A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

性春のトキメキをもう一度~追悼、シルビア・クリステル様

2012年10月20日 00時26分35秒 | 映画やDVDのこと


若松孝二監督急逝のニュースに続いてもうひとり重要な映画人の訃報が届いた。いや、単なる映画スターではなく成長過程に於いて途轍もなく大きな影響を受けた人物である。シルビア・クリステル。この名前を聞くだけで胸の高鳴りと下半身の疼きを禁じ得ない。私のTwitterのアカウント名はMiro Kristelという。Miroは画家のジョアン・ミロから取った。Kristelは滝川では勿論なくシルビア様の名前を拝借したのである。深く考えず思いついたこの名前には潜在意識の奥に沈殿し私の実存を形成する重要な鍵が隠されているのである。

フロイトは著書「夢判断」の中で"夢の素材は記憶から引き出されており、その選択方法は意識的なものではなく、無意識的である。したがって一見すると乱雑な夢の内容においても無意識に基づいた統合性が備わっており、さまざまな出来事を一つの物語として連結させるものであり、それにはさまざまな狙いがあるが、一般的には夢とは潜在的な願望を充足させるものである。つまり夢は無意識による自己表現であると考えることができる"と考察した。さらに文明社会の成立により人間の本能が制限されているものの、それは消滅したわけではなく、抑圧された性欲を夢は暗喩的な表現によって満足させるものと捉えることができると論じている。

ユングは「自我である私」が「なにゆえ私である」のかを問うた。「私である意味」は、魂の完全性、円球的完全性の実現にあると考えた。無意識は、自我を自己(ゼルプスト)すなわち「神」へと高めて行く構造を持つと仮定した。すなわち「Unconscious=無意識」は自己実現のための欠かせない源なのである。

頭脳警察のPANTAさんは自伝「歴史から飛び出せ」の中で自らの性の遍歴を包み隠さず事細かに語っている。伝説の”反逆のロックンローラー”であるPANTAさんが自分と同じように性の芽生えを経験し、同じ悩みを抱いて思春期を過ごしたことを知り、読んでいて心の枷が溶けていった。ここに私の性遍歴を綴るのはさすがに憚られるし、シルビア様の映画はあくまで「ソフトポルノ」で直截的な表現はベールに隠されているので詳細は伏せておこう。

私が生まれて最初に"性なる館"を経験したのは幼稚園の時。メンコが流行り勝負をして勝てば相手のメンコが手に入った。絵柄は月光仮面やオバQや鬼太郎といった漫画やプロレスラーや野球選手の写真だったが、ある日友達の一人が父親から貰ったというサントリーかニッカが宣伝用に作ったメンコを持ってきた。そこには肌も露わな金髪女性の写真があしらわれていて、すぐにみんなの憧れの的になった。羨ましくて散々苦労の末に何枚か入手したのだが、家へ帰ると見つからないように引き出しの奥に隠し、親がいない時に取り出してひとりでドキドキして見ていた。子供心に"いけないもの"だと理解し、それを手に入れたスリルと興奮に酔っていたのである。その頃テレビでは「仮面ライダー」の後に「ハレンチ学園」が放映されていたと記憶する。親が一緒なので観せてもらえなかったが、漫画本でその内容は知っており、夜ベッドの中で「仮面ライダー」や「ウルトラマン」に加え「ハレンチ学園」の内容をごっちゃにしたストーリーを夢想しながら眠りに落ちたものだった。

小学校に上がると戦隊ものや怪獣ものに夢中になるが、異性への興味は尽きずスカートめくりや身体へのタッチは遊び感覚で流行っていた。相手が「エッチ!」と反応するのが面白かった。学年が上がるにつれ異性の身体の成長を意識し出す。体育着に着替えるのが別々になり男女の違いを次第に理解する。高学年になると性的なものへの興味は否応にも増し、少年雑誌や漫画本の記事や絵に想像を膨らませる。そんな時に手にした映画雑誌にその写真が載っていた。籐の椅子に座り胸も露わに挑発的にこちらを見つめる美しい女性。妄想少年の心はイチコロでその虜になった。暫し眺めたまま湧き出る昂奮に身を任せるしかなかった。”雷に打たれたような衝撃”とよく言われるが、この写真を見た時のインパクトは正に電撃的だった。幼時に見た禁断のメンコや「ハレンチ学園」の妄想、スカートの下にチラ見した白い下着などの記憶が頭の中を嵐のように駆け巡った。シルビア様はそれほど神々しかった。

▼記念すべき第1作。主題歌も大ヒット
Emmanuelle(エマニエル夫人)- Pierre Bachelet


▼続エマニエル夫人。シルビア様のセクシーな歌に萌え
Francis Lai & Sylvia Kristel 映画「続エマニエル夫人」 Emmanuelle II L'Anti Vierge


▼エターナル・エマニエル(TV映画)のテーマ曲を歌うシルビア様
Sylvia Kristel "La Chanson d'Emmanuelle" (live officiel) | Archive INA


ちょうどその頃「エマニエル夫人」をはじめ「青い体験」「O嬢の物語」などソフトポルノ映画が人気で映画館や雑誌に写真や記事が紹介されていた。実際に映画を観るのは10年以上後になるが、美しい女性のヌード写真やエロチックな紹介文だけで十分だった。同じ頃フランスの小説家ギョーム・アポリネールが匿名で出版した「若きドン・ジュアンの冒険」という小説の翻訳が出版され仲間内で話題になった。10代の少年が休暇で訪れた別荘で召使や自分の姉や叔母と次々にベッドを共にするという話で、官能的なイラストも載っており性に飢えたガキにには絶好の指南書だった。

▼青い体験
青い体験 1973 (MALIZIA MOVIE CLIP)


▼O嬢の物語
The Story of O 1975 movie trailer - watch online, Corinne Clery film ★★★★★


そんな風に思春期を乗り越えた私にとってシルビア様は永遠の女神であり究極の女性像として心の奥底に刻みつけられている。60歳という若すぎる死に驚きはしたが、若松監督の場合のような切実な喪失感は感じない。私の中のシルビア様は今でも誘いかけるような瞳で籐の椅子に座ったままなのである。

ポスターに
刻まれたままの
女神さま

今の子供たちにとっての女神さまは誰なのだろう。
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終わりの無いワルツを踊り続けて~追悼・若松孝二監督

2012年10月19日 00時35分41秒 | 映画やDVDのこと


社会派監督として映画史に燦然と輝く若松孝二監督の突然の訃報に戸惑いとショックを隠せない。今後監督と直接関わった数多くの著名人による監督の偉業についての思い出話や弔辞が寄せられると思うので、ここでは極私的な追悼の意を表したいと思う。

若松監督の名前は学生時代から知っていたが、興味を持ったのは1995年公開の「Endless Waltz エンドレス・ワルツ」だった。元INUの町田康(町蔵)氏が主演し、灰野さんが本人役で出演しているこの作品は伝説のアルトサックス奏者阿部薫さんの激動の生涯と昭和の香り漂う地下文化シーンを如実に描いており、奥さんの鈴木いづみ役の広田玲央名嬢のベッド・シーンも多くて何度も観に行っては興奮したものである。テーマが音楽なだけに興味深いのは確かだが、ハチャメチャな時代を冷静にドキュメンタリー視線で捉えた演出には不思議な魅力があった。



「エンドレス・ワルツ」のパンフレットに若松監督のバイオ/フィルモグラフィーが載っており、1960年代から「ピンク映画の黒澤明」と呼ばれた実力派であること、反体制的な視点で描く作品は学生運動家を始めとする若者から大きな支持を得ていることを知った。当時のフリージャズやニューロックをサントラに起用しているのがとても魅力的だった。「13人連続暴行魔」(1978年)のCD-ROMを入手し動く阿部薫さんの姿に感動した。



ジム・オルークが大の若松ファンで若松映画の音楽を作りたくて日本語を勉強し、2006年に東京へ移住したのも印象的だった。移住したばかりの頃に訊いたら「もう音楽は辞めて映画の勉強をする」と言っていたが、2008年に念願叶って「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」の音楽を担当、その頃から演奏活動も始め、灰野さんや坂田さん、中原昌也氏、石橋英子嬢など数多くの日本のアーティストと共演している。今年公開の若松映画「海燕ホテル・ブルー」の音楽も手がけた。



2008年には「若松孝二傑作選」として山下洋輔トリオ、ジャックス、フード・ブレインといった伝説的アーティストによる若松映画のサントラCDシリーズがリリースされ貴重な音源が聴けるようになった。









若松監督は「自分自身が面白いと思った映画しか撮らない」という反骨精神を貫き、国内外で様々な映画賞を受賞するようになってもその姿勢にはブレがなかった。実際に今年のベネチア映画祭では記者会見で東電に宣戦布告するなど若松節炸裂だったという。

76歳にして気骨溢れる活動を続けていただけに交通事故という不慮の死は残念でならない。しかしこれも天命という他ないだろう。少なくとも残された数多くの映画作品に若松監督の精神は宿っているのだから。

反体制
貫き続けて
天国へ

合掌。
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自由への憧憬と自我同一性~きゃりーぱみゅぱみゅ「ファッションモンスター」

2012年10月18日 00時28分20秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


ヨーロッパの配信チャートでTop5になったり各国のアーティストがカヴァーやリミックスしたり、国境を越えて世界的なムーヴメント(現象)になりつつある若干19歳のきゃりーぱみゅぱみゅのニュー・シングル「ファッションモンスター」がリリースされた。ハロウィーンに因んでジャケットや宣伝写真はお化けや魔女に扮したポートレート、カワイイ怪物達が登場するPVも秀逸で今までの"青文字系アイドル"のイメージをさらに推し進めた強烈な印象を与える。直訳すれば「流行お化け」だが、ここで歌われるメッセージの鋭さに"テン世代のカウンターカルチャーアイコン"としてのきゃりーの本質が凝縮されている。

この現象の仕掛け人の中田ヤスタカ氏によるアップテンポのデジロック・ビートに乗せて歌われる歌詞は単純明瞭な言葉をリズム良く並べたもので何気なく聴くと素通りしてしまうが、ここに込められた意味は人類7000年の命題を引き継いだ限りなく深遠なものである。キーワードは「FREE=自由」。

♪このせまいこころの檻もこわして自由になりたいの♪(「ファッションモンスター」より)

「だれかの ルールに しばられたくないの」と直前に歌われるが、"世間の常識"や"他人が決めた規則"だけではなく"自分の心の牢獄"からも自由になりたい、と言っていることに注目してほしい。「自由を求める闘い」はローマ帝国の内乱、蒙古の滅亡、一向一揆、黒人解放運動、反アパルトヘイト、ラスタファリ運動、大学紛争など世界闘争史の根幹を為す流れである。現代社会では一部の特殊国家は別にしてあまり深刻な問題ではないと思われるかもしれないが、生きている限り人間ひとりひとりの周囲および内面には確固たる束縛が魑魅魍魎のように跋扈し、そこから抜け出そうと抗うのが思春期の胎動であり人間としての尊厳なのである。「I'm Free=私は自由だ」という内容の文学や音楽が如何に多いことか。きゃりーは「I wanna be free=自由になりたい」と歌う。彼女の言う「自由」とは何か。それは2曲目の「100%のじぶんに」で明らかにされる。

♪100%のじぶんを じぶんらしいと言えるようになーる♪(「100%のじぶんに」より)

アメリカの精神分析家エリク・ホーンブルガー・エリクソンが提唱した「Self Identity=自我同一性」の概念そのものである。青春期に自我同一性がうまく達成されないと「自分が何者なのか、何をしたいのかわからない」という同一性拡散の危機に陥る。同一性拡散のあらわれとして、エリクソンは対人的かかわりの失調(対人不安)、否定的同一性の選択(非行)、選択の回避と麻痺(アパシー)などをあげている。またこの時期は精神病や神経症が発症する頃として知られており、同一性拡散の結果として、これらの病理が表面に出てくる事もある。中田氏ときゃりーは誰でも口ずさめるキャンディ・ポップのオブラードに包んでこの存在論的命題を万人に向けて提示しているのだ。

中田氏ときゃりーの「POP=大衆性」と「AVANT-GARDE=前衛性」を融合した曼荼羅宇宙に関してはデビューアルバム「ぱみゅぱみゅレボリューション」に関して考察した通りである。二人がさらに人間性の本質に踏み込んで導き出した解放宣言がこのシングルに他ならない。この狂気と混沌に満ちた世界を如何に生き抜くべきか、ここにひとつの可能性が示された。次は我々自身の力で自らの行動によって答えを出すべき時である。



実存と
非在の世界に
わたしだけ?

奇しくも翌週にはもうひとりの"思索するテロリスト"=松永天馬氏率いるアーバンギャルドから"生き残るための音楽"「ガイガーカウンターカルチャー」という新たなる福音が発表される。2012年10月は地球人類にとっての記念碑として未来の歴史書に記されるかもしれない。

<参考映像:観るか観ないかは、あなたの自由です>


(インドネシアのパンクバンドPee Wee Gaskinsによるカヴァー)



(邦題「自由になりたい」)



(邦題「僕は自由だ」)



(1965年の5thアルバム「ディセンバーズ・チルドレン」収録曲。1990年にグラスゴーのスープ・ドラゴンズがアシッドハウス・カヴァーでリバイバル・ヒットさせた)



(ボブ・ディラン作。トム・ロビンソンはゲイであることを公言したパワーポップ・シンガー)



(1981年のデビュー・アルバム「わたしだけ?」収録)


●きゃりーのデビューミニアルバム「もしもし原宿」が第2回「ミュージック・ジャケット大賞2012」で大賞に選出されたが、43年前の伝説的ロック・アルバムのジャケットに酷似していることが指摘されないのは何故だろう。


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ネコとロックの融合~CDジャーナル・ムック「ねこみみ~猫と音楽~」

2012年10月16日 00時24分46秒 | 書物について


<猫軸と音楽軸が交わる視点から見える幸せ…>

まさにこのブログのために出版されたようなムックを発見!書店で目にした時は「ありがちな猫ジャケ写真集だろう」と思いつつ中を見ると「ス、スゴい!」と思わずため息。「新感覚猫音楽書の決定版!」と帯に書いてあるが全くその通り。ここまで"猫目線"で音楽との関係を追求した書物は今までなかった。昨日レポしたイベントに引き続き"ネコとロックの融合"というこのブログのもうひとつの命題に応えた本だといえる。

初めて「ネコ動画」をブログに掲載したのは2010年7月7日である。父が他界する10日前。「可愛い子猫ちゃん」というタイトルでたまたま見つけた子猫の動画を貼った記事。告白すると私は特にネコ好きという訳ではなかった。イヌ派かネコ派かと訊かれればネコの方が好きと答えるが、ネコを飼ったことも飼いたいと思ったこともない。他にブログネタがなかったので適当にありモノを載せただけだった。最近はFacebookでもネコネタばかり投稿しているので相当なネコマニアだと思われているかもしれないが、ネコに興味を持ってからまだ2年しか経っていない。

ネットニュースやYouTubeの人気動画を追っていくと「ネコネタ」がとても多いことに気がつき、思わず首を傾げたくなるネコの微妙な表情や不可解な仕草に興味を持つようになる。灰野さんや洋輔さんがネコ好きだと知り、音楽とネコの間に何か深い関係があるように思い始めた。この謎に満ちた小動物に次第に惹かれ「ネコ動画」としてシリーズ化。殆どがネットニュースの転載だが既に80数回を数えるまでになった。前衛音楽の硬派な記事の翌日にほのぼのしたネコ話を読んで読者の方々がどう思うかは分からないが、何人かの知り合いに尋ねるとネコネタも楽しみだと言う人が多い。以前書いたようにブログを書く動機は自分が楽しむことが第一番である。誰が何と言おうとネコ動画を続ける所存である、などと意気込む必要はないが、ネコネタに文句を言う人は相当のネコ嫌いでもない限りいないだろう。

そんなところにこのムックが登場。ネコと音楽の関係を追求するマニアックな世界が展開されていることは内容を見るだけで明らかだ。

【主な内容】
● 観て楽しむ猫と音楽
★定番! 猫ジャケ100選
★ネコメンド! にゃんこサントラに進路を取れ!
● 聴いて楽しむ猫と音楽
★必聴! 猫ソング100選 necoTunes
★検証! 猫の好きな音楽とは? 他
● 歩いて楽しむ猫と音楽
★ぶらり猫散歩~谷根千 嶺川貴子
★よりみち 猿山修 猫グッズ紹介
● 読んで楽しむ猫と音楽
★猫とアーティスト/インタビュー:ECD
★世界に広げよう! 猫友の輪:OPQ、コーネリアス、末光篤、遊佐未森、ゴメス・ザ・ヒットマン(山田稔明)、Pierre Barouh他
★猫レーベル紹介:モンチコン!
● 猫対談 谷山浩子×持田佳織
● 猫は猫だから猫である(湯浅学)
● 猫マンガ「ねこすバンド天国」(金子デメリン)
● 猫エッセイ「MILK 猫と僕と君」イノマー 他

フレンチポップの大家ピエール・バルーにネコ・アンケートをしたのも凄いが、最高なのはネコに色んなジャンルの音楽を聴かせ反応を調べた実験である。歌謡曲がいしだあゆみ、ロックがクイーン、ヘヴィメタルがジューダス・プリースト、プログレがキング・クリムゾンはいいが、ジャズがソニー・シャーロック、現代音楽がシュトックハウゼン、あげくにノイズがホワイトハウス! ちなみにホワイトハウスへの反応はネコ1="雄叫び!凶悪顔"、ネコ2="前足を揃えてちょこんと聴いている"、ネコ3="ふせたまま目が開きっぱなし"、ネコ4="不機嫌そうに寝室に去る"というもの。他のジャンルも4ネコ4様で人間と同じくネコの趣味志向も様々であることが判る。

猫好きアーティストOPQ氏が猫の気持ちになって作った珍妙な猫用楽器や「猫に居心地のいいスピッツの世界」「中島みゆきの歌詞にすむ猫」「シューゲイザーと猫」「昭和歌謡と猫」などのコラムも新機軸で面白い。猫ソング100選ではタイトルだけじゃなく歌詞にネコが登場する曲やネコっぽい歌手の曲も選曲。知ってる曲でもあの曲が!という新たな発見に満ちている。





「ネコの立場で音楽を聴く」というリスニング革命を提案するこの本はネコ好きには勿論、全音楽ファンにおススメの一冊である。

付録には、猫イラストレーター、ルイス・ウェインのエコトートバッグ付き。


ねこみみで
聴いてみようよ
不失者を

劇作家のケラリーノ・サンドロヴィッチ氏と女優の緒川たまきさん夫妻の愛ネコ、ごみちゃんの写真集「Gommi」も購入。お二人のネコへの愛情に溢れたステキな本である。購入方法はコチラ


果たして先鋭的アーティストがネコ好きなのか、ネコが音楽好きなのか、その答えは永遠の謎のままである。
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ディアフーフ/私立恵比寿中学@渋谷 O-East 2012.10.13 (sat)

2012年10月15日 00時28分43秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


VICE Japan presents THE OTHER NEWEST ONE
vol.0 attack of the killer panda
act: DEERHOOF/私立恵比寿中学/DJ ☆☆☆

1994年にサンフランシスコで結成されたディアフーフは当時全米を席巻していたグランジ/オルタナ・ムーヴメントとは一線を画した新感覚派アヴァン・ロックで、変態パンクの大御所レッド・クレイヨラ、ペル・ウブ、ハーフ・ジャパニーズ、セバドー、フレーミング・リップス、ヨ・ラ・テンゴ、ダンディ・ウォーホールズなどの流れに属し、グランジに馴染めずブリットポップに傾倒していた私が唯一追っていた90's USロック一派だった。その中でもディアフーフは日本人女性サトミ・マツザキ嬢がいるので親しみを感じていた。日本との繋がりは深く90年代から何度も来日しているが、生で観るのは今回が初めてである。

9月半ばに来日を知りO-East公演のチケットを購入しようとしたらどこでもソールドアウト。そんなに人気があるのか?と思ったら、対バンが"謎の超人気アーティスト"と書いてある。そのせいかなと諦めていたら招聘元のコントラリードから特別入場枠のメールが届いた。コントラリードは昨年来PHEW+高橋悠治、AKRON/FAMILY+不失者、坂田明+ちかもらちでチケットを購入しておりメルマガ会員になっているのだ。おかげで無事にチケット確保。対バンは私立恵比寿中学とある。メジャー系に疎い私でも名前だけは知っているアイドル・グループだ。略称「エビ中」、人気大爆発中のももいろクローバーZの妹グループである。アイドルのライヴが如何に熱いかは「アーバンギャルドの病めるアイドル五番勝負!!!!!」で経験済みだから慣れているが、何故ディアフーフと?という疑問は残る。とにかく貴重というか珍奇なイベントであることは確か。

開演時間にO-Eastへ行くと予想通りTシャツに首タオルのアイドル・ヲタの若者で大混雑。特別枠のチケットは意外に整理番号が早く群れなすヲタ軍団を尻目に早々に入場。前列で声のデカい若者達に囲まれるのは遠慮して後方の一段高い柵から観戦。90%を占める男性客に交じる女性客はディアフーフのファンか。

開演15分前に客席がカラフルな照明で照らされ右手のカーテンが開きDJの蝋人形が出現。確かに出演者に「DJ ☆☆☆」とあるから誰か著名なDJがまわしているのだろう。どこかで見た顔のような気が。。。ロネッツやシュプリームス等60'sガールポップをプレイ。エビ中ファンは待ち切れず曲が終わる度に歓声が上がり、次の曲がかかるとあ~あというため息が漏れる。

15分押しで客電が落ちいよいよエビ中の登場。怒号に似た野太い歓声と一斉に掲げられる蛍光ライトが眩しい。中学生の少女(実際に年齢は13~15歳)が笑顔で駆け足で出て来て四つ打のテクノビートで踊り歌う。毎度のことながらファンの掛け声がバッチリ統制されているのに感心する。3・4曲程歌ってお約束のメンバー紹介。エビ中はライヴのことを「学芸会」、ファンを「中学生のみんな」と呼び、メンバーは「出席番号7番 エビ中イチの元気っ子ミレイです!」という風に明るく自己紹介。ヲタの方々から「ミレイちゃんレッツゴーっ!」とか声を合わせたコールがかかる。「初めましての方はどれくらい?」と聞くと半分くらいの観客が手を挙げる。「ひとりひとりの名前を覚えるのは無理だから"エビ中"とだけ覚えて下さいね」と健気なお言葉。「ところでみんなディアフーフさんってどんなバンドか知ってる?」との問いにメンバーのひとりがwikiを読み上げる一幕も。「アメリカ出身のノイズロックバンド」と言うとメンバーから「ノイズロックって何ですか?」との質問。「質問はあとにして下さい」との台詞になるほどこれは授業風景を模しているのだと納得。アイドル戦国時代を生き抜くためにそれぞれ色々工夫して個性をアピールしているのだ。



後半は最近アイドル界で流行のヘビメタ/パンク風の曲やラップ調の曲やバラード・ナンバーが続く。ファンのノリも最初に比べて大人しめで歌に聴き入っている感じ。O-Eastは1年前にエビ中がワンマン学芸会をやった思い出のホールとのこと。最後は再びテクノビートの盛り上がり大会で終了。やはりアイドルのライヴは熱い。



この日のみディアフーフとエビ中のコラボTシャツが会場限定で発売。終演後販売開始なのでエビ中ファンもディアフーフが終わるまで帰れない。隣のヲタ4人組の会話を盗み聞くと「Tシャツ並ぶから早めに出た方がいいですよね」と作戦会議をする一方で「ディアフーフをYouTubeで観たけどドラムがめちゃ凄いんですよ」「CDにはいろんな音が入ってるけどライヴだと4人だけだからシンプルでしょうね」と意外に研究熱心なことが伺える(因みにヲタさん達の言葉使いは丁寧語が基本)。目当のバンドが終わるとさっさと帰ってしまうロック・イベントにありがちな客よりよっぽど音楽好きだな~と感銘を受ける。謎のDJは今度はジェファーソン・エアプレインやストロベリー・アラームクロック等60'sサイケで会場の雰囲気をディアフーフ向けに塗り替える。

シタールのSEの中ぶらりとメンバーが登場し楽器を構える。エビ中に負けない歓声。左からジョン・ディートリック(g,b)、サトミ・マツザキ(vo,b)、エド・ロドリゲス(g)、グレッグ・ソーニア(ds)。ジョン&エドの粘っこいギターリフでライヴ開始。サトミ嬢のキュートなハイトーン・ヴォイスでポップなメロディが歌われ、それに酔って気持ちよく踊っていると突然の急転直下に足を挫くこと間違いなし。元祖脱臼ポップの本領発揮である。アソビ・セクスのユキ・チクダテ嬢の声を聴いたときサトミ嬢に似てると思ったら、今回の来日に向けてチクダテ嬢が「ディアフーフは多分、ライブで見るのが一番好きなバンド! 私にとって彼らは、生を肯定してくれてインスピレーションを与えてくれる存在。」とメッセージを寄せていたのでかなり影響されたのだろう。ディアフーフがオブ・モントリオールやジャパンドロイズ等の注目バンドを擁するインディー・レーベルPolyvinyl Recordsと契約しアソビ・セクスとレーベルメイトになったのも何かの縁か。ベースを持ってピョンピョン飛び跳ねる小柄なサトミ嬢はノン・バンドのNONさんを思わせる。グレッグはタムのないシンプル極まりないセットで驚愕のドラミングを披露。辿々しい日本語でMCもする。曰く「今日はとても嬉しい。エビ中とディアフーフはちょっと.....ほとんど同じ!エビ中のシャツはボタン一杯。ワタシのシャツはフサフサ一杯」。

こんなユーモア溢れる演出もありエビ中ファンの心も掴んだ様子でヲタの皆様もジャンプして盛り上がっている。会場にほんわかした温かいヴァイブが溢れ出す。硬派な前衛バンドやノイジシャンとのイベントではあり得ない不思議な連帯感が生まれる。"ポップと前衛の融合"というこのブログではお馴染みの命題が見事に結実したイベントだった。60分の本編のあとのアンコールは代表曲「パンダパンダパンダ」。アーバンの時のようにディアフーフとエビ中の共演は適わなかったが終演後の観客は皆笑顔だった。



階段には予想通りコラボTシャツを求める若者の長蛇の列。Tシャツのデザインがもろデスメタルで笑ってしまう。アイドル・ファンは若いし感性も豊かなので、大人が押し付けるジャンルの壁を易々飛び越えてしまう。日本の音楽界もまだまだ捨てたもんじゃないと実感した。


このイベントはDommuneでストリーミング放送された。宇川直宏氏のツイートで謎のDJの正体がサイケデリック・アートの巨匠、田名網敬一さんだったことが判明!これはすげぇコラボイベントだぁ~!!!


アイドルと
ノイズの共演
いと楽し

ディアフーフは14日(日)札幌公演、16日(火)には渋谷WWWで増子真二氏(Boredoms/DMBQ)率いるギターオーケストラThe Floating Guitar Borchestra Of Boredoms!と対バンする。これも面白そうだ。
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八十八ヶ所巡礼@渋谷クラブクアトロ 2012.10.12 (fri)

2012年10月14日 00時30分27秒 | 素晴らしき変態音楽


八十八ヶ所巡礼ワンマンツアー○△□

今一番勢いのある変態バンド、八十八ヶ所巡礼(以下八八)の3rdアルバム「○△□」レコ発ワンマン・ツアーの仙台公演に続く2日目。彼らを観るのは6回目だがワンマンは初めてである。最近チケット入手がとても難しいといわれる八八だが、拠点としている下北沢CLUB Queの3倍のキャパのクラブクアトロだから何とかチケットが手に入った。八八の客層は10~20代の若者中心で男女比は3:7で女性が多い。音楽的にはプログレ+メタル+ハードコア+霊界歌謡といったかなりマニアックなモノだが、3者3様キャラの立ったメンバーにはアイドル的魅力がある。日常から逸脱した捩じれた世界を求める若き"欲望愛好家"たちにとっては絶好の偶像なのだろう。

2006年の結成以来あくまでインディーに拘り、ライヴ・ブッキング、CDリリース、プロモーション展開まで全て自分たちの手で行う姿勢を貫く故にフライヤーや物販グッズを作らず、メディア露出も殆どない。特に写真と映像に関しては意識的にコントロールしているようでググっても見つかる素材は極端に少ない。ひたすらライヴを続けることでファンの数を増やして来た希有なバンドである。

キャパ800人のクアトロが満員御礼。見渡すと年齢層は30代が最年長。評論家やマスコミ関係者も殆どいないように見受けられる。95%が一般のファン。本来バンドとファンで一体となって作り上げる空間こそライヴの理想型であろう。それを実現しているのが八八なのである。YMOや80'sテクノなどエグい選曲のSEが流れる中若者の会話が賑やかだ。



15分押しで客電が消えると大歓声と共にアリーナの客が前方へ押し寄せる。「○△□」の一曲目「某WNO夜」からスタート。Katzuya Shimizu氏のバカテク・ギター、賢三氏のハードコア・ドラム、マーガレット廣井氏の唸るベースと浮き浮きヴォーカル。激しいビートに前列は最初からモッシュ状態。「欲望愛好家の楽園へようこそ」というMCで「PALAMA・JIPANG」「仏滅トリシュナー」と人気ナンバーに突入。Shimizu氏がステージ前方で短い早弾きフレーズを聴かせ客の歓声を引き出すヘビメタ・パロディ的演出も楽しい。MCは殆どなく次々とハード&ヘヴィス&ストレンジなナンバーを連発。観客は絶え間ないテンポチェンジも気にせず腕を振り上げてジャンプしまくる。5年くらい前、吉田達也氏を中心に磨崖仏レーベルのプログレ/前衛バンドが集まり「変拍子で踊ろう」というイベントをやっていたが、この子供達はいとも簡単に無意識に変拍子でダンスしているのだから驚きだ。



一升瓶で酒?を一気飲みしてプレイしていた廣井氏は後半になると一升瓶を客席に投げ込み「酒でも飲んで楽しむが良い」とMC。「ロックンロールだからってマザーファッカァーーーー!!!などと言ってはいけません。皆さん、親孝行していますか?皆さんのご両親は、放射能や悪い政治家に困らされていませんか?日本一の親孝行バンド、八十八ヶ所巡礼です」と自己紹介。「愛国心はありますか、貴様ら?」と叫んで「君が代」から「日本」へ雪崩れ込む展開は毎度のことながらスリリング。最後は"霊界で流行りの歌"のバラード「極樂いづこ」でしっとりと本編終了。濃厚な八八ワールドにあっという間の2時間だった。アンコールの拍手に応えて登場した廣井氏は「アンコールは追加料金だけど」と言いながら「仏狂」を演奏。見事なステージを締めくくった。



ライヴ後は普通は物販でTシャツやグッズを求めるファンで混雑するが、八八はCD以外は売っていないのでロビーは空いている。出がけに配られるフライヤーの束も無し。その代わりに12/7,8のCLUB Que 2Daysのチケットが先行販売されファンの長い列が続いている。このようにライヴのたびに次のライヴのチケットを販売するので彼らのライヴは満員な訳だ。キノコホテルも同じ手法でリピーター・ファンを確実に増やしている。私は暫し下界のブックオフで格安CDを物色してからクアトロへ戻り楽勝で12/7のチケットをGET。その翌日はキノコホテル@鴬谷東京キネマ倶楽部。今年も濃い年末になりそうだ。

八八の
奇妙な世界へ
いらっしゃい

<ライヴ・スケジュール>
2012/10/19(fri) 札幌COLONY
2012/10/26(fri) 大阪MUSE
2012/11/02(fri) 福岡graf
2012/11/10(sat) 広島4.14

2012/12/07(fri)08(sat) 下北沢CLUB Que
2012/12/14(fri)15(sat) 天王寺FIRELOOP
2012/12/20(thu)21(fri) 名古屋CLUB ROCK’N’ROLL





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ノワールな夜~映画「夜が終わる場所」+下山(Gezan)ライヴ@渋谷ユーロスペース 2012.10.11 (thu)

2012年10月13日 00時26分43秒 | 映画やDVDのこと


渋谷ユーロスペースでレイトショー公開中の宮崎大祐氏の初長編監督作品「夜が終わる場所」のゲストで「サイコデリシャス・ハードポア・バンド」=下山(Gezan)がスペシャル・ライヴを行った。宮崎監督は黒沢清監督をはじめ現代日本映画を代表する数々の名匠の下で助監督として経験を積み、本作で待望のデビューを飾った若干32歳の気鋭の映画監督。脚本やストーリーと並んで音楽と映像の関係に拘る新感覚派である。

夜が終わる場所(end of the night)」は2000年の世田谷一家殺害事件をモチーフに日本の裏社会で生きる親子を描いたフィルム・ノワール作品。主人公のアキラを演じるのは若手俳優中村邦晃氏。坂本慎太郎氏を想わせるちょっと不機嫌なキャラクターで、無口で何を考えているのか分からない不気味な役どころを怪演している。アキラの運命を変える女・雪音には新進気鋭の若手女優、小深山菜美嬢。決して美人ではないが朴訥として温かい娘さん役がアキラと光と影の好対照を為す。その二人の数奇な運命が交錯し底知れぬ深みに沈み込む風景を描く。音楽は脱力系バンドHOSE のリーダーで大友良英ONJOのメンバーでもある即興音楽家/作曲家の宇波拓氏が担当、音数の少ないギターのメロディが緊張感を高める。"フィルム・ノワール=虚無的・退廃的な犯罪映画"というだけあり多くの謎を残したまま未完の終焉を迎えるストーリーは観終わった後にフラッシュバックを繰り返す。ユーロスペースでの上映は12日で終わってしまったが、海外の映画祭での評価も高く、順次全国上映されると思うのでぜひともご覧いただきたい。



上映後スクリーン前に高い脚立が用意される。下山のメンバーがぶらりと現れ客席に楽器をセッティング。ヴォーカルのマヒトゥ・ザ・ピーポー氏が脚立のてっぺんに上りカルロス・尾崎・サンタナ氏のベースに乗せておもむろに歌い始める。ライヴハウスでの彼らの激烈演奏を知る者には驚くほど素直でまっすぐな歌。ギターのイーグル・タカ氏が加わり、やーさんリーゼントを今風の茶髪に変えたドラムのシャーク安江氏がスクリーン前にばら撒いたスネアやシンバルを叩く。10数分続いたところで照明が暗転、マヒト氏が拡声器でサイレンを鳴らしながら「なんで人を殺してはいけないのか誰も教えてくれない。自分で考えな!」と叫び、バンドも不気味なノイズ演奏を繰り広げる。その後再び静かなメロディに戻りデビュー・アルバム「かってうたといわれたそれ」収録のバラード「春の膝」で30分ほどのアンプラグド演奏は終了。



不条理な映画に不条理な演奏。両者がまぐわったノワールな時空は浮かれ騒ぐ渋谷の街に突如出現した漆黒のワームホールだった。

暗黒の
街に流れる
ハードポア

大阪から東京へ活動拠点を移した下山は8月~9月「侵蝕の赤い十六日」として都内16日連続ライヴという快挙(愚挙?)を成し遂げたが、次なる破壊的な企画16人限定マンツーマンライブ「侵蝕の赤い十六人斬り」が11/5 UFO CLUBで開催される。詳細はリンク先を参照いただきたいが、80年代のハナタラシを髣髴させる激ヤバ企画である。我こそはという方は応募してみては?

12/12にはCD+DVD「LIVE 2012・大阪/侵蝕の赤い十六日・東京」がリリースされる。
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ザ・スクーターズ/キノコホテル@渋谷WWW 2012.10.10 (wed)

2012年10月12日 01時06分48秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


10月の女たち~ザ・スクーターズとキノコホテル

3月のRollyとの対バン以来半年もキノコホテルを観ていない。6月のリキッドルーム・ワンマンも別のライヴ(アルトー・ビーツ)と重なり行けなかった。ニュー・アルバム「マリアンヌの誘惑」が12/5に発売予定というニュースを見て無性に行きたくなり、ザ・スクーターズとの対バンを渋谷笑笑笑(byアーバンギャルド)に観に行くことにした。

笑笑笑、否WWWは先月の不失者から3週連続で通っている。今週土曜日もDeerhoofで行く予定。すっかり馴染みのライヴハウスになった。ホールへ入ると妙に観客の年齢層が高い。キノコホテルの実演会は元々男性ファンが圧倒的に多く年配客の姿もちらほらあったが、この日の客層は40~50代中心で恰幅のいい初老の紳士や業界人っぽいちょい悪オヤジが多い。この6ヶ月間に何が起こったのかと訝ったが、その謎はすぐに解決した。最近キノコのライヴの前方はモッシュが起こることもあるので、先週のアーバン+ケラシンセの時と同じくPA席の真横の最後列から観戦することにした。横でスタッフがビデオを構えている。PA席の後ろが関係者席なので「ご無沙汰」「元気?」「ヨロシク」などゲストやスタッフの挨拶が絶えない。

7時半予定通りにマリアンヌ支配人以外のキノコのメンバーが登場。あれ、思ったより歓声が少ないな~。オープニングのインスト演奏がスタート。「10月の女たち」という支配人の声が流れる。マリアンヌ嬢が鞭を手に登場。黒のホットパンツのコスチュームだった筈が昔の赤いミニのミリタリーに戻っている。前列の一部のファンが腕を振りあげ盛り上がるが大半の客は興味深そうにじっと見つめるのみ。「真っ赤なゼリー」「もえつきたいの」と必殺ナンバーの連発。「砂漠」のあとでマリアンヌ嬢のMC。前の方の客に向かって「あんたたち後ろのお客さんから蔑みの目で見られてるわよ。ここからだと温度差がよく分かるの。」と言う。なるほど!観客の大半がスクーターズ目当ての客だった訳だ。道理で年齢層が高いはず。「この間ここにアーバンギャルドとケラ&ザ・シンセサイザーズを観に来たけどその時の方がお客さん多かったわね。皆旗を振っちゃって、アーバンギャルドが何よ!と思ったわ。キノコホテルはパンティを振ってもらおうかしら。物販でパンティを作ったら買ってくれるかしら?」と訊くので「は~い」と手を上げたら「寂しいわね。こんなのを求めてたんじゃない」とマリアンヌ嬢。スクーターズ・ファンに囲まれちょっとアウェイ感が漂うが「土曜日にはゾンビーズのフロント・アクトをやるの。時間があったら来て頂戴。といってもチケットは貧乏人のあんた達に手の出る値段じゃないけどね~」とSトーク炸裂、どんな客の前でもマイ・ペースなマリアンヌ嬢。こういうステージは何度も経験しているのだろう。後半はニュー・アルバム収録の新曲を続々披露。「回転ベッドの向こう側」ではマリアンヌ嬢の開いた足の間にネックを差し入れイザベル=ケメ嬢がギターを弾いたり、池玲子さんを想わせるセクシーな囁き声を出したり艶めかしい演奏にときめく。「悪魔なファズ」は初めて聴くノリのいいスカ・ビートのガレージ・ロック・ナンバー。最後はキーボードの上に乗ってM字開脚の大サービス、キノコ・ファンにはお馴染みのパフォーマンス。スクーターズ目当てのお客さんからも温かい拍手が起こった。50分の演奏は間もなく聴ける新作への期待を否応にも高める刺激的なものだった。



<キノコホテル Set List>
1 インストOP
2 真っ赤なゼリー
3 もえつきたいの
4 砂漠
5 その時なにが起こったの?(新曲)
6 回転ベッドの向こうがわ(新曲)
7 愛と教育(新曲)
8 悪魔なファズ(新曲)
9 キノコノトリコ
10 #84
11 キノコホテル唱歌

セットチェンジの時、関係者席でお揃いの60's風ワンピース姿の美女4人組が写真撮影に応えていた。あとでツイッターで元ピチカート・ファイヴの野宮真貴さんとその仲間だったと判明。他にもサエキけんぞう氏や渋谷系ミュージシャンが多く観に来ていた模様。

スクーターズはデザイナーの信藤三雄氏の30歳の誕生日パーティーのために結成され「東京モータウンサウンド」を標榜し新宿ツバキハウス、六本木クライマックスなどクラブ系ディスコで活躍し1982年にアルバム「娘ごころはスクーターズ」を発表、人気を誇ったがわずか2年で解散した伝説のバンド。信藤氏は後にピチカートやフリッパーズ等渋谷系や宇多田ヒカル、ユーミン、ミスチル等大物アーティストのデザイナーとして大活躍する。私は当時は知らなかったが日本のガール・サウンドの名盤というキャッチにつられ再発CDを購入したが同じ60's系でも好きなガレージ系に比べソウル/R&B色が強かった印象がある。今年になって小西康陽氏、橋本淳氏、筒美京平氏、宇崎竜童氏、志磨遼平氏(元毛皮のマリーズ/ドレスコーズ)などのバックアップで30年ぶりに復活、ニュー・アルバム「女は何度も勝負する」をリリースし一部で大きな話題になった。

新作リリースに続き記念すべき30年ぶりの復活コンサートがこの日だった。信藤氏が寝ないで作成したという映画仕立ての映像が投影されメンバーが登場するとキノコとは打って変わって大歓声が巻き起こる。まさかこんなに人気があるとは思わなかった。キノコを腕組みして観ていた隣の年配の男性が大喜びで拍子している。「Tokyo Motown Sound 2012」というロゴが映し出されモータウン・カヴァーでスタート。30年ぶりとあって5人並んだ女性ヴォーカル隊はさすがに年齢は隠せない。3人娘=伊東ゆかりさん・中尾ミエさん・園まりさんを思い出してしまった(失礼!)。しかしエマーソン北村氏(key)がバンマスでサリー久保田氏(b)も加わったバンドの演奏はグルーヴ感たっぷりで、ロニー・バリー嬢(お嬢さんと呼んでいいのか?)を中心とするヴォーカル陣も徐々に30年前の感覚を取り戻す。モータウンの定番「あたしのヒート・ウェイヴ」ではバックに80年代当時の演奏ビデオが映し出される。現在の姿と比べると余りに違っていて年月の重みを感じる。観客は大喜び。昨日書いた八代亜紀さんとは全然違うがやはり小西氏が大ファンだと言うのが納得できる。青春時代よ再び、といったら叱られるだろうか。



アンコールで小泉今日子嬢がカヴァーしたヒット・ナンバー「東京ディスコナイト」を演奏、最高潮に盛り上がったところでマリアンヌ東雲嬢がゲスト出演。あんなに楽しそうな支配人の顔を見るのは久しぶりだった。なんだかんだ言っても80’sトーキョー・オシャレ・サウンドをたっぷり楽しめた90分だった。


30年
経って復活
元祖渋谷系

スクーターズは今年のクリスマス12/25にも渋谷WWWでライヴをやる予定とのこと。



12/5 Release
キノコホテル「マリアンヌの誘惑」
01. 四次元の美学
02. 球体関節
03. 業火
04. 愛と教育
05. その時なにが起こったの?
06. エロス+独裁
07. 恋のチャンスは一度だけ
08. 回転ベッドの向こうがわ
09. 悪魔なファズ
10. #84
★DVD+写真集付限定豪華デラックス盤「夜の玩具箱」もあり。今すぐ予約に急げ!


【キノコホテル実演会情報】

<英国音楽 / VINYL JAPAN presents THE ZOMBIES>
10月13日(土)下北沢GARDEN (英国ロックの大御所の公演にゲスト参加)

<サロン・ド・キノコ~女子高生マル秘白書>
10月19日(金)下北沢club Que (女性限定/特別単独実演会)

<サロン・ド・キノコ~水も滴る好いおんな>
10月27日(土)福岡BEAT STATION (単独実演会)

<大阪電気通信大学・大学祭2012>
11月3日(土)大阪電気通信大学 w/ザ50回転ズ

<MODS SUNDAY '12>
11月18日(日)渋谷club asia w/ザ・コレクターズほか


サロン・ド・キノコ~四次元の美学ツアー・・・・・・・・・・・

<サロン・ド・キノコ~四次元の美学・前編>
12月8日(土)東京キネマ倶楽部

<サロン・ド・キノコ~四次元の美学・後編>
12月9日(日)東京キネマ倶楽部

前売:10月20日より発売
問い合わせ:HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<サロン・ド・キノコ~四次元の美学・札幌編>
12月2日(日)札幌 Sound Lab mole

前売:10月20日より発売
問い合わせ:WESS 011-614-9999

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<サロン・ド・キノコ~四次元の美学・名古屋編>
12月6日(木)名古屋 クラブクアトロ

前売:10月27日より発売
問い合わせ:JAIL HOUSE 052-936-6041

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魅惑の夜、東京のためいき~八代亜紀「夜のアルバム」

2012年10月11日 00時57分16秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


亜紀さんは、持ち前の美しく官能的な歌声で、才気と温かみにあふれた歌を聴かせてくれます。
その歌声に伴奏をつけるプロデューサー/アレンジャーの小西康陽さんの仕事ぶりも、とても見事です。
八代亜紀さんのご活躍をお祈りしています。ー ヘレン・メリル
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子供の頃、クラシック・マニアの父が時々ポップスのレコードを買って来ることがあった。帯には「軽音楽」や「流行歌」と書かれ、タイトルは大抵「魅惑の○○」だった。「魅惑のムード音楽」「魅惑の映画音楽」「魅惑のハワイアン」「魅惑の歌謡メロディ」などのオムニバス盤。ベートーヴェン、ワーグナー、バルトークなど硬派なクラシックが好きだったのでたまには軽音楽で息抜きしたかったのだろう。私は絵本付きの子供向けクラシックEP盤を何度も親にせがんで聴いたものだが、物心つくと"魅惑"の"流行歌"の世界に惹かれるようになる。クラシックに比べハイカラな香りのするムード音楽や映画音楽を父のコレクションから引っ張りだした。「禁じられた遊び」「第三の男」「鉄道員」「グレンミラー物語」などが記憶に残っている。

テレビではバラエティ番組に歌手が出て流行歌を歌っていた。歌手="アーティスト"ではなく"芸能人"だった時代。その頃流行った歌は今でも覚えている。八代亜紀さんがデビューしたのは1971年というから大阪万博の翌年である。1973年の「なみだ恋」が大ヒット、以来紅白にも毎年出演する。テレビに夢中な頃だったから亜紀さんの姿は何度も観た。子供心に他の歌手とは違う魅力を感じていた。特に目の印象が強かった。黒目の大きなネコのような瞳にガキンチョが魅惑されたのである。

その後桜田淳子、山口百恵、キャンディーズ、ピンクレディなどアイドルに走ったが、歌番組には亜紀さんや都はるみ、石川さゆり、森進一、前川清、五木ひろしなど演歌歌手も出演しており、アイドルソングと演歌は同じ世界の音楽だった。一方で井上陽水や吉田拓郎、荒井由実、かぐや姫などニュー・ミュージックの歌手はテレビではなくもっぱらラジオで聴いた。テレビの芸能人とラジオのニューミュージックの世界は何となく違うと思った。

芸能活動40年を迎えた八代亜紀さんが初の本格的ジャズ・アルバム「夜のアルバム」をリリースした。ジャズといえばフリー系ばかり聴いて来たので、ジャズ・シンガーといえばパティ・ウォーターズがまず頭に浮かぶのだが、学生の頃ジュリー・ロンドンの「カレンダー・ガール」というアルバムをジャケ買いしてハマったことがある。金髪美人のジュリーが12カ月ごとに衣装を替えて写っているジャケットは誠に魅惑的で、子供の頃ワクワクして聴いた父の流行歌のレコードを思い出した。亜紀さんの歌の世界への入り口もジュリー・ロンドンだったという。幼い頃いつも長い髪のドレスの女性の絵を描いていたのを父親が見て、レコード店で見かけたジュリーのジャケットが亜紀さんの絵にそっくりだと買ってきたそうだ。それを聴いた亜紀さんはクラブ歌手に憧れ、15歳で熊本から上京し銀座のクラブ歌手として歌い始めた。歌謡曲でデビューしてからもリサイタル等でジャズ・スタンダードも歌っていたそうだが、本格的なジャズに挑戦したのは今作が初めてである。

プロデュースは小西康陽氏。所謂渋谷系は”デス渋谷系”=暴力温泉芸者以外は殆ど聴いたことがないのだが、彼らの音楽的知識の深さと幅広さには共感するものがある。特にピチカート・ファイヴ時代の小西氏のアートワークやヴィジュアル面を含めたトータル・アートとしての作品作りにはマニアックさと大衆性が同居しており、音楽の好き嫌いは別として、アンディ・ウォーホール的な拘りを感じる。その意味では中田ヤスタカ氏と通じるものがある。その小西氏が手掛けた八代亜紀さんのジャズ・ワールドは亜紀さんの若い頃の思い出(ノスタルジー)と小西氏の現代的な感覚(モダニズム)が融合した素晴らしいものに仕上がった。明らかにアナログ盤を意識したアートワーク。この素晴らしいジャケットは是非ともアナログLP盤でもリリースして欲しいものだ。A面に当たる1~6曲目は主に洋楽ジャズのスタンダード、B面の7~12曲目は主に日本の流行歌を並べてあり、両者が見事に融合して”歌姫=八代亜紀”の新たな地平を創り出している。この感覚は普段演歌やジャズを聴かない人にこそ経験してほしい。



昔と違いテレビに演歌歌手が出演するのは年末の懐メロ番組か紅白くらいになってしまったが、このアルバムは世界70数カ国に配信されるというから、由紀さおりさんのように海外で話題となり、ワールド・ツアーが行われたりしたら面白い。

八代亜紀
演歌の女王
ジャズクイーン

11月9日(金)ブルーノート東京での公演「An Evening with AKI YASHIRO」は即ソールドアウトになったが、2013年3月22日(金)東急シアターオーブで開催される「JAZZ WEEK TOKYO 2013」にも出演が決定した。



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ペンギン・カフェ/相対性理論@ラフォーレミュージアム六本木 2012.10.8 (mon)

2012年10月10日 00時25分55秒 | こんな音楽も聴くんです


ペンギン・カフェ特別公演
出演:ペンギン・カフェ/ゲスト:相対性理論

1980年代今で言うカフェ・ミュージックの元祖として大ヒットしたペンギン・カフェ・オーケストラ(以下PCO)。主宰者である作曲家のサイモン・ジェフスが1997年に亡くなって以来活動停止していたが、2009年に息子のアーサー・ジェフスが遺志を継ぎメンバーも新たにペンギン・カフェとして復活した。日本では2007年にPCOのベスト盤と日本人アーティストによるトリビュート盤がリリースされ再評価が高まっていたので、今回の復活は大きな話題となり来日公演が決定。そのプロモーションでアーサーが6月に単身来日したことは以前に書いた。その成果もあり東京3回の公演は早々にソールド・アウトし、大阪にて追加公演が決まった。相対性理論をゲストにした特別公演は特典として今年3月のオーストラリア・ツアーのDVDが付いていた。そこで観られる演奏はサイモン時代のPCOのミニマリズムとエレガントさを継承しつつより開放的でポップな”環境音楽"だった。

ラフォーレというので前日まで原宿だと思いこんでいたら、チケットに六本木と書いてあるのに気がついた。危ない危ない。滅多に乗らない東京メトロ南北線の六本木一丁目から地図を頼りに開場30分前に辿りつくと既に多くの観客が並んでいる。PCOをリアルタイムで知っている人は40歳以上だと思うが、最近の再評価の影響と相対性理論のファンも多く客層は思いの他若い。場所柄かちょっとオシャレな若者が目立つ。ラフォーレミュージアム六本木はキャパが1300人とあるが、立ち見も出る大盛況。初めてだと思ったが、20数年前にラウンジ・リザーズを観たようなデジャヴがある。ロビーにはトレードマークのペンギンのオブジェが飾ってありギャラリー風な雰囲気。ペンギン・カフェの物販は勿論賑わっていたが、相対性理論の物販にも人だかりが出来ている。運良く通路前の席を確保できたので前列を気にせずゆったり観賞。ステージは広く背景にペンギンがペイントされた豪華なもの。




時間通りに相対性理論が登場。ベース、パーカッション、ドラム、ギター、ヴォーカルの順番で音を重ねていく。やくしまるえつこ嬢はゆったりした白いシャツに黒いスカート姿。不失者のサポートで観た時と同じようにライトセーバー状のdimtaktというコントローラーでパソコンを操作しながら歌う。バンドとして観るのは3年ぶりだが、メンバーチェンジでリズム・セクションが変わったそうだ。パーカッションは先日4D mode-1のライヴにもゲスト参加したイトケン氏。彼らのアルバムは1stしか聴いていないがそこから2曲やったし、やくしまる嬢の最新ソロ・シングル「ヤミヤミ」も披露。相変わらず無表情に唄う彼女だが、バックの演奏は躍動感が増している。正直言って以前観た時はピンとこなかったのだが、今回はなかなか楽しめるライヴだった。ゲスト扱いだったが40分のサポートアクトとしては十分のステージ。しかしあとでツイッターを見るとやくしまる嬢ファンには良かったがバンドとしては普段と違うイマイチ物足りないセットリストだったようだ。



<Set List>
1 元素紀行
2 地獄先生
3 COSMOS vs ALIEN
MC1 「現金より、ペンギン」
4 新曲
5 (1+1)
6 新曲
MC2 「青山、ぼちぼち。六本木、やみやみ」
7 ヤミヤミ
8 さわやか会社員
MC3 「吸引力?必要ないね」
9 ほうき星
MC4 「またね」

20分のセットチェンジのあとペンギン・カフェが登場。アーサーをはじめ思い思いの格好の人の良さそうなメンバーだ。PCO時代の聴き覚えのあるミニマルなピアノでスタート。元々ブライアン・イーノの環境音楽レーベルから出てきただけにエリック・サティの家具の音楽やスティーヴ・ライヒやフィリップ・グラスを想わせる現代音楽的な曲想だ。現代音楽というと眉間にシワ寄せて深刻そうなイメージがあるが、それをいとも簡単に楽しそうに演奏するメンバーが軽々と飛び越える。それが顕著だったのは3曲目のフィドルとチャランゴ(?)を中心としたケルト音楽風のジグ/リール・ナンバー。招聘元がチーフタンズやタラフ・ドゥ・ハイドゥークスなどワールドミュージック系を得意とするプランクトンだからという訳ではないだろうが、ペンギン・カフェがヨーロピアン・トラッドの影響を受けていることを改めて実感した。どの曲も難解にならずワクワクする喜びに溢れていて楽しい演奏が続く。後半には客席から手拍子も沸き起こり、ウィーンのワルツ演奏会で観客が踊りだす光景を思い出した。80分近い本編のあとアンコールで相対性理論と共演。クールな理論と気さくなペンギン、一見水と油のような両者の共演は意外な新感覚室内楽を産み出した。やくしまる嬢がポエトリーリーディングとハミングを重ねたのも効果的だった。最後はアーサーのピアノ・ソロでしんみりと終了。たまにはこんな上品でシャレた演奏会もいいものだ。



<Set List>
1 Perpetuum Mobile
2 Coriolis
3 Swing The Cat
4 Aurora
5 That, Not That
6 Landau
7 Air à Danser
8 White Mischief
9 Dirt
10 In The Back Of A Taxi
11 Paul's Dance
12 From a Blue Temple
13 Music For A Found Harmonium
14 Telephone And Rubber Band
15 Giles Farnaby's Dream
16 Salt Bean Fumble
17Beanfields
-アンコール-
18 Perpetuum Mobile(with相対性理論)
19 Harry Piers

終演後サイン会が行われ長蛇の列。ひとりひとり笑顔で応対するアーサーはホントに性格の良さそうな青年だった。

ペンギンは
光の速度
気にしない

来日を記念して白金のレストラン・バーで「A Tribute To Penguin Cafe/ペンギン・カフェ・トリビュート」という展覧会をやっているのでデートついでにご覧になっては如何?

コメント (2)
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