読書など徒然に

歴史、宗教、言語などの随筆を読み、そのなかで発見した事を書き留めておく自分流の読書メモ。

宋襄の仁

2008-11-14 14:14:41 | 歴史

岩波新書 「史記を語る」宮崎市定著より
中国、春秋の時代、宋に襄公と言う支配者が出た。孔子の著したという春秋によれば彼は融通のきかぬ理屈屋で、南の強国、楚が泓水を渡って襲って来るのを迎撃する際、戦略の常識として敵が河を半ばまで渡ったときに攻撃すべきとの部下の進言を避け、敵が河を渡り終え、しかも陣形を整えた後に戦いに望んだ結果、戦いを失ったと言う。襄公の理屈では人の弱点に付けこんだ戦いは道徳律に合わぬと言う事だった。このように勝てる戦に負け相手を利する行為を後世、宋襄の仁と呼ばれるようになった。宋の人々の文化も周の民族の文化とはかなり異なったところが有り、日本でも歌われる童謡「まちぼうけ」の内容も周の人が宋の人を馬鹿にして出来た寓話だそうである。