GOODLUCK'S WORLD

<共感>を大切に、一人の男のスタンスをニュース・映画・本・音楽を通して綴っていきたい

「出そろった米国大統領・副大統領候補

2008年09月01日 | Weblog
 マケイン共和党は副大統領候補にアラスカ州女性知事、サラ・ペイリン氏(44歳)を選んだ。共和党の女性副大統領候補は史上初めてだ。彼女はアイダホ州生まれでアイダホ大卒業後、アンカレッジのテレビ局でスポーツ記者として活躍した後、夫と共に漁業などに従事。同州のワシラ市議会議員を経て96年、同市長に選出。06年、アラスカ州知事選に出馬。共和党の現職知事を予備選で破り、本選挙では民主党の元知事に勝利。同州初の女性知事に就任した。

 最近の世論調査でクリントン氏の支持者の2,3割はオバマ氏に投票しないと回答している。この結果はオバマ氏がクリントン氏の牙城とした白人労働者層、ヒスパニック(中南米系)、中高年女性への浸透が遅れていることを露呈している。当然このことを十分踏まえて共和党は、妊娠中絶反対派(民主党は賛成)で知られ、アラスカの市長から予備選で現職共和党知事を破り、本選挙で民主党の元知事を破って改革色豊かな44歳の女性知事を選んだ。

以前アメリカの保守本流の事を述べたが、再度記述する。
■保守本流とは、東海岸や西海岸に住む人たちの事ではない。米国のキリスト教プロテスタントは一般に「主流派(メインライン)」と「福音派(エバンジェリカル)」があり、2004年の大統領選で大きな影響を与えたのが福音派である。大統領選の出口調査で回答者の22%を占めた「福音派」の78%がブッシュに投票した。福音派は共和党の大票田だ。この宗教に属する人たちこそアメリカの本流と呼ばれている。(アメリカ最大の妊娠中絶反対派)

 クリントン氏は民主党候補でありながら、この保守層の指示を得てきた。オバマ氏に投票しないと云っている2,3割の中には、この保守層が多く含まれている。共和党は現職知事を破って改革色豊かでしかも、妊娠中絶反対派で知られるペイリン氏選び、クリントン票をそのままいただく大奇襲作戦にでた。

 民主党大統領候補がオバマ氏に決まり、副大統領を選んだ頃からオバマ氏の支持率が急落したのは、当然、熱狂的なクリントン氏支持者の民主党離れが起因している。この亀裂を修復するために、8月28日の民主党大会までクリントン氏を候補者として扱い、全国大会の場で同氏に開票打ち切りを提案させ、全会一致でオバマ氏支持という離れ業を行った。

 それはまるで秀吉が大阪城で威厳を示すために、家康にひれ伏してくれと事前に頼んだという逸話と似ている。ここまでしなくてはならないといことは民主党の亀裂はかなり大きいと云わざるを得ない。そこに焦点を当てて、共和党はクリントン氏を彷彿させるペイリン氏を候補としたのだ。

 民主党にとって、ブッシュの不人気、イラク戦争の泥沼化、景気悪化という素晴らしい追い風にも関わらず、年初の勢いは今はない。クリントン・オバマの候補者選びが長く続きすぎたことが大きな亀裂を生んだ。クリントン氏を副大統領にという選択は当然オバマ陣営にはあったはずだが、ベテランで外交に強いと云われるハイデン上院議員を選んだのは自分の経験不足を補う人選だ。ここにオバマの弱さが見えてくる。私はもし、クリントン氏を選んだのならオバマ氏は相当な自信・心臓の持ち主だと思っていたが、言動通り誠実な人物なのだろう。

 オバマ民主党のハイデン上院議員の選出は、自ら自分の欠点を露呈することになった。最近のグルジア紛争でロシアが軍事侵攻した直後から、マケイン氏はロシア軍の即時撤退と欧米の結束を訴え「危機に強い最高指揮官」という印象をきわだたせた。反対に若くて経験不足というオバマ氏の欠点をよりクローズアップさせることとなった。

 ペイリン氏は女性の強みを押し出し、民主党に対抗して超党派の支持拡大を目指す考えを示し、8月29日の演説できっぱりとこう言ってみせた。
「ヒラリーは天井のガラスにひびを入れたが、私たちはガラスを打ち破ってみせる」

 元スポーツ紙の記者のペイリン氏も自分の置かれている状況・位置をしっかり捉えている。日本のバカ大臣のような失言をするはずもなく、この発言だけで共和党支持を1ポイント以上あげたのではないだろうか。

 11月4日の投票日まであと2ヶ月。現在の支持率(ラスムセン社:8月15日~27日)は互いに47ポイント。当初民主党に吹いていた追い風が今はない。グルジア紛争の火種はアメリカの大統領選にあるとプーチン首相が述べているが、まんざら当たらずとも遠からず。(戦争に強い共和党)また、プーチン首相は8月28日の米CNNとの会見で、「米産鶏肉を輸入禁止」を予告し、「グルジア問題とは一切関係ない。政治的意図はなく、制裁でもない。」と語っている。KGB上がりの元大統領、強烈な国粋主義者の言葉を真に受けられない。しかし、対ロシアというきな臭い風は共和党に追い風を呼び込み始めたのだ。
 
 オバマ氏が勝てば国内産業優先の保守貿易、つまり日本には厳しい対米関係となるだろう。だから決して対岸の火事とは云えないが、党の政策や人心の動き、候補者の言葉にはいつも個人的に興味がある。

 今年1月に書いた日記では<クリントン氏の辛勝>を予測して外してしまったが(2008 1.29の日記http://blog.goo.ne.jp/goodluckyuji713/5)、その後のアメリカ国内景気の低迷や石油の急騰、グルジア紛争など国内外の状況に決して停滞などない。今ここで新たな予測など私にはとても難しい。ただ云えることは、この時点(あと2ヶ月)で追い風がなくなり、反対にアゲイストの風が吹き始め、オバマ民主党の勝利は遠退いていることは事実のようだ。

 この危機を救えるのはヒラリー・クリントン氏しかいないと思えてならない。今後の上院議員・政治家としてのあり方、組閣後の入閣、及びその他のポジション確保を含めて、これからの彼女の言動に目を離せない。

 教育改革が大きな政治理念だったヒラリー。
 ガチガチの共和党員だった学生時代に民主党に鞍替えし
 大統領候補までのし上がったヒラリー。
 女性で最も大統領に近いと云われ続けたヒラリー。

 今後の政治生命をかけたこれからの言動に注目したい。その影響力の大小が、米国史上初めての黒人大統領誕生に直結しているように思うからだ。


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