A Challenge To Fate

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百鬼夜行の回想録~80'sインディーズ特集 第11回:アヴァンロックの金字塔、吉野大作&プロスティテュート

2013年02月06日 00時51分45秒 | 素晴らしき変態音楽


吉野大作&プロスティテュートのデビューEP「Daisuck & Prostitute」が店頭に並んだのは1980年初頭、アナーキーのデビュー作やPASSレコードのシングル3作=BOYS BOYS、突然段ボール、PHEWと同じ頃だったと思う。日本パンクの自主制作盤としてはヴァニティ、ゴジラ、PASSに続く最初期の作品だった。店頭コメントや音楽雑誌では「ポップ・グループ~リップ・リグ&パニックやア・サートゥン・レイシオを髣髴させるオルタナティヴ・ロック」と紹介され自動車にハンマーを叩き付けるジャケと相まって過激派的存在感が異彩を放っていた。痙攣するビートと破壊的なヴォーカル、そして何よりも軋みを上げる絶叫サックスが大好きだった。



1981年に新興ジャパンレコードからLP「死ぬまで踊りつづけて」でメジャー・デビュー。町田町蔵のINUの「メシ喰うな」と同時期だった。おどろおどろしいジャケットは社会の不合理を告発する絵画を残したシュルレアリスト山下菊治の代表作「葬列」。メンバーは吉野(vo)、東条A機(g)、時岡"TOCKIN"篤(sax)、高橋ヨーカイ(b)、横山孝二(ds)。サウンドはEP以上に振り切れたアヴァンギャルド・ファンク・ロック。吉野が学習塾の漢文教師だと知り人を教育する先生が♪奴らは獣 奴らを生きて帰すな 奴らを高く吊せ 奴らに唾をかけろ!がなり立てたぜTVセット ライフル ライフル 誰もが旅立つはずの 1972 My United Red Army♪(「M.U.R.A.」)といった過激な歌を唄うのに驚いた。吉野が1970年代初期から活動するシンガーソングライターだとか、高橋ヨーカイが裸のラリーズのメンバーだとか、この曲が浅間山荘事件を唄ったものだとかいうことは10年以上経ってCD化されるまで知らなかった。



1985年にキャプテン・レコードから2ndアルバム「後ろ姿の素敵な僕たち」をリリース。このアルバムは当時聴いていない。時代は既にインディーズ・ブームに突入しておりラフィン・ノーズ、ウィラード、有頂天のインディーズ御三家が人気を集め、先輩格のスターリンや非常階段やじゃがたらがスキャンダラスな話題を振り巻き、比較的地味な存在のプロスティテュートまで感心が行き届かなかったのだ。最近になって無性に聴きたくなりCDを探したら廃盤プレミア付きで諦めていたらアナログ盤を安値で発見し早速購入。1stに比べて破天荒さはぐっと抑制され前作のフリーキー・サウンドの根底に潜んでいたドアーズやホークウィンド風のサイケデリックな陶酔感が支配する世界は吉野の70年代の作品に通じるものがある。パンク衝動に突き動かされた1stよりもこちらの方が吉野本来の魅力が発揮されているかもしれない。


80年代後半~90年代前半にかけてはソロや別ユニット後退青年を率いて作品を発表していたが1995年突如プロスティテュートとして元スターリンの杉山シンタロー(b)を迎えた10年ぶりの3rdアルバム「光の海の中で」を、さらに翌年4th「石の中の記憶」を立て続けにリリース。「後ろ姿~」のサイケデリック・サウンドを深化させた円熟した音世界とセンシティヴな言語世界が絡み合い閃光を放つ孤高の演奏を展開。同時代のポストパンク勢が軒並み鳴りを潜める中ひっそりと発表された2作品は和ロックの伝統とパンク衝動と前衛精神が同居した傑作である。その後はブルースに接近しサウンド的にはオーソドックスな作品を継続してリリースしライヴ活動も地元横浜を中心に定期的に行っている。2000年代以降の和ロック再評価の流れの中で初期作品が再発されアシッドフォークの名作として人気を呼んでいる。最新作は2012年2月リリースの「あの町の灯りが見えるまで」。



オフィシャル・サイトはないが愛情の籠ったファンサイトがある。吉野大作の作品の多くはネットショップやCDショップで入手できる。音楽シーンの裏街道を歩んでいるような吉野だがそのスタイルの変遷には日本ロック史の縮図というべき真実が隠されている。

横浜の
ロックの裏道
佇む娼婦

名作デビューEPと2nd「後ろ姿の素敵な僕たち」の正規CD再発を望みたい。
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5 コメント

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Unknown (uesugy)
2013-02-06 02:17:30
えぇ~ 好きなバントでしたが 2nd までしか知らなかった~
生涯現役 (miro)
2013-02-06 09:59:46
uesugyさん
吉野さんにしろグンジョーガクレヨンにしろ陰猟腐厭にしろBe-2及川禅さんにしろ30年以上休まず音楽を続けている方はたくさんいます。

再結成や復活もいいですが、地道に活動しているアーティストの現在を少しでも知ってもらえれば幸いです。

よろしくお願いします。
そういえば (ゲスマーリオ・ミズネッティーニ)
2013-02-08 12:59:05
神奈川大学の近くに、すてきなレコード屋(死語)さんがあったなぁ。
もう25年も行ってないけど(おいおい)、まだあるかなぁ。
ああいうお店が近くにあったらいいなぁ。
はじめまして (たかはしゆう)
2013-03-10 17:51:40
miro様

はじめまして。"fozzdelic farm"作成者のたかはしゆうと申します。
この度はつたないページにリンクを貼って下さりありがとうございます。
個人的な思いしかないページではありますが、「愛情の籠った」と紹介していただき本当にうれしい限りです。
まだまだ発展途中のページではありますが、時間のあるときにご覧いただけると幸いです。

facebookページでも更新状況を発信しております。
https://www.facebook.com/pages/%E5%90%89%E9%87%8E%E5%A4%A7%E4%BD%9C%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8/109642022446762

いろいろお伝えしたいことは有るのですが、"Daisuck & Prostitute"と"後ろ姿の素敵な僕たち"の再発は現状は難しそうです。

"Daisuck & Prostitute"は"死ぬまで踊りつづけて"再発時にボーナストラックでの収録を期待していたのですが、両者のレーベルが違うということで収録されなかったのでしょうか。ご本人所有のライブテープが沢山あるので、これも期待していたのですが、残念ながら収録されませんでした。以前は"1973-1980"に2曲のみ中途半端に収録されています。

"後ろ姿の素敵な僕たち"は日本クラウンとの契約上、再発のための条件が厳しいらしく、難しいとのことです。非常に残念です。

また以前から洋楽を吉野大作氏の日本語詞による、カバーアルバムの作成を行っています。その一部はライブにて演奏されております。

miro様が書かれている通り吉野大作氏のキャリアは常にアンダーグラウンドな場所での活動ながら、その時代の雰囲気を音へ変換させてきた希有な「日本」のアーチストだと思います。

少しでもそのことを知る人が増えることを願って、ファンサイトを作成しております。

長々と書き連ねてしまい失礼いたしました。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
吉野さん (miro)
2013-03-12 01:09:50
たかはしさま
ありがとうございました。サイトを作成なさった方の直々のコメント感激です。私などつまみ食いばかりで広く浅い知識で記事を書いていますが、たかはしさまの吉野さんへの情熱と愛情の溢れた素晴らしいサイトだと思います。タイミングが合えば吉野さんのライヴを観たいと思います。その際はぜひご挨拶させて下さい。
今後ともよろしくお願いします。

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