Max爺のひとり言

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進化について考える

2015年09月22日 | 進化論

遺伝子配列の研究から、どうやらヒトはある時期の古生物の4倍体である可能性が強いことがかなり高い確度で推定されている。  

4倍体というのは、同じ染色体を4組持っている(いた)、ということを意味する。 ただし、ある時期に4倍体となったが、現在4倍になった染色体(それに乗っかっているDNA配列)が全て同等に機能していることを意味しない。  重複した遺伝子の機能は、捨てられたり、消されたり、停止させられたり、場所が変わったり、増幅したりすることで、現在に至っているわけだ。  

しかし、遺伝子が4倍になることで生命体の構造は複雑に進化(変化)し、目ができたり手足が伸びたり、体の大きさも何倍かに大きくなったということは想像できる。

染色体というのは、切れたり、修復されたり、置換えが起こったり、間違って置きかえられたり、等して元の4倍の本数になったものが、2本1組の形(2倍体)に整理され続けてきたのだろう。

現代のヒトの染色体はその結果としての2倍体である。  目を作るDNAでは同じ機能をする配列部分が4つあることが発見されている。 (だから過去に4倍体であったことが推定されている)

一つの個体の一つの細胞内には細胞核の中に、染色体2本を1対にしたものが23組(男性では22組+XY染色体)入っている。   同じものが核内に2本づつあるので2倍体という。

染色体は、生殖細胞のなかで減数分裂によって1本づつ2本の染色体に分かれる。 これが23組の染色体夫々について起こり、23本から女性では卵細胞、男性では精子が作られる。 卵と精子は1倍体(染色体が1本づつで23本)である。

受精が行われるとそれぞれ1本であった染色体が相手を求めて1対となり、22組+XX染色体(♀)、あるいは22組+XY染色体(♂)を構成し、いよいよ細胞分裂を開始するわけだ。  そして親と同じ2倍体のBabyが生まれる。  

地球上に生命体が生まれてから現代までの間に、生命には何回かの「全ゲノム重複」(「全遺伝子重複」ともいう)といわれる事件が起こったとされている。  

それらが生物の種を別れさせ、分かれた種が全ゲノム重複をさらに起こす、といったことの繰り返しで、幾重にも分岐し、複雑な生命の樹を作り上げたわけだ。

全ゲノム重複では、1倍体であるべき精子や卵子が2倍体の状態のまま受精し4倍体となることもあり得たということになる。  そのような変化を許すような環境があったのではないかと言われている。

それらが起こったタイミングは、地球規模での大変化、全球凍結とか、小惑星の衝突とか、火山の大爆発による地球寒冷化とか、かなりの温暖化とか、による生命絶滅の時期と関係がありそうなのである。

2倍体から3倍体、4倍体への変化が、膨大な種類の生物を生み出したとされる。  ちなみに魚の多くは古生物から3倍体となった結果であることは分かっている。  (ここではDNAが3倍4倍に増えたという意味でx倍体と言っている。 その結果としての現代での染色体は2倍体である。)

ここで覚えておくべきことは、これらの変化(進化)は、生殖細胞、特に、卵、精子、受精卵、において変化が起きた、ということである。 体細胞の1部が紫外線や放射線によって染色体やDNAに変化が起こったとしても、それは次の世代には伝わらない。  癌も同様である。

ここに面白い話がある。

ニジマスの3倍体、アユの3倍体、というのが人為的に作られている。  短期間で体が倍以上に生育することから、食用目的、あるいは、大物を好む釣り師達に提供されているわけだ。

下の写真はそれぞれの研究所のものを拝借している。  写真に写っている小さいサイズの魚が普通の魚で、大きいのが3倍体魚。  同じ年齢なのにこんなにも大きく成長する。

3倍体アマゴ 出典:岐阜県淡水魚研究所

3倍体アユ 出典:神奈川県水産技術センター内水面試験場

ニジマスの場合、人工授精した卵を一定の圧力下で30分程度ぬるま湯に付けておくだけで、受精卵は3倍体となる、というのだ。

アユの3倍体の場合は、まず2倍体の偽オス(実はメスだが男性ホルモンを与えてオス化させる)というのを作る。 この雄アユは、もともと♀であったものをホルモンの作用で♂としたもので、染色体としてはXXを持つ。   

2倍体雌魚とにせ雄から得た受精卵に受精6分後、650kg/平方センチメートルの圧力を6分間かけて、受精卵から極体の放出を阻止することにより染色体の倍数化を図り、全雌三倍体アユを作り出すのだそうだ。

尺オーバーのアマゴ、ヤマメ、イワナ、アユ、なんかが掛かったヒニャ~、釣り師の喜びは計り知れないではないかっか。

ところがである。  3倍体のオスは成熟(つまり生殖細胞が発達)するが発育(大きくなる)はしない。 そして余分な1本の染色体は極体放出という働きで捨てられる。  メスは3倍体(染色体を3本のまま発育はするが成熟はしない。 ということで、世代を残せないということらしい。

とすると自然界には3倍体のニジマスは本人1世代しか生きられず、増えないということになる。

普通3倍体のニジマス・チールヘッド(3倍体ニジマスの♀)は、管理釣り場や、養殖場から逃げた川とかにしかいない筈なのである。  海に降りて川に戻るスチールヘッドは別で、2倍体のまま海でたくさん餌を食べて大きく育ったものです。

ところが・・・である。  

自然界に居ない筈のものが居たりするらしいんだな。 (ジュラシックパークでもあったかな?)

イワナとヤマメを掛け合わせた、イワメとか、ヤマナとか、のヘテロシス(アイノコ)と3倍体魚が交雑すると、3倍体の子が生まれてしまうようなことが起こり得るというのだ。  

最近、3倍体生物が有性生殖をすることを証明した、とする論文なども出ている。 

 

・・・で、元に戻って、

魚に代表される体外受精をする生命では、周りの環境(水温や水圧)が3倍体を作り出す偶然というのは、さほど稀ではないことが想像できる。  水中で受精した受精卵が前述のニジマス3倍体を作るための条件に巡り合う、ということは大いにあり得ると思われる。

海水中に生命の種類が多いのはおおいにうなずけるではないか。 

海底火山から出る熱水鉱床の周辺に生物(エビやカニの仲間)が多数生息していたりするではないか。  海水がぬるま湯になることもあり得るだろうし、温泉が海水に混ざりこむことも考えられる。  世界中に浅瀬や渚などがあるし、そういうところは水が温められやすいよね。  

意外に単純な方式でDNAに大きな変化が起きてきたのかもしれないね。  何度も何度も・・・

想像だが、全地球的におこった環境変化で、魚類のみならず、体外受精された卵が一斉に3倍体に変化する、なんてことが起こったんだと思うと、わくわくする。  カンブリア紀に起こった生命の大爆発なんてのは意外と単純な原理で起こっていたんじゃ~なかろ~かっか。 

酸性溶液につけておくだけでSTAP細胞なるものができる・・・というあの事件も、ひょっとすると真実だったのかもしれないね~、なんてね。

 みなさんご存知の、種なしスイカ、は種を残せない3倍体なんですよ。  高麗芝も3倍体で、種を残せません。  3倍体はいろんなところに応用されているんですね。

 

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