14:14:41 | 歴史

岩波新書 「史記を語る」宮崎市定著より
中国、春秋の時代、宋に襄公と言う支配者が出た。孔子の著したという春秋によれば彼は融通のきかぬ理屈屋で、南の強国、楚が泓水を渡って襲って来るのを迎撃する際、戦略の常識として敵が河を半ばまで渡ったときに攻撃すべきとの部下の進言を避け、敵が河を渡り終え、しかも陣形を整えた後に戦いに望んだ結果、戦いを失ったと言う。襄公の理屈では人の弱点に付けこんだ戦いは道徳律に合わぬと言う事だった。このように勝てる戦に負け相手を利する行為を後世、宋襄の仁と呼ばれるようになった。宋の人々の文化も周の民族の文化とはかなり異なったところが有り、日本でも歌われる童謡「まちぼうけ」の内容も周の人が宋の人を馬鹿にして出来た寓話だそうである。

少子化雑感

2008-11-13 16:08:17 | 新聞

少子化社会と最近、相次いだ病院の妊婦受け入れ拒否による死亡事件で感じる事がある。以前から感じて居た事だが、結婚、出産、子育てにベストの時期が有るのではないかと言う事だ。今日の新聞に投書して来た女性看護師(36歳)の記事を見て更にその思いを強くした。その看護師の文章をそのまま引用させて貰うと「初産の若い方と高齢の方とのお産に対する危険度は違うと言う事です。若い方は胎盤の色も鮮やかで生まれて来る赤ちゃんも非常に健康な事が多いです。一方、高齢の方は体に問題を伴う事が多いです。胎盤の色も鮮度がなく、赤ちゃん自身の発育もいまひとつの場合が多く、異常と感じられる場合もあるのです。」と。ここに少子化に対し、産科医を増やすという政策だけでは対応出来ない問題が有ると言う事だ。女性が若い間に健全な出産が出来るような環境作りと教育の必要性が感じられるのである。

夜半に嵐の吹かぬものかは

2008-11-12 10:11:14 | 読書

五木寛之著新聞連載小説「親鸞」から
叔父の範綱に連れられて忠範、(後の親鸞)は後に師となる慈円に会いに行く、そこで忠範は慈円から、「明日有りと思うこころのあだ桜」と言う句の後に続く句を作るようにと促された。そこで忠範は「夜半の嵐の吹くぞ悲しき」と続けた。忠範はこのとき九才である。慈円は、この句を「夜半に嵐の吹かぬものかは」にしてはどうかと指導した。
詩も俳句も短歌も私は解しないが慈円の添削したこの下の句には思いやりが感じられた。

四季を分けた初め

2008-11-11 15:17:16 | 歴史

岩波新書「史記を読む」宮崎市定著から
中国人は時間の流れを分ち周期とし、その一周期を四分する傾向が有るそうである。自然の時間の流れの一周期を一年とし、これを四分して春夏秋冬とした。これを夏と冬という二期に分ける事も可能だったが四分した。最短の周期は一日で、これを四分して朝、昼、夕、夜とした。また文学の上でも起、承、転、結と分け、詩の絶句に表れる。
何気なく春夏秋冬と言う語を使って来たが、古代中国の思惟の傾向が今日に伝わっていたのである。

北方謙三著「史記」武帝紀を読了

2008-11-09 13:44:51 | 読書

北方謙三著「史記」武帝紀(一)を読了と言っても司馬遷の「史記」は歴史書で読了したのは歴史小説だ。この小説では衛青と言う奴僕と言う身分の出の若者が匈奴との戦で活躍し将軍にまで出世すると言うもので広大な中国の大地が目に浮かぶような作品である。中国を舞台にした小説は殆どこれが始めてで他は映画、例えば「赤壁」などを見たに過ぎない。昔、読んで余り理解出来なかった岩波新書の「史記を読む」宮崎市定著をもう一度引っ張り出してきて、合わせて読んで見た。北方謙三の史記は武帝紀(一)となっているので続編が出るのだろう。それも読んで見たいと思っている。

womanはwomb-manではない

2008-11-08 14:36:00 | 読書

womanの語源はwomb-man(子宮を持つ人)だろうと漠然と碌に調べもせずに勝手に思い込んでいた。色々な俗説が有るそうだが、古英語のwifmannウィーフマンが語源と言うのが本当らしい。wifウィーフは「女」を意味し、現代のワイフの語源とのことである。

日本初演のシェクスピアー

2008-11-07 11:19:30 | 読書

日本で最初にシェイクスピアの作品が演じられたのは何と江戸時代だそうである。四代鶴屋南北の「ロミオとジュリエット」で、翻訳されたものではなく舞台を日本に変えた翻案と言うもので日本題は「心謎解色糸(こころのなぞとけたいろいと)」と歌舞伎風の名になっている。こうした歌舞伎風の題で翻訳、翻案作品にされた外国の作品は明治に入って増加した。
「李王」は「リア王」、「何桜彼桜(さくらどき)銭の世の中」が「ベニスの商人」
「葉武烈土倭錦絵」は見当がつけ易く「ハムレット」、「該撤奇談 自由太刀余波鋭鋒(じゆうのたちなごりのきれあじ)」が「ジュリアスシーザー」など。