A Challenge To Fate

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【私のB級サイケ蒐集癖】第17夜:万国の不能者(インポテンシスト)よ、接触(コンタクト)せよ!NY地下ロックの堕神『ザ・ゴッズ』の無為無能音楽。

2018年09月24日 00時05分18秒 | 素晴らしき変態音楽


80年代初頭高校時代にフリージャズに興味を持ち、中古レコードを漁るうち出会ったのがESPレーベルだった。アルバート・アイラーやサン・ラ、マリオン・ブラウン、バートン・グリーン等のLPジャケットの裏にはレーベルのカタログが載っていた。その中には明らかにジャズとは思えないレコードも含まれおり、ザ・ファッグス、ティモシー・リアリー等と並んでザ・ゴッズ(The Godz)のレコードが掲載されていた。The Godz(神)を名乗るバンドは他にもいるが、NY地下音楽を象徴するESPの神バンドとは何者か?

その当時ESPの6〜70年代のオリジナル盤も然程珍しくはなかったが、ちょうどイタリアのBASEレコードがESPのカタログを再発しており、西新宿にあったTOP TEN CLUBという輸入レコード店で購入したのは『Godz 2』の再発LPだった。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドを思わせるジャケットに惹かれたのだが、数曲を除いてフォークギターやパーカッションを掻き鳴らしてばか騒ぎする脳天気なサウンドは、既にザ・ファッグスのレコードは聴いていたし、レジデンツやレッド・クレイヨラ、ペル・ウブ等オルタネイティヴミュージックを愛聴していた筆者にとっても、なんだこれ?という印象だった。初期アモン・デュールのラリッたセッションをアメリカの貧乏学生が家に転がっているガラクタで真似た感じ、と言えばいいだろうか。

The Godz, Godz 2 (1967)


ESPの初期作品はそんな調子のジャンクなサウンドだが、中心メンバーのひとりジム・マッカーシーのソロ作『Alien』(1973)はESPに似合わぬカントリーロックで拍子抜けした。得てして60年代にドラッグを散々やって学生運動にのめり込んだ世代は、その後体制側に取り込まれ反動保守にどっぷり浸かりがちである。この謎の神バンドも然り、自らのルーツのパンアメリカン主義の軍門に下ったのだろうか。

The Godz "So Beautiful"


THE GODZ
Jay Dillon (autoharp)
Jim McCarthy (g, plastic fl, hca, vo)
Larry Kessler (bag, vln, vo)
Paul Thornton (d, g, maracas, vo)


60年代半ばニューヨークの49丁目ストリートの楽器店サム・グッディーズで働いていたジム、ラリー、ポールにより結成される。「3人でラリーの家の居間でジョイントを決めていた。部屋にはいろんな打楽器が転がっていて、僕は我慢できなくなってタンバリンを叩きはじめたんだ。みんなで日常の欲求不満を発散するように一心不乱に騒音を鳴らしたのさ。そしたらラリーが正気を疑うような提案をした。この即席バンドでESPのオーディションを受けようってね。」ジム・マッカーシー

既にニューヨークの地下ロックバンド、ザ・ファッグスをリリースしていたESPディスクは、以前ラリーが働いていた縁もあり、この無名のグループと晴れて契約を結んだ。最初のレコーディング・セッションは1966年9月28日に行われ、1stアルバム『Contact High with the Godz(ザ・ゴッズと高次元の接触せよ)』として66年にリリースされた。2nd『The Godz 2』を67年リリースした後、ジェイ・ディロンが脱退。残る3人で、他のミュージシャン友達を加えた二つのユニットThe MultitudeとThe Dogz、そして3人だけのThe Godzを収録したフリークアウト・アルバム『The Third Testament (第三の聖書)』(68)をリリース。73年にラスト・アルバム『Godzundheit(女神)』をリリースして一旦解散。

2007年にジム、ラリー、ポールで再結成(ジェイは2005年に死去)。2014年にラリーがライヴメンバーを集め「The Godz」として現在もツアーやレコーディングを行っている。



ビート詩人の流れを汲むザ・ファッグスに比べ、何も無い状態から発祥したフリークバンド、ザ・ゴッズの音楽に必然性や思想性は希薄かもしれないが、世の中に飽き飽きしてドロップアウトした不能主義者が産み出した無為無能の音楽は、時代の進化性をインポテンツ化する武器として今こそ聴かれるべきであろう。

インポ主義
時代の恥垢を
吐き尽くす


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