A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

Time is a Blind Guide/巻上公一+佐藤正治@六本木SuperDeluxe 2017.9.12(tue)

2017年09月14日 22時32分20秒 | 素晴らしき変態音楽


Thomas Strønen’s Time is A Blind Guide
トーマス・ストレーネン タイム・イズ・ア・ブラインド・ガイド


開場 19:30 / 開演 20:00
料金 予約4000円 / 当日4500円 (ドリンク別)
出演:
Time Is A Blind Guide
田中鮎美 (Ayumi Tanaka) piano
レオ・スヴェンソン・ サンダー (Leo Svensson Sander) cello
ホーコン・オーセ (Håkon Aase) violin
オーレ・モルテン・ヴォーガン (Ole Morten Vågan) - bass
トーマス・ストレーネン (Thomas Strønen) drums
ゲスト:
巻上公一 voice, theremin
佐藤正治 percussion



2017年5月に10日間開催されたデンマーク.イベント「OPPOSITE 2017」にリヴィング・ルームというグループで来日し巻上公一と共演したノルウェーのドラマー、トーマス・ストローネン率いるクインテットがTime is a Blind Guide。「時間は盲の案内人」というバンド名はカナダのアン・マイクルズの小説『儚い光』から取ったという。作家も小説も知らないが、タイトルだけでも詩的かつ哲学的なセンスを感じ、それは弦楽三重奏+鍵盤+打楽器という室内楽アンサンブルのイメージにも合致する。弦楽器とドラムの組み合わせと聞くと、ユニヴェル・ゼロやアール・ゾイなど「チェンバー・ロック」と呼ばれるレコメン系プログレッシヴ/ユーロロックを想像してしまう筆者にとっては、イギリスとノルウェーの音楽家からなるこのグループに心惹かれない筈が無い。しかもゲストにヒカシューの巻上公一とドラマーの佐藤正治が参戦すると知ったら最後、足が自然に六本木に向かうよう条件付けされたパブロフの犬である。
OPPOSITE 2017 マスキネル・テラピー、ザ・リビング・ルーム feat. 巻上公一、メテ・ラスムセン & クリス・コルサーノ feat. ジム・オルーク & 坂田明

●巻上公一+佐藤正治


左手に巻上のテルミンが、右手に佐藤のパーカッションセットが設置されている。ヒカシューで長年一緒に活動する二人ならではの阿吽の呼吸のインプロヴィゼーション。巻上のヴォイスパフォーマンスはいつ見ても強烈だが、対する佐藤の声芸も驚異的に面白い。金切り声すら凌駕する超音波ヴォイスは、人類の神秘に肉薄する変態音楽家の極北を垣間見せた。30分の短いステージだったが、ヒカシューとは違ったデュオならではの自由な演奏だった。

●Time is a Blind Guide


ドラムの周りをウッドベース、ヴァイオリン、チェロが囲み、ドラムが見える角度にセットされたピアノに座る田中鮎美は背中しか見えない。リーダーのトーマスはMCで前日に行われたノルウェーの総選挙の結果(右翼が勝利)にフラストレーションが溜っていると語り、日本最後のショーを思い切り演奏すると宣言した。20分を超える長尺ナンバーを含め来年2月リリースのニューアルバムの曲を披露。流麗なピアノがリードするクラシカルな雰囲気が弦楽器のピチカートによる物音即興になり、断続的なドラムソロ、ピアノ線を手で押さえた鍵盤の打音、エレガントな弦楽メヌエットに破壊的な小太鼓トリル。行方知らず徒然なる演奏に弄ばれる流浪の聴民と化した。

●Time is a Blind Guide+巻上公一+佐藤正治


気がついたら22時を回っていたが、鳴り止まぬ拍手に応えてゲスト二人を交えたアンコール。バンドは作曲された楽曲を演奏し、巻上がテルミン、佐藤がパーカッションで即興する。ドラムのトーマスを見つめてキメやブレイクに瞬時に反応する二人が素晴らしい。

確かにチェンバーロックを思わせるパートはあったが、そんな感慨を遥かに飛び交えた多種多様な音楽要素とそれを拡張するミュージシャンシップに心が包まれ、ため息をつくような一夜だった。国やジャンルをとやかく言うのは、偏狭な原理主義者だけなのだろう。

北国の
ため息暖炉で
燃やしてる

【見逃し厳禁】次回ヒカシュー共演ライヴ
9月17日(日)東京 せんがわ劇場/Jazz Art せんがわ 2017


ヒカシュー×クリス・ピッツィオコス
ニューヨークでここ数年で頭角を現したサックス奏者のクリス・ピッツィオコスは、初来日。とてもサックスとは思えない音が超ハイスピードで連射されます。そんな彼のソロとヒカシューとのコラボレーション。これは刺激的な組み合わせになるはずです。すでにヒカシューの秋の新作アルバム『あんぐり』の録音にクリスが参加するなど、交流ははじまっていて、息もぴったり。(巻上公一)
ヒカシュー[巻上公一(Vo,Theremin,Cornet)、三田超人(G)、坂出雅海(B)、清水一登(Pf,Synth,B-Cl)、佐藤正治(Ds)]
Chris Pitsiokos クリス・ピッツィオコス(sax)
Jazz Artせんがわ2017
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