GOODLUCK'S WORLD

<共感>を大切に、一人の男のスタンスをニュース・映画・本・音楽を通して綴っていきたい

「どんな国に住みたい? 高尚なポピュリズムを求めて」

2012年11月30日 | Weblog

 今日の朝日新聞のオピニオン記事で、北海道大准教授の吉田徹氏が、「先進民主主義国の多くは迷った時に立ち返るべき『原点』を持っています。アメリカは憲法、フランスだったら共和制。しかし、日本は、回帰すべき『原点』を持ちません。残念ながら理念で人々を糾合することができない歴史なんです」と語っています。その後、とてもわかりやすくて、共感できる<政治・政治家の定義>を語っていました。

「政治とは本来、短期的で個別的な欲望を、より高尚で普遍的な欲望につなぎ、人々を導いていくもの。政治的リーダーとは人々を導く上質な『物語』を語れる人です」

        

 かつて、政界の風見鶏と云われた中曽根元首相、その後、聞きなれないポピュリズム(大衆迎合・衆愚政治)の言葉を生じさせた小泉元首相。ポピュリズムの語源は『ピープル』と同じでラテン語の『ポプルス(人々)』。であるなら「人々=衆愚」と云っていることになる。かつて土井たか子女史率いる社会党が「消費税反対」を掲げて大躍進した過去があるように、確かに民衆や民意は<衆愚>と思えるふしがある。しかし、フランスの共和制樹立やアメリカの建国歴史はポピュリズムが集結した結果ではないか。日本の歴史を振り返ると、自由民権運動が燃え上がった時期や地域が、長くも広くも深耕しなかったことが残念だったと云うほかない。

 板垣退助の征韓論から始まった自由民権運動は、<士族民権>の色合いが強く、その後<豪農民権>へと以降しましたが、大衆迎合や大きな民意に至らず明治政府は1880年(明治13年)の集会条例等で言論を弾圧しました。鎌倉幕府以来、武士による政権が続き、江戸幕府を倒した明治政府以降、昭和初期・敗戦に至るまで軍事政権が続きます。

 司馬遼太郎氏は、軍事官僚が「魔法の杖を持っていた」と方々で書いていますが、その魔法の杖とは「統帥権」というものです。「統帥権」を定義した書『統帥網領・統帥参考』は昭和3年に、『統帥参考』は昭和7年に書かれました。当時、この本を読めるのは「陸軍大学校出身者」という超エリートだけでしたが、その後、「陸軍参謀本部」と「海軍軍令部」の統帥部に受け継がれ、絶大な権力(つまり魔法の杖)を持つことになっていきました。そして、日本を陸軍、海軍共だけの国のように扱っていくことになります。結果的に国家予算の半分以上も軍事予算で食いつぶすことになります。明治以来大変な「官僚国家」となりますが、昭和に入って「軍事官僚国家」へと変身を遂げるのです。日本が官僚国家と云われるのは、こう云った推移があるからです。

        

 話を戻しますが、「ポピュリズムは本当に衆愚政治か否か?」この問題は土井たか子氏が掲げた「消費税反対」の議論から始めなくてはならないような気がしてなりません。私は、この時期の増税にはどうしても賛成できないでいます。いまだに<消費税は天下の悪法>と唱える学者も存在するのです。小泉元首相は「郵政民営化の賛否」を掲げて非常にわかりやすい選挙を行い<ポピュリズム>を上手く利用して大勝利しましたが、その後民衆は知恵をつけました。かつては二大政党推進論者であった私ですが、今では連立政権こそが民主主義国家の取るべき道ではないかと考えを新たにするようになりました。政治的停滞を生む可能性が高いですが、その分各論(原発・TPP・憲法改正・消費費増税・道州制etc.)での討議<ディベート>が盛んになるように思っています。これこそが、民主主義ではないでしょうか。決して政治好きな人々だけでなく、より多くの人々にその<ディベート>に参加できるシステムの構築を望んでいます。

 昨夜10党首による激論が行われましたが、決して1回で終わるのではなく、12月16日までに出揃った公約を掲げての激論会をあと数回は開催して欲しいと思います。そして、各党の党首たちの生の声と表情をじっくり視聴し、自分なりのスタンスを定め、より多くの有権者が一票の重みを感じながら、16日投票所に向かってくれることを願います。今回のニコニコ動画によるネット配信は、私的にはワクワクするような画期的な出来事だと思っています。

●討論会の全文:http://news.nicovideo.jp/watch/nw445357

●討論会のVTR:http://ch.nicovideo.jp/channel/sousenkyo (無料登録後、いつでも視聴可能)

 

<11月30日の第2回目の党首討論会を視聴して>

新聞に書かれた所信ではなく、本人の熱い生声と表情、書面には書くことができないわずかな間等がとても身近に感じられました。かつて私が属したIYグループの幹部全体会議は、年間10億をかけてマネージャーと呼ばれる人を毎週東京の森ビルに集め、、実際に有効で成果があった業務改革を報告し、リーダーが自らの言葉で、その業務改革をフォローし目的を繰り返し徹底してきました。それは書面や電話でのコミュニケーションでは、真意が伝わらないという理由からでした。第2回目の党首討論会の生放映を視聴して、あの全体会議のように党首たちのスタンスや考え方、想いがより鮮明に伝わってきました。(あの討論会会場に行くことができれば、もっと良かったのですが)投票日の16日にはまだ2週間以上あります。地域での選挙も当然大切でしょうが、更なる討論会を開催し、より踏み込んだ激論を交わし、より多くの国民に自らを示して欲しいと思っています。

     

●30日党首討論会:http://www.nicovideo.jp/watch/sm19471996 



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