A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【クラシックの嗜好錯誤】第一回:ストラヴィンスキー/冨田勲/レジデンツ/フランク・ザッパ

2018年06月15日 08時46分24秒 | こんな音楽も聴くんです


去年の終わり頃から中古レコード店のクラシック売り場に通うことが増えた。元々現代音楽や電子音楽が好きだったこともあるが、きっかけはストラヴィンスキーの管弦楽曲集5枚組レコードボックスが500円で売っているのを見つけたことである。銀ラメのボックスに豪華なブックレットまで付いてワンコインとは、クラシックに興味がなくてもレコ好きなら心トキメク瞬間に違いない。それ以来ロックやジャズ売り場よりもクラシック・コーナーで中古盤を漁ることが多くなり、コレクションも増えて来た。そんなクラシック音楽について紹介しようと考えた。第一回は中高時代のクラシックとの出会いついて記してみたい。



ストラヴィンスキーとの出会いは、中学時代リッチー・ブラックモアのギター破壊をフィルムコンサートで観てショックを受け、ロックを聴くのを辞める決心をした時に手塚治虫のジャケットに惹かれて買った冨田勲のシンセサイザー版『火の鳥』だった。左右のスピーカーの間を飛び交う奇妙な電子音とドラマチックな音楽劇に魅了された。父のレコード・コレクションにあった『火の鳥』を聴いたが、古典的なオーケストラの演奏はシンセのような楽しさとトキメキは感じられなかった。だからこの時は、ストラヴィンスキー(クラシック)よりも冨田(シンセサイザー)に心を奪われたと言えるだろう。その証拠にシンセサイザーを使ったロック=プログレッシヴロックに興味を持ち、ロック熱が再燃。ジェネシスの『眩惑のブロードウェイ』2枚組LPを金沢で唯一の輸入レコード店で買って聴き狂っていた1976年。しかしその頃パンクロックが登場。最初にラジオでラモーンズやパティ・スミスを聴いた時はピンと来なかったが、セックス・ピストルズやクラッシュが出た時は、ギターソロのないシンプルなサウンドと怒りのパワーに惚れ込んだ。音楽雑誌のグラビアのパンクファッションに憧れ、自分でハサミで髪を切ってツンツンヘアーにして、Tシャツや作業着にカラースプレーで「PUNK」「HATE」「SHIT」と文字を描き、安全ピンや鎖を付けて気取っていた。

Isao Tomita 1976 Firebird Suite Full Album


ピストルズが1978年初頭に解散。時代はパンクからニューウェイヴやパワーポップに移行した。日本でパブリック・イメージ・リミテッドのデビューアルバムが出たのは79年。ピストルズのジョニー・ロットンがジョン・ライドンとして結成した新バンドのダウナーで前衛的なロックはポストパンクの象徴として話題になった。同時にジェームズ・チャンスのコントーションズやイギリスのポップ・グループが紹介され、ディーヴォが日本でも大ヒットしたことで、ロック界に実験精神が注入された。個人的には同時期に紹介されはじめたレジデンツに強く影響された。高校ではパンクのコピーバンド「GLANDES」をやっていたが、受験でバンドができなくなるとフライング・リザーズの影響で自宅録音をはじめた。テープデッキとラジカセを繋いだピンポン録音(録音したテープを片方で再生しながら歌や楽器を演奏して、もう一台で録音。それを何度か繰り返し音を重ねていく録音方法)で、洋楽曲のカヴァーや即興パンクや疑似テクノやひとりフリーインプロに勤しんだ。

The Residents - Fingerprince (1977) [Full Album]


ブラバンの友人からズヴィン・メータ指揮のストラヴィンスキー『春の祭典』を聴かされて、ロックに通じる激しいオーケストレーションに感動するとともに、ギター雑誌『プレイヤー』のイレストレーター八木康夫の連載『PIPCO′S』で知ったフランク・ザッパがストラヴィンスキーやエドガー・ヴァーレーズに影響されたことに納得し、雑誌『フールズ・メイト』や『マーキー・ムーン』でヘンリー・カウやユニヴェル・ゼロ、アール・ゾイ等いわゆるチェンバーロックを知り、再び父のコレクションからバルトークやショスタコーヴィチの弦楽四重奏を見つけ出し、クラシックの中に潜む悪魔性に開眼した。プログレ雑誌に転身した『マーキー』の「ブリティッシュロック集成」に掲載されたスプーキー・トゥース『セレモニー』のレビューでフランスの電子音楽家ピエール・アンリの名前を見て、聴いたことが無いながらも強く印象に残った。

The Mothers of Invention - Uncle Meat: Main Title Theme/The Voice Of Cheese


以上のように筆者のクラシック音楽体験は10代後半の思春期に種が撒かれていたことがわかる。このまま自分語りを続けると切りがないので今日はここまでで筆を置くことにする。来が向いたら時分語りは控えめにして、次回以降あなたの知らないクラシックの森へご案内しよう。

STRAVINSKY Le Sacre du printemps | RAI Roma, Z.Mehta | video 1969 ®



ストラヴィン
好きって言ったら
愛してやるぜ

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