クラシック輸入盤・新譜情報/グッディーズ

コメントはメーカー案内書より抜粋です。お問い合わせ:goodies2@pc.highway.ne.jp

11-05 No.3

2011年05月07日 09時45分01秒 | Weblog
<NAXOS> 各1枚 \1000
8.572704
シベリウス:
1-4.交響曲 第2番 ニ長調 Op.43
5-7.カレリア組曲 Op.11(間奏曲/バラード/行進曲風に)
ニュージーランド交響楽団
ピエタリ・インキネン(指揮)
インキネンとニュージーランド交響楽団によるシベリウス交響曲集もこれで
3枚目。あとは第6番と第7番を残すのみとなりました。インキネンの指揮は、
これまで通り、スタイリッシュな演奏かと思いきや、想像以上に重厚な響き
と、ゆったりした流れに終始しています。終楽章の爆発的な機動力は圧巻。
過去の名指揮者たちの解釈にひけをとりません。「カレリア組曲」はフィン
人発祥の地の伝説や音楽を基にした作品です。当初劇音楽として創案、初演
されましたが、評判がよくなかったため、序曲と、3曲からなる組曲の2つの
作品として出版され、現在は人気作となっています。メリハリのある曲想が
魅力です。

8.572487
カルウォヴィチ:
1-4.交響曲 ホ短調 「復活」Op.7
5-6.「ビアンカ・ダ・モレナ-白い鳩」付随音楽 Op.6(プロローグ/間奏曲)
ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団
アントニ・ヴィト(指揮)
日本にも熱狂的なファンが存在するカルウォヴィチ(1876-1909)。NAXOS4枚目
となるこのアルバムは、彼の最も野心作と言われる「復活交響曲」です。
1901年頃から作曲を始め2年後に完成、ベルリンで初演されたこの作品、逆ら
えぬ運命に対して、悲劇から勝利までの魂の精神的な戦いを描いたというもの
で、マーラーの「復活」を思い起こさせますが、語法的には、ブルックナーや
R.シュトラウス、チャイコフスキーに近いものです。曲の最後はテインパニの
勇ましい響きに導かれ、高らかなコラールと金管の咆哮で幕を閉じます。合唱
なしでも充分です。ヴィトとワルシャワ・フィル、この曲を演奏するのにこれ
以上ふさわしい組み合わせはないでしょう。第2楽章のため息が出そうなチェ
ロの独奏、たっぷりとした弦の厚み、輝かしい管楽器、そしてスケールの大
きな音楽。大満足の1枚です。

8.572553
インス:
1.ホット、レッド、コールド、ヴィブラント(1992)
2-5.交響曲 第5番「ガラタサライ」(2005)
6.言葉のないレクイエム(2004)/7.赤外線の前
トゥライ・ウヤル(ソプラノ)…2-5
レヴェント・ギュンドゥズ(テノール)…2-5
アニル・キルキイルディズ(ボーイ・ソプラノ)…2-5
トルコ文化省合唱団…2-5
セルヴァ・エルデナー(ヴォーカル)…6/オルカ・クンタサル(ソプラノ)…6
ギュヴェンチ・ダギュストゥン(バリトン)…6
ネヴァ・オズゲン(ケメンチェ)…6/アリ・チャブク(タンブール)…6
ビルケント交響楽団
カムラン・インス(指揮)
トルコ系アメリカ人の作曲家、カムラン・インス(1960-)はイスタンブール工
科大学で作曲を教えながら、活発な創作活動を行っています。彼の音楽はどれ
もエネルギーに満ち、聴く者を自然に元気にさせる力を備えています。交響曲
第5番「ガラタサライ」はトルコの最も有名なサッカー・チームの創立100年を
祝して作曲されたものです。トルコ国中にサポーターを持ち、2006-07シーズ
ンには稲本潤一も所属していたという強豪。どれほど祝祭ムードを盛り上げて
も足りることはありません。インスはそんな希望を120%かなえたようです。
「通常の彼の作品よりは穏健である」と評されてはいますが、合唱とソプラノ、
テノール、ボーイ・ソプラノの独唱を従えたオーケストラの巨大な音響は、聴
き手の心をもり立てるには充分過ぎるほどです。「ホット、レッド、コール
ド、ヴィブラント」はミニマル・ミュージックの爽快感に若干の衝撃が加わっ
た曲。スパイスの効いた逸品です。「言葉のないレクイエム」は2003年に起こ
ったイスタンブールへのテロリストによる爆撃を悼み書かれた曲。こちらは少
数民族の歌い手による悲しげな歌で始まり、大音量で断絶されるまでそれは続
きます。攻撃、混乱、パニックが音で表され、祈りの歌で曲を閉じます。

8.572653
ラター:
1-3.グローリア(1974)(アレグロ・ヴィヴァーチェ/アンダンテ/ヴィヴァー
チェ・エ・リトミコ)
4-10.マニフィカト(わが魂は主を崇め/ばらよ、愛しいばらよ/全能者は為し
たもうた/そして憐れみは/主は力をふるい/飢えている人を/父に栄光あれ)
11.テ・デウム
エリザベス・クラッグ(ソプラノ)
セント・オールバンズ大聖堂合唱団
トム・ウィンペニー(オルガン)/アンサンブル・デコラム
アンドリュー・ルーカス(指揮)
現在の英国で最も人気の高い作曲家と言えば、まずこのラター(1945-)の名前
が挙がることでしょう。合唱好きの間では清冽なレクイエムがとりわけ知られ
ていますが、他の多くの合唱曲も、その平易な歌い口と、斬新なリズム、そし
て美しいハーモニーが大人気。2011年のロイヤル・ウェディングでも彼の曲が
晴れ晴れと演奏され、列席した人のみならず、世界中の「若き2人」を見守る
人々の心に強い感動を巻き起こしました。このアルバムには伝統的な形式に
則った宗教曲を3つ収録。どれも鮮烈でダイナミック。この、まるで映画音楽
のようなスペクタクルな世界こそ、クラシック音楽に馴染みのない人にも広く
親しまれる要因なのかもしれません。

8.572275
サラサーテ:ヴァイオリンと管弦楽のための作品集第3集
1.モーツァルトの歌劇「魔笛」による演奏会用幻想曲Op.54
2.ナヴァラOp.33(2台のヴァイオリンと管弦楽による)
3.ムイニエラOp.32
4.グノーの歌劇「ファウスト」による新しい幻想曲Op.13
5.ヴェネツィア風舟歌Op.46(ヴァイオリンと管弦楽版)
6.序奏とカプリース・ホタ
楊天堝(ヴァイオリン)…トラック2は多重録音
ナヴァール交響楽団
エルネスト・マルティネス=イスキエルド(指揮)
「非常に才能ある若いヴァイオリン奏者」楊天堝によるサラサーテ(1844-1908)
の管弦楽とヴァイオリンのための作品集もこれで3集目となります。彼女はす
でにピアノとヴァイオリンのための作品集を2枚リリースしているので、これ
で合計5枚!サラサーテに関して彼女の右に出る者はいないはずです。今回の
アルバムも、サラサーテの華麗な音楽と彼女の素晴らしい技巧をとことん楽し
んでもらえるはずです。冒頭の「魔笛による幻想曲」だけでも驚くばかりの楽
しさです。スペイン風の「序奏とカプリース・ホタ」での捲るめくスピード感、
美しいメロディが次々に現れる「ファウストによる幻想曲」など唖然とするば
かり。極めつけは「ナヴァラ」の楊天堝による多重録音!1粒で2度おいしいと
はこのことでしょうか。

8.559637
ゴンパー:
1-3.ヴァイオリン協奏曲(2009)/4.イコン(2008)/5.フィリップ(1993)
6.スパイラルス(2007)
ウォルフガング・デイヴィッド(ヴァイオリン)…1-4.6
ピーター・ゾゾフスキー(ヴァイオリン)…6
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
エマニュエル・シフェール(指揮者)
デイヴィッド・ゴンパー(1954-)はアメリカの作曲家、指揮者、ピアニストで
す。彼はロンドンで学び、ミシガン大学で博士号を授与され、2002年から2003
年にはロシアに行き、教えながら、活発な演奏活動を行いました。ロシアから
戻った彼は多くのインスピレーションを得たようで、歌曲や室内楽、映画音楽
など多数の作品を書き、それはアメリカのみならず、ヨーロッパ中で広く演奏
されています。ここに収録されているのは、ヴァイオリン協奏曲を中心とした
4つの作品です。長い期間に渡って考え抜かれたヴァイオリン協奏曲は、響き
を組織化することと、管弦楽とヴァイオリンの対話に重点を置いて書かれてい
ます。果てしなく魅力的で、自由に流れる楽想が魅力的です。

8.570705
オルウィン:
1-3.ヴァイオリン協奏曲
4-6.組曲「令嬢ジュリー」(P.レーンによる管弦楽版)
7.喜ばしい出来事のためのファンファーレ
ロレイン・マカスラン(ヴァイオリン)…1-3
ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団
デイヴィッド・ロイド=ジョーンズ(指揮)
オルウィン(1905-1985)の名は、クラシックの作曲家としてよりも、映画音楽
の作曲家としての方が知られているかもしれません。彼は70以上の映画に200
もの曲を書き、そのどれもが当時としては実験的な手法を取り、またそのスペ
キュタクラーな表現は観客を興奮させたのです(しかし彼の書いたスコアのほ
とんどは映画スタジオが破棄してしまい、現存するのはわずかであることは本
当に残念)。そんなオルウィンのヴァイオリン協奏曲を聴いてみてください。
こちらも熱狂的でロマンティックの極みです。ここでヴァイオリンを演奏する
マカスランは「イギリスの若き世代の最も優秀なヴァイオリニストの一人」と
称賛された女性演奏家です。とりわけ第2楽章での美しい音色が心に残ります。
こんなに充実した曲なのに、オルウィンが生きている間に完全な形で演奏され
ることはなく(ピアノとヴァイオリン版のみ)、その後も1993年に一度レコー
ディングされただけで、まだコンサートで演奏されたことがないという不遇の
作品だというから驚きです。「令嬢ジュリー」の組曲は、彼の最後の完成され
たオペラからエピソードを取ったもの。ファンファーレは打楽器奏者J.ブレー
ズに敬意を表して書かれた作品です。

8 8.572402
タンスマン:
1-3.クラリネット協奏曲(1957)
4-9.オーボエ、クラリネットと弦楽のための小協奏曲(1952)
10-15.弦楽のための6つの楽章(1962/63)
ジャン=マルク・フェサール(クラリネット)…1-9
ローラン・デッカー(オーボエ)…4-9
シレジア室内管弦楽団
ミロスラフ・ヤチェク・ブワスチク(指揮)
ポーランド生まれでパリに定住、第2次世界大戦中はアメリカで活動し、また
終戦後にパリに戻った作曲家タンスマン(1897-1986)。彼の作風は基本的に新
古典主義ですが、晩年になるにつれてポーランドの民族意識が強く全面に押し
出されるようになりました。このアルバムに収録されているのは彼の円熟期の
作品で、フランス風の柔らかい楽想と、民謡風の和声が聞こえてくる独自の世
界観を有したものです。クラリネット協奏曲の流麗な旋律美、そして終楽章に
使われるポーランド舞曲は耳を捉えて離しません。また、極めて精緻に書かれ
た「弦楽のための6つの楽章」での有機的に結びついた各々の部分は、この作
曲家の飽くなき探求心を物語るかのようです。

8.572597
バックス:
1-4.冬の伝説/5.朝の歌「サセックスの五月」/6.サガ断章
アシュリー・ウェイス(ピアノ)
ボーンマス交響楽団
ジェームス・ジャッド(指揮)
イギリスの近代作曲家、アーノルド・バックス(1883-1953)はモダニズム全盛
の時代にあっても、自らを「恥じることなきロマン主義者」と呼んでいまし
た。彼の音楽は幅広いメロディーをもち、巧みで豊かなオーケストレーション
が施されています。とりわけ彼のピアノ作品は、戦争中に秘密の愛を育んだピ
アニスト、ハリエット・コーエンのために書かれたものが多く、底に秘めた情
熱の焔は永遠に青白く燃えています。「冬の伝説」は彼が愛した北国の風景が
描かれています。海と松林、暗い空、そして力強い自然が音で描かれていま
す。サセックスの5月の副題が付いた「朝の歌」は当時のエリザベス王女21歳
の誕生日を祝うための作品です。1933年には「サガ断章」が書かれます。これ
は、アメリカに演奏旅行に出かけるコーエンが、バックスに「新しい曲を演奏
したいので作って欲しい」と頼み、彼はそれに応え、自作のピアノ四重奏曲を
小さな管弦楽とピアノのあために編曲しました。当時の暗い世情を反映するか
のような不吉さが全編を覆う濃い作品です。

8.572528
ファンファーレ,カプリッチョとラプソディ
1.ネルソン(1929-):ケネディ・センターのためのファンファーレ
2-4.ネルソン:中世組曲(レオナンへのオマージュ/ペロタンへのオマージュ/
マショーへのオマージュ)
5.タル(1935-1994):テューダー朝の聖歌によるスケッチ
6.バーカー(1923-2006):サクソフォン四重奏とバンドのためのカプリッチョ
7-9.ボイセン(1968-):吹奏楽と打楽器のための交響曲 第1番
10.タル:トランペットと吹奏楽のためのラプソディ
シカゴ・サクソフォン四重奏団…6
ヴィンチェ・ディマルティーノ(トランペット)…10
インディアナ州立大学ファカルティ・ウィンズ…1
インディアナ州立大学シンフォニック・ウィンド・アンサンブル…6-9
ケント州立大学ウィンド・アンサンブル…2-5.10/ジョン・ボイド(指揮)
ケネディ・センターの25周年記念のために書かれたファンファーレで幕を開け
るこのアルバム。多種多様なインスピレーションから生まれた様々なスタイル
の吹奏楽作品をお届けします。中世の3人の作曲家に敬意を表して書かれた
「中世組曲」は、原曲の持つ中世的で敬虔な雰囲気が活かされた、得も言われ
ぬ曲。思わず背筋が伸びることでしょう。「テューダーの聖歌によるスケッ
チ」はヴォーン・ウィリアムスと同じ聖歌を用いて書かれていますが、こちら
は何とも現代風。炸裂するパーカッション、激しいリズムが遠くから聴こえる
鐘の音と溶け合います。サクソフォン四重奏が縦横無尽に活躍する「カプリッ
チョ」、トランペットが高らかに響き渡る「ラプソディ」、悲しげで緊張感
溢れるシャコンヌを含む「交響曲」。どれも吹奏楽の限界に挑戦するかのよう
な難曲揃いです。

8.572460
ショパンの弟子たちによるヴァイオリンとピアノのための作品集
1-4.ミクーリ(1819-1897):大二重奏曲 イ長調 Op.26
5-8.テレフセン(1823-1874):ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ト長調 Op.19
9-11.テレフセン:ヴァイオリン・ソナタ 第2番 ホ短調 Op.37
12.フィルチ(1830-1845):アレグレットと変奏
ヴォイテク・プロニエヴィチ(ヴァイオリン)
アレクサンドル・ヤコビツェ=ギトマン(ピアノ)
既にリリースされている「ショパンの弟子たち」(8.572344)は、ショパンの後
継者たちのしられざるピアノ作品を集めたアルバムでしたが、こちらはもっと
珍しい、彼らのヴァイオリン作品を集めたものです。今回もミクーリ、テレフ
セン、フィルチの3人の才能ある弟子たちが登場します。直接ショパンから教
えを受けているとはいえ、その当時はワーグナーやリスト、そしてパガニーニ
らの音楽の影響も見逃せません。1860年に書かれたミクーリの二重奏曲は「パ
ガニーニのライバル」と称されたリピンスキーに捧げられた曲。思いの他革新
的な音楽ですが、ピアノ書法の至るところに、やはりショパンの香りを感じま
す。テレフセンの作品は、ショパンよりもベートーヴェンとグリーグらしさを
感じさせ、確実に時代の流れを思い起こさせることでしょう。15歳でその生涯
を閉じてしまったフィルチの作品は、まだまだ荒削りですが、匂い立つような
才能を感じさせるものです。

8.557532
ストラヴィンスキー:
1-5.協奏的二重奏曲/6-8.2台のピアノのためのソナタ
9-17.レクイエム・カンティクルス
18.宗教的バラード「アブラハムとイサク」
19.独奏ヴィオラのための悲歌
20-23.チャイコフスキー:バレエ音楽「眠りの森の美女」より青い鳥のパ・ド
・ドゥ(ストラヴィンスキー編)
ジェニファー・フラウチ(ヴァイオリン)…1-5
ジェレミー・デンク(ピアノ)…1-5/ラルフ・ファン・ラート(ピアノ)…6-8
マールテン・ファン・フェーン(ピアノ)…6-8
サリー・バージェス(コントラルト)…9-17
ロデリック・ウィリアムズ(バリトン)…9-17
ディヴィッド・ウィルソン=ジョンソン(バリトン)…18
リチャード・オニール…19/20世紀古典アンサンブル…20-23
サイモン・ジョリー合唱団…9-17
フィルハーモニア管弦楽団…9-18
ロバート・クラフト(指揮)9-18.20-23
ストラヴィンスキー(1882-1971)晩年の愛弟子であり、シェーンベルクとも親
交のあった作曲家、指揮者ロバート・クラフト監修のストラヴィンスキー作品
集も、これで第12集となりました。ヴァイオリンとピアノの対照的な音色が楽
しめる「協奏的に重奏曲」、亡命先のアメリカでロシアを思い書かれた「2台
のピアノのためのソナタ」、ストラヴィンスキーの葬儀の際に演奏された「レ
クイエム・カンティクルス」、聖書から題材が取られた劇的な「アブラハムと
イサク」、ストラヴィンスキーの最も感動的な作品のひとつ「悲歌」。チャイ
コフスキーの作品の編曲である「青い鳥」と、なんともヴァラエティ豊かな選
曲です。器楽曲ももちろん素晴らしいのですが、何と言っても大規模な作品が
見事です。

8.559644
ディロン:ヴァイオリン作品集
1.ミスター・ブリスター(2006)/2.ファサード(1983)
3.バッカスのシャコンヌ(1991)
4-6.ヴァイオリン・ソナタ「モーション」(2008)/7.春過ぎて(1997)
8.15分で15曲(2006)/9.声(2008)
ダニエル・ベレン(ヴァイオリン)/デイヴィッド・フン(ピアノ)…2.4-6.9
フアン・ミゲル・ヘルナンデス(ヴィオラ)…3
スタン・マンシー(マリンバ)…7
作曲家ローレンス・ディロン(1959-)は幼い時に病気で聴力の50%を失いまし
たが、7歳でピアノ・レッスンを始めると同時に作曲も手がけるようになりま
した。1985年にジュリアード音楽院で博士号を得てその後幅広く活動していま
す。このアルバムには9つのヴァイオリン作品が収録されていますが、作曲年
代は25年間に渡っていて、彼の作風の変化を感じることができます。1983年に
書かれた「ファサード」は「とげの多い」難解な曲を作ることが主流だったこ
の時代に、敢えてメロディアスな曲を持ってきたという挑戦的なものです。サ
ロンミュージックのようなメロディが突然不協和音に取って変わられる瞬間は
聴き手の価値観を根源から揺るがすに違いありません。もちろん発表当時も周
囲から反感を買い、一人の教授などは「彼の音楽を絶対に演奏してはならない」
と学生たちに命令したのだそうです。反骨精神から生まれたかもしれない曲で
すが、今なら全く問題なく受け入れられるのではないでしょうか?2008年の
新作も時代を回顧するような懐かしい響きに満ちています。

8.559683
打楽器のためのアメリカ作品集第1集
1.タワー(1938-):DNA/2.サンドラー(1961-):大根引き
3.ヒグドン(1962-):素晴らしい樹木
4.ハビエル・ロドリゲス(1946-):死者の日
5-8.シュラー(1925-):打楽器と鍵盤のための大協奏曲
ニューイングランド音楽院パーカッション・アンサンブル
フランク・エプステイン(指揮)…1.2.4
ガンサー・シュラー(指揮)…5-8
現代のアメリカの5人の作曲家による、独創的で変わった音色を持つ打楽器の
ための作品集です。タワーの「DNA」はパーカッション・クィンテットと、全
ての生命体の素材のために書かれています。美しい二重螺旋で描かれる優雅な
形をしたデオキシリボ核酸を音で描くとは何と斬新な試みでしょう?サンドラ
ーの「大根引き」はご存知、一茶の「大根引き大根で道を教えけり」の句から
インスピレーションを受けています。俳句の持つ凝縮された世界が音で描かれ
ています。マリンバの巧みな音色で森の風景を描く素晴らしい樹木」、死者の
魂が現世に戻り、親しい人とはしゃぎまわる様子を描いた「死者の日」、そし
てシュラーの大作はハープ、ピアノ、チェレスタと100以上もの打楽器のため
に書かれた「協奏曲」。本当に多彩な響きをお楽しみいただけることでしょう。

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