GOODLUCK'S WORLD

<共感>を大切に、一人の男のスタンスをニュース・映画・本・音楽を通して綴っていきたい

「2010 クリスマスの約束」

2011年01月10日 | Weblog
1.TODAY Various Artist(The New Christy Minstrels)
2.Hello, Again~昔からある場所~ JUJU(MY LITTLE LOVER)
3.空も飛べるはず 大橋卓弥(スピッツ)
4.冷たい雨 山本潤子(バンバン/ハイ・ファイ・セット/松任谷由実)
5.ラブ・ストーリーは突然に 小田和正(小田和正)
6.美しすぎて 小田和正・大橋卓弥・根本要(ガロ)
7.未来へ~長い間 玉城千春(Kiroro)
8.500マイル 松たか子(ピーター・ポール&マリー)
9.思い出はうたになった 小田和正・根本要(オダ☆レビ)
10.君が好き 清水翔太(清水翔太)
11.惑星タイマー スキマスイッチ(福耳)
12.小さな恋のうた 上江洌清作(MONGOL 800)
13.TODAY Various Artist(The New Christy Minstrels)
14.my home town 小田和正(小田和正)

 この中で私が最も感動したしたのは、忌野清志郎氏が作詞した「500マイル」です。高校時代と大学時代、PPMの曲を何度も聴いて、ギターをコピーし、大学ではクラブ部員全員で歌うSINGOUTの持ち歌となって歌い継がれきた曲でした。そんな想い出深い曲を、初めて日本語の歌詞で聴いたのです。正直驚きました。しかも、出演毎に歌が上手くなってきたと感じる松たか子が飾らないアコースティックな歌声で歌い上げました。

小田氏のアレンジ、本曲を思い出す輪唱のコーラスに感動し、今は亡き、清志郎氏の作詞、
「…抑えて 抑えて 抑えて 抑えて 悲しくなるのを 抑えて…」 が胸に響きました。

名曲がアーティスト達の力によって甦りました。
小田氏のクリスマスの約束の意義がここにあると私は思っています。
「本物に負けたくない」小田氏は自分の覚悟のほどを思わず語っていました。


   「500マイル」

  次の汽車が 駅に着いたら 
  この街を離れ 遠く

  500マイルの見知らぬ街へ 
  僕は出て行く 500マイル

  ひとつ ふたつ みっつ よっつ 
  思い出数えて 500マイル


  優しい人よ 愛しい友よ 
  懐かしい家よ さようなら

  汽車の窓に 映った夢よ 
  帰りたい 心抑えて

  抑えて 抑えて 抑えて 抑えて
  悲しくなるのを 抑えて

  次の汽車が 駅に着いたら 
  この街を離れ 500マイル



 東北大学に進学した小田氏は、建築工学を専攻、高校時代からの仲間(ジ・オフ・コース)の鈴木氏は、東京工業大学に進学、離ればなれとなりましたが、仙台と横浜をお互いに頻繁に行き来しました。1969年、アマチュア音楽活動にけじめをつけるために「ヤマハ・ライト・ミュージック・コンテスト」に出場。全国大会は赤い鳥、フォー・シンガーズ(財津和夫のいたグループ、後のチューリップ)ら強敵がいました。小田氏は自信をもって臨んだにもかかわらず、1位は赤い鳥、オフコースは2位でした。小田氏らは優勝して音楽活動にけじめをつけるつもりだったのですが、2位になったことで「このまま終われない」とプロの道を歩むことを決めます。財津和夫はオフコースを聴いて「負けた」と思い、オフコースの小田和正は赤い鳥を聴いて「負けた」と思ったといいます。赤い鳥は「竹田の子守歌」で優勝を果たしましたが、そのリードボーカルが後にハイファイセットのリーボボーカルとなった終生の友、山本潤子さんです。潤子さんは今回も出演し「冷たい雨」を歌って澄んだ声を聴かせてくれました。

 小田氏にとって潤子さんが歌った「竹田の子守歌」が自分の人生を変えた曲ということになります。潤子さんはその張本人というわけです。建築家への道を志しながら、プロのミュージシャンとしての道を歩み、いまや多くの名曲を残すニューミージックの大家となりました。人との出会いが新たな人生へと誘ったのです。道を選ぶ決心をしたのは小田氏本人ですが、赤い鳥や潤子さんの歌声を聞かなければ、違った人生を歩んだかもしれません。そんなことを考えると一度っきりの人生がとてもいとおしく、しかも切なく思えてきます。潤子さんや今回出演しなかった財津和夫氏もきっと同じような想いに違いない。

かつて松山千春氏はこんな事を云っていた。
-あなたの夢はなんですか?
「俺はこの質問に一度も答えたことがない。
 30年間も人前で歌って食っていける、
 これが夢でなくて何だというんだ!」


小田氏は今年64歳、40年以上、そんな<夢の仕事>をしていることになる。
きっと今年も精力的に<夢の仕事>、音楽活動を続けるに違いない。
クリスマスの約束で共演した若手ミュージシャン達は、
小田和正という偉大なアーティストからきっと多くのものを吸収するだろう。

子どものいない小田氏は、
若手たちにスコアのようには残せない別の何かを伝えたかったのかもしれない。
それは「ミュージックへの限りない熱い想い」だと私は推測する。
そして父が子に想うように「ここまでおいで、そして追い越してくれ」と願う気持ち。
若手ミュージシャンたちはそんな想いを受け継ぎ、
世代を超えていつまでも心に残る名曲たちを作り上げて行って欲しい。
私はそう願っている。
もちろん小田氏もそう願っているに違いない。