読書など徒然に

歴史、宗教、言語などの随筆を読み、そのなかで発見した事を書き留めておく自分流の読書メモ。

風の動き

2008-05-01 11:09:28 | Weblog

岩波新書「漢字」白川静著
この本は著者が60歳のときに一般向けに書いた最初のものであると白川さんが上智大学の渡辺昇一氏との対談で話されている。この時代白川さんの文字学は学会ではまだ認められていなかった。さて、風と神についてのことがこの本に書かれている。
神話の時代、自然のなかに神々が住んでいた。草木を揺らす風も神の訪れであった。人々はその風の中に在って神と交流し調和を願った。風土、風気、風俗、風貌、風格など風がつくのは自然の生命力が普遍的に形でその存在を人々に意識させるからであった。人々は風を自然の中の神々のおとずれと感じたのである。