A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

北欧の風が清楚にイノセントにオシャレにやってくる~北欧ジャズ/プログレ/ポップ/メタル/アイドル特集

2013年08月29日 00時22分07秒 | 素晴らしき変態音楽


最近よく北欧ジャズについて書いているが、70年代からスカンジナビアは透明な空気感のある音作りで知られていた。最も有名なのは「静寂の次に美しいサウンド」を掲げて独特の美学を追求するECMの作品の多くがノルウェーのオスロにあるレインボー・スタジオで録音されていることだろう。ヤン・ガルバレク、テリエ・リピダル、アリルド・アンデルセン、ヨン・クリスチャンセンなど設立時から北欧のミュージシャンを擁していたECMの静謐なイメージはこのスタジオの立地に大きな要因がある。決して大ヒットするわけではないが、北欧は現代音楽・即興音楽の産地として熱心なファンの注目を集めてきた。

▼Jan Garbarek


個人的にはレコメン系のサムラ・ママス・マンナがツボだった。スウェーデン・フォークロアの要素を加味した変態拍子を得意としたサムラの大作『初老の新来者の為に』(1977)の半分は完全即興でメロディもリズムも破壊した実験音楽、1/4は子供が喜びそうな冗談民族音楽で、面白いとは思ったがプログレではない。2枚組のボリュームでたっぷり変拍子に浸れると思い7000円の大枚を叩いただけに後悔しきり。否否、コレはいいに違いないと何度か聴いたが、即興パートはやはりキツい。同じスウェーデンのArbete Och Fritid(労働と遊戯)というバンドは、さらに輪をかけた垂れ流し即興だった。当時スウェーデンと言えばフリー・セックスのイメージだったが、音楽的変態説を唱えたい。

▼Samla Mammas Manna(Zamla Mammaz Manna)


一方でABBAやロクセット、aha、ACE OF BASEなどポップ/ロック系が世界的に大ヒットした。特に90年代に注目されたカーディガンズを始めとするスウェディッシュ・ポップは、渋谷系・ネオアコ系・インディー系アーティストやファンに大きな影響を与えた。他にはクラウドベリー・ジャム、パインフォレスト・クランチ、エッグストーン、アトミック・スウィングなどが登場。立役者であるプロデューサーのトーレ・ヨハンソンのタンバリン・スタジオにカジヒデキやボニー・ピンク、原田知世などがレコーディングに訪れた。

▼The Cardigans


北欧メタルと呼ばれるハードロックも有名。イングヴェイ・マルムスティーン、ヨーロッパ、アーチ・エナミー、ストラトヴァリウスなどが世界的ヒット。英米メタルが失った古き良き様式美を保ったスタイルがメタラーの心の拠り所。フィンランド出身の悪ガキR&Rバンド、ハノイ・ロックスも忘れ難い。

▼Yngwie Malmsteen


そんな北欧のジャズ・シーンが大きく注目されたのは、90年代末のフューチャージャズだった、ということは前に書いた。電子音楽やエレクトロを取り入れてはいたが、リードする生演奏はやはり透明感に満ちたECM的なサウンドだった。ノルウェーのJAZZLANDを中心に、Smalltown Supersound(ノルウェー)、 Straight Ahead(スウェーデン)、COMPOST(ドイツ)といったインディ・レーベルからダンサブルなジャズ・サウンドが登場した。

▼Bugge Wesseltoft


21世紀に入るとその流れはクラブと即興の両ベクトルへ拡散していく。クラブ系ではエレクトロニカ/ポストロックに接近し、ジャズの即興性よりも電子音楽的透明感に耽溺していった。即興派は逆にエレクトロビートを人力ドラムに差し替え、60年代フリージャズと7,80年代欧州即興を兼ね備えた激烈なヒューマニズムを追求する。

▼Mats Gustafsson



北欧諸国は自国の文化紹介に積極的で、政府の援助を受け現在進行形の北欧ジャズ・アーティストが数多く来日公演を行っている。今や日本は本国以上に北欧ジャズ・シーンのエッセンスを経験できる、恵まれた状況にある。この機会に芳醇な北欧即興音楽の世界に触れてみてはいかがだろうか。

●ミュージック from ノルウェー
ノルウェーの先端音楽を紹介する「濃い」4日間
あらゆるジャンルを超え、日々進化するアーティストたちの「現在」をとらえる絶好の機会
ヘルゲ・リエンエプレ・トリオはピアノを中心としたトリオ、エレファント9+ライヌ・フィスケはプログレッシヴ・フューチャー・サイケデリア、シニカ・ランゲランは北欧の伝統楽器カンテレ奏者、ECMのアルバムを通して知られる。

▼Helge Lien Trio/Elephant 9 + Reine Fiske


▼Eple Trio/Sinikka Langeland Ensemble   


9月5日(木)新宿ピットイン 夜の部  ヘルゲ・リエン・トリオ
9月7日(土)新宿ピットイン 昼の部 エプレ・トリオ/夜の部 シニカ・ランゲラン・アンサンブル
9月6日(金)東京 青山「月見ル君想フ」 エレファント9+ライヌ・フィスケ
9月8日(日)新宿ピットイン 昼の部 シニッカ・ランゲラン・アンサンブル


●ノルウェーの新即興派ラッブルラッブル来日公演
ノルウェー第4の都市スタヴァンゲル出身のご当地即興ジャズ?ラッブルラッブル初来日ツアー。チャールズ・ミンガスがジョン・ゾーンのネイキッド・シティのソリストとブラック・サバスのリズム隊からなるユニットの為に作曲したようなサード・ストリーム・ストーナー・ロック。

▼Robblerobble


9月18日(水) 名古屋 TOKUZO
9月19日(木) 神戸 KOBE LIVE HOUSE BIG APPLE
9月20日(金) 大分 AT HALL
9月22日(日) 熊本 NAVARO
9月23日(月) 福岡 YOJIGEN
9月26日(木) 六本木 SUPERDELUXE


●フィンランドのカンテレ奏者イダ・エリーナ来日公演
ノルウェーのシニッカ・ランゲレンに続いて、もうひとりフィンランドからカンテレ奏者イダ・エリーナが来日、東京は1回のみの公演を行う。イダは若手女性ミュージシャンらしく、伝統楽器カンテレをゴスペル・R&Bの文脈で使いこなしているという。

▼Ida Elina


9月28日(土)19:30 代官山「山羊に、聞く?」


清楚で
イノセントな
北欧の風

と言えば、コチラのオシャレ系ガールズユニットもヨロしく。

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