A Challenge To Fate

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謎のフリージャズ・サックス奏者バイロン・アレン『バイロン・アレン・トリオ』『インターフェイス』

2015年05月09日 02時19分40秒 | 素晴らしき変態音楽


バイロン・アレン・・・1939年12月9日 ネブラスカ州オマハ生まれ。サキソフォン奏者/作曲家。



The Byron Allen Trio
Label:ESP Disk ‎– 1005
Released:1965

A1 Time Is Past 10:27
A2 Three Steps In The Right Direction 8:38
B1 Decision For The Cole-Man 9:30
B2 Today's Blues Tomorrow 14:44

Byron Allen (alto sax)
Maceo Gilchrist (bass)
Teddy Robinson (percussion)

"He was a guy who was out there, who had talent and would by ready." Bassist William Parker on Byron Allen.
「彼は才能があり、準備万端で、すぐ外で出番を待っていた。」 ウィリアム・パーカーのバイロン・アレンについての言葉。

『バイロン・アレン・トリオ』はESPディスクのジャズ最初の作品群のひとつだった。1964年9月25日の午後にマンハッタンの真ん中のミラサウンド・スタジオで録音されたデビュー作。彼をESPディスクに推薦したのはオーネット・コールマンであり、収録曲の『コール・マンの為の決意(Decision for the Cole-Man)にその繋がりが反映されている。アレンと彼のトリオのプレイは、デヴィッド・アイゼンソン(b)、チャールズ・モフェット(ds)時代のコールマン・トリオにどこか似ている。かといって、アレンとメイシオ・ギルクライスト(b)、テッド・ロビンソン(ds)がこの4曲で自らのサウンドを提示していないという訳ではない。このアルバム以降、アレンは15年後にもう一枚しかアルバムを残していないが、このLPは熱心なジャズファンの間で伝説的な地位を得ている。
アレンのアプローチは、最終ゴールへのあらゆる道筋を探索し、時に道の途中でふと立ち止まり、軌跡を分解してから再構築し、そのうえで新たな道へ踏み出す。とてもアカデミックに聴こえるが、アレンのプレイはブルースに深く根付いている。知られざるマスターピースの1作である。
(ESP-DISK公式サイト)

1965年にデビューした時にESPはバイロン・アレンを「チャーリー・パーカーの精神的後継者」と呼んだ。しかし彼のアルトサックスを一聴して即座に思い浮かぶのは、レーベルに彼を紹介した男オーネット・コールマンであるアレンのラフな音は、彼の音楽的アイデアに追いついていない場合もある(時々明らかに音程がフラットする)。しかし注意深く聴けば、彼のソロには、ジミー・ライオンズを除けば、当時のフリージャズ演奏家としてはユニークな、バード(チャーリー・パーカー)のような華やかさがある。
アレンとテッド・ロビンソン(ds)、メイシオ・ギルクライスト(b)の対話は正直言ってユルいが、彼らの演奏には、レーベルとしての名声にも関わらず、ESPのアルバムではあまり聴けないエネルギーがある。「Time Is Past」でロビンソンはフォービートに乗せて、硬質なスネア・ロールとシンバルでドライヴする。「Three Steps in the Right Direction」はギルクライストが大活躍し、繰り返しや速度を遅くすることなく、高速でノートを奏でる。「Decision for the Cole-Man」でオーネットに目配せするが、トリオは明らかに独自のアイデアを持っている。特にアルコとフィンガー・ピッキングを素早く弾き分けるギルクライスト。「Today’s Blues Tomorrow」はとりとめないが、進むにつれた音楽の基本を構成し再構成し、グルーヴを見出したと思えば、容易く捨て去り別のものと入れ替える。
アレンは約15年後にもう一枚アルバムをリリースし、それ以来消息不明である。ESPの膨大なカタログのなかの無名の作品の中でも、本作はもっと認識されるべき。マリオン・ブラウン、ソニー・シモンズと並びESPを代表するアルトサックス奏者のひとりである。
(JazzTimes)

リロイ・ジョーンズが初期の〈ESP〉作品の中でジュゼッピ・ローガン、ニューヨーク・アート・カルテットと共に最も高い評価を与えたバイロン・アレン。チャーリー・パーカー以降の奏法をきちんと身に付けた上でフリーに進んだ彼のプレイは、当時同じピアノレス・トリオで演奏していたオーネット・コールマン以上に明快で切れが良く、大きな期待が寄せられました。その後のレコーディングがとても少ないのは残念ですが、それだけにこのアルバムの価値は高く、アレンのアルトが発する鋭いきらめきは今もなお聴く者を圧倒します。
(Tower Records Online)

Byron Allen(as)、Theodore Robinson(per)、Maceo Gilchrist(b)のトリオによる1964年作品。リーダーの Byron Allen については素性は不明で、この1枚しかアルバムを残していないようです。音楽はアルバム・アートほどには厳しくなく、ESPレーベルの中でもかなりストレートな仕上がりで、Ornette Coleman「At the Golden Circle in Stockholm, Vol.1」あたりの躍動感あるアルトを想像してもらえば間違いありません。
自由に伸び縮みしながらも明確にリズムを設定するドラムとベースに支えられて、Byron Allen がまるで物語りのような素晴らしい構築力のソロを15分に渡って展開する[4]が凄いです。そのクライマックスをめがけて、ブルースを基底にトリオが相互に影響を及ぼし合いながら[1][2][3]と加速度的に調子を上げて行く。シンプルな編成だから全体にとてもスッキリしていて、熱さが直接伝わってきます。
(amazonカスタマーレビュー)




Interface : A Common Boundary Between Matter and Space

Label:ACC Productions ‎– ACC 791 (34538)
Released:1979

A1 True Believer 8:05
A2 Blues From Everyone 7:10
A3 No Time To Waste 7:23
B1 No Time To Waste 13:20
B2 Drum Solo 12:19

Byron Allen (sax)
Tim Jordan (ds)
Robbie Bitanga (g)

1965年バイロン・アレン・トリオのレコードはニューヨークの即興シーンを奮起させた。『インターフェイス』はその音楽に新たな興奮を付け加える。どちらのレコードも偶然にもグロリアとバイロン・アレンの間の子供の誕生と時を同じくして生まれた。
バイロンは音楽と自分の娘達をどちらも同じく「私の子供たち」と呼ぶ。子供たちという用語が音楽に対して使われると、子供の誕生を手伝う際の思いやりという想定される責任を暗示している。それは闘いではなく人生の道筋である。
グロリアはサンフランシスコの学校を通り過ぎた時に音楽を聴いた。そうやって人生の道筋が始まった。ティム・ジョーダンとロビー・ビタンガがバイロンと一緒に音楽の旅路を創り出した。その時間はインターフェイス(境界面)と呼ばれ、物質と宇宙の間の共通の境界である。
(アルバム・ライナーノーツ)

筆者の通っていた大学では、年に2,3回程度大学生協で中古レコードセールが開催された。おそらく関東近隣の大学を順繰りに巡業していたとおぼしきその売り場には500円均一コーナーが常設されており、それこそマイナー音楽愛好家にとって宝の山だった。一般学生向けのヒットものが売上の中心だったのだろう、マニアックなレコードはコレクター価格どころではなく、二束三文で売られていた。グループサウンズのオリジナル盤、B級ハードロックやプログレやパンクの帯付美品、サイケのレア盤などがゴロゴロしていた。中でも多かったのがESPディスクを中心としたフリージャズだった。アルバート・アイラー、ポール・ブレイ、サン・ラ、ジュゼッピ・ローガン、バートン・グリーン、パティ・ウォーターズ、ニュー・ジャズ・シンジケート、E.E.U.(Evolutin Enemble Unity:高木元輝、近藤等則、吉田盛雄)など、毎回掘り出し物満載だった。バイロン・アレンも生協セールで購入。特徴はひとことエネルギッシュ。オーネット直系の天真爛漫さに貫かれ、決してフリークアウトしない丁寧なフレージングは、荒削りな印象の強いESP諸作の中では、とびきりテクニカルに秀でている。ESPの紹介コメント通りチャーリー・パーカーに近いブッ飛び方である。筆者のアルトサックスの手本として、マーシャル・アレン、マリオン・ブラウン、チャールズ・タイラーと並ぶ四大師匠だった。しかし、他の3人はソロや別ユニットでいくつも作品を残しているのに、バイロン・アレンだけはESPのリーダー作1枚だけしか見当たらない。当時はもちろんインターネットなどなく、彼のバイオグラフィーは調べようもなかった。

30年経ってネット検索で分かったのは、70年代にもう1枚アルバムをリリースしたことだけ。結局それきりで消息不明になったようだ。一説には90年代終わり頃まで活動していたとも。いずれにせよ、現在生きているかどうかも定かではない謎のサクソフォン・プレイヤーである。ネット検索してもレビューや記事で取り上げられているのはESPでの1964年作『Byron Allen Trio』だけで、79年の2nd『Interface』についてはリリースの事実だけしか記載がない。幻の2ndアルバムは一体どんな作品か?と思っていたら高田馬場のDisk Unionで1年半前にあっさり発見。バックを二人の白人ミュージシャンが勤めたトリオ作だが、一聴して「コレは一体、彼に何が起きたのか?」と衝撃を受ける問題作だった。ESP時代のエネルギーは何処へやら、ソプラノ・サックスかと間違えそうなボトムのないハイトーンは、魂の抜けた空っぽ人間の歌のような虚ろな響き。よく言えばスティーヴ・レイシーの達観ぶりに似ているかもしれないが、ここでのバイロンは間違いなくサイケデリック・トリップのあとのホワイトアウトと同じ状態に違いない。激しく時代を駆け抜けたフリージャズの闘士が、戦いの終わったあとに抜け殻の廃人になってしまった。燃え尽きた男の空洞の隙間を抜けるフレーズに、すっトボケたリズムセクションがチャチャを入れる。人を小馬鹿にしたウォーキングブルースのA2,B1は燃え滓を元気づけるどころか、一層存在の薄さを際立たせる。そしてラストナンバーB2を「ドラム・ソロ」と名付け、運指の練習のようなフレーズを吹いたあとは演奏を放棄してしまったバイロンの心境は如何に?おそらく既に心は別の次元を彷徨っていたに違いない。

すなわち『インターフェイス』は、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのサード・アルバム、ディノ・ヴァレンテの1stソロアルバム、裸のラリーズ(水谷孝)の『MIZUTANI』、灰野敬二『慈』と並ぶ、極端音楽のHealing Forace(癒しの力)の顕在化に他ならないのである。ただし、他の4者との大きな違いは、バイロン・アレンは自らの意志ではなく、自然の力に導かれるままにこの境地に辿り着いたという事実である。そしてまた、彼は二度ともとの世界には戻れないのではなかっただろうか。存命だとすれば75歳。彼の身体から流れ出る音楽が現在どの階層・位相にあるのか、確かめてみたい気がする。
(剛田武 2015年5月9日記)

ECMよりもESP
CTIよりもICP
ImpulseよりもIndia Navigation

【お悔やみ】
デヴィッド・アレン Daevid Allen


ソフト・マシーンやゴングを結成し、サイケデリック・ロックを代表するミュージシャンの1人だったデイヴィッド・アレンが2015年3月13日金曜日に亡くなった。77歳だった。アレンは先月、癌が再発し、あと数か月しか生きられないと明かしていた。1938年オーストラリア、メルボルンで誕生したアレンは、1961年にイギリスへ移住。ミュージシャンとしての活動を始め、ロバート・ワイアット、ケヴィン・エアーズ、マイク・ラトリッジらとソフト・マシーンを結成した。アレンはその後、英国への再入国を拒否されたため、ソフト・マシーンのツアーに参加できずバンドを脱退。ヨーロッパに留まり、ゴングを結成した、1973~74年にかけて発表されたラジオ・グノーム三部作『Flying Teapot』『Angel’s Egg』『You』は、高い評価を得た。

バーナード・ストールマン Bernard Stollman


アルバート・アイラー、オーネット・コールマンらの諸作で有名なESPディスク(1964年設立)の創立者として知られるバーナード・ストールマンが2015年4月20日大腸がんのため死去した。85歳。1929年7月19日ニュージャージー州ニューブランズウィック生まれ。


ジェローム・クーパー Jerome Cooper


60年代からスティーヴ・レイシー、アート・アンサンブル・オブ・シカゴ、アラン・シルヴァ、フランク・ライト、セシル・テイラー、アンソニー・ブラクストンなどと共演し、70年代にリロイ・ジェンキンス(vln)、シローン(b)とのトリオ、レヴォルーショナリー・アンサンブルで活躍したドラマー/マルチ楽器奏者/作曲家ジェローム・クーパーが2015年5月6日癌のため死去した。68歳。1946年12月14日イリノイ州シカゴ生まれ。

澤“sweets”ミキヒコ


3人組エレクトロ・ポップ・グループふぇのたすのデジタルパーカッション、V-Drums担当。遠征時は運転も担当。尚美ミュージックカレッジ専門学校 プロミュージシャン学科卒業。2015年5月3日に急性心不全の為死去。享年24歳。



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