岩波新書「日本語練習帳」大野晋著から
「考える」の最も古い例を「日本書記」に見ると一つには「刑罰を決めること」が有った。この語のもとの形は「かむがへる」で「か」は事とか所を意味し「むがへる」は「むかへる」がもとの言い方で「向き合わせる」ことを言った。罪を犯した者の悪事が刑罪を定めたどの規則に当たるのか事実と規則を突き合わせる事が「かむがへる」だった。
「事柄を突き合わせて調べる事が「考える」の最も古い使い方であった。
戸籍の記載と実際の田畑の場所を突き合わせて調べることも「校(かむが)ふ」と言った。
そう言えば、出版界で使う「校正」という仕事も考えて正す事で、「学校」も考えて学ぶところと言う意味が元らしいと思った。