A Challenge To Fate

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【私のB級サイケ蒐集癖】第24夜:T.I.M.E.(トラスト・イン・メン・エヴリホエア)〜ギミックジャケで時空を超えるアシッドギターとサイケポップ

2019年10月22日 01時25分40秒 | 素晴らしき変態音楽


レコード蒐集の喜びのひとつにギミックジャケットがある。『THE SOFT MACHINE』や『LED ZEPPELIN III』の廻転ジャケや『FAUST』の透明ジャケ、『JETHRO TULL / STAND UP』『QUINTESSENCE』の立体ジャケなど、製造するのが面倒くさそうな創意工夫を凝らしたジャケットは、中身のサウンドも一筋縄では行かないくせ者が多い。B級サイケの世界にどのくらいギミックジャケがあるかは知らないが、筆者が一番好きなのはT.I.M.E.というバンドの1stアルバムである。丸いセルロイドに星座記号が白く描かれ、内ジャケの写真が浮き出る見開きジャケは、開く度に超時空の扉を通り抜けるような気分がする。サウンドの方はツインギターが絶妙に絡み合いながら難解なクロスプレイに終止することなく、つぼを心得たポップなヴォーカルハーモニーが全体を貫く分かり易いアシッドロック。音の感触はシカゴのH.P.ラヴクラフトに似ているが、T.I.M.E.はジャケ通りのコズミック感を強く打ち出し、宇宙空間に漂う酩酊感に満ちている。より自由度を増した2ndアルバムと共に60年代サイケポップの隠れ名盤である。



Bill Richardson: Guitar , Vocals
Larry Byrom: Guitar, Vocals
Nick St. Nicholas: Bass guitar ~68
Steve Rumph: Drums ~68
Richard Tepp: Bass guitar ~69
Pat Couchois: Drums ~69

ビル・リチャードソンは、60年代半ばにサンディエゴ出身のガレージロックバンドThe Hard Timesのギタリストとしてデビュー。ロサンゼルスに活動拠点を移してライヴハウスWhisky A Go Goのハウスバンドとして活動し、ディック・クラークの人気TVショー「Where The Action Is」にたびたび出演。1966年World Pacific Recordsと契約し数枚のシングルをリリース。67年のアルバム『Blew Mind』レコーディング中にラリー・バイロンがベースで参加。アルバム・リリース後、ビル・リチャードソンは脱退。残ったメンバーはNew Phoenixというバンド名でママ・キャス(Mamas and Papas)のプロデュースでシングルをリリースしたがまもなく解散。

●The Hard Times / Blew Mind World Pacific Records ‎– WPS-21867 / 1967

the Hard Times - Fortune Teller


ビル・リチャードソンはThe Hard Timesの盟友ラリー・バイロンと共に、カナダのロックバンドSparrowのベーシスト、ニック・セント・ニコラス、ドラムにスティーヴ・ランフを加えサイケデリックロックバンドT.I.M.E.(Trust In Men Everywhere)を結成した。World Pacific Recordsの親レーベルLibertyと契約、$500,000の制作費を得て68年にシングル『Make It Alright』とデビュー・アルバム『T.I.M.E.』をリリースした。

●T.I.M.E. / T.I.M.E. Liberty ‎– LST-7558 / 1968

T I M E Label It Love


その頃Sparrowが名前を変えたSteppenwolfのメンバーがWhisky A Go GoにT.I.M.E.のライヴを観に来て、セント・ニコラスを引き抜きに来た。セント・ニコラスは復帰するために脱退し、Richard and the Young Lionsのリチャード・テップがベースで加入。ドラムもパット・コーカスにメンバーチェンジ。ジェファーソン・エアプレインを手がけたAl Schmidtのプロデュースで2ndアルバム『スムース・ボール』をリリース。10分超えのロングチューンを含み、前作よりアシッド感とハードロックっぽさが増したサウンドになった。しかし当時のマネージャーが詐欺師で制作費の前払金とバンドの儲けをすべて持ち逃げしてしまったためT.I.M.Eは解散に追い込まれた。

●T.I.M.E. / Smooth Ball Liberty ‎– LST-7605 / 1969

T. I. M. E (Trust In Men Everywhere) - Flowers [US Psych 69]


ラリー・バイロンはSteppenwolfに加入し、70年までセント・ニコラスと共に中心メンバーとして活動。その後セッション・ミュージシャンとして数多くのレコーディングに参加した。パット・コーカスはバイロンと共に71年にプログレ・バンドRatchellに参加し2枚のアルバムをリリースしたあと兄弟バンドCouchoisを結成し79〜80年に2枚のアルバムをリリースした。

●Ratchell ‎/ Ratchell Decca ‎– DL 7-5330 /1972

Ratchell - Warm And Tender Love


どういう訳かT.I.M.E.のUK盤のジャケはUSA盤とは異なるカラフルサイケなアートワークでリリースされた。そう言われてみればUKサイケのポップセンスに通じる部分もあるような気がする。



時間(TIME)とは
どこでも他人を
信じる気持ち








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