読書など徒然に

歴史、宗教、言語などの随筆を読み、そのなかで発見した事を書き留めておく自分流の読書メモ。

「阪」と「坂」

2008-05-23 15:02:57 | Weblog

「阪」は殆ど地名にしか使われない。大阪、松阪市くらいだが歴史を見ると「大坂夏の陣」とか「大坂城」、「松坂藩」など多くが「坂」である。江戸期まで大阪も松阪も坂を使っていた。大阪の場合、坂がこざと篇の大阪になったのは明治元年(1868)に大阪が府になったときである。何故、そんな事になったのか。実は維新政府の太政官から下付された大阪府の印に「阪」の字が使われていたのが原因だそうだ。印を彫るときに篆書体と言う秦の始皇帝が作らせた書体を多くの場合に使い、その書体が「説文解字」に多く載っていて印を彫る作業をする者はその説文を手本にして来たのである。ところがその説文に「坂」の字は無く代わりに「阪」の字を使ったと言う事のようだ。松坂市の場合も事は同様だったと推測される。