これまでいろいろと試してきたことを備忘録としてまとめておきます。 あくまでワシの方法ですので、これが絶対正しいというわけではありません。 お含みおきください。 DSCWはDigital SoundーCWというPC用フリーソフト、HamlogもPC用フリーソフトです。 Windodws10で動きます。
まず、無線機からTurboHamlog(以下単にHamlogと言います)へ周波数、バンドモードを自動取得できるようにする: このことをCATコントロールと呼びます。 無線機情報を自動でPCのアプリとやり取りするために必要なケーブルです。
これを実現するためには、 USB-A(PC側)、USB-B(FT-891M側)の付いたUSB変換ケーブルが必要です。 プリンターケーブルとしても売られており、Amazonで¥1K以下で買えます。 FT‐891(M)には背面に、USB-BのCATコントロール用のジャックが用意されています。
USBシリアルケーブルの種類について:
USBシリアルケーブルについては、以下のように色々な呼ばれ方をするものがあり、それぞれ用途が異なります。 供給側から電源を供給するものとしないものとがあります。 ここで使うのはC)のタイプの変換ケーブルで電源供給はしません。
PCに刺すUSBのソケットの中にはICチップ(TTLともいう)が入っておりこのICチップがマイクロプログラムとしていろいろな機能を提供する。 USBソケットの中には4本の配線あり、下の写真のようにそれぞれの線の役割が決まっている。 USBシリアルケーブルはICプログラムと4本の配線で種々の機能を提供するケーブルのことなのだ。 入っているプログラムによって種々の機能も異なりドライバーや対応するCOMポートが必要になる訳だ。
A)USBシリアルコンバーター: USBから旧規格のRS232Cコネクタを使えるようにするためのコンバーターのこと。
B)USB PDケーブル: 電源を取り出し充電するための電源供給ケーブル
C)USBシリアルケーブル: 電源を供給することはなく、データ伝送を両端のUSBプラグ型式間で変換するためのケーブル。 USB-DINコネクタに変換するものもある。
このケーブルを使えるようにするには下記のYaesuのダウンロードサイトから仮想COMドライバーをダウンロードしてPCにインストールする必要があります。
仮想COMドライバーをインストールする前に上記ケーブルをPCにつないではいけません。 Windowsが勝手に判断したドライバーを入れてしまうからです。 一旦入れられると以後このケーブルを繋ぐとそのようにCOMが自動設定されてしまい、うまく動きません。
仮想COMドライバーをインストールした後に上記ケーブルを繋ぐと、PC内に2つのCOMポートが自動で作られます。 COMポート番号が自動で割り振られます。 この番号は他のCOMポートとの兼ね合いで空いている番号が使われるようです。デバイスマネジャーでCOMポートをクリックするとCOMポート番号が表示されます。
例:
COM3 ・・・・・Standard COM Port・・TX制御用(PTT,CWキーイング、FSK制御、FT8などを行う場合に使用)
COM4 ・・・・・Enhanced COM Port・・CAT制御用
HamlogではEnchanced COM Port(例ではCOM4)を指定することになります。
COM4のポートを右クリックで開き、プロパティにあるボーレート、ストップビットをHamlogに合わせて指定しておく。
Hamlogでの設定項目:
Hamlogを立ち上げ、オプションタブを開いて2行目の「入力環境設定」をクリックすると下記が表示されます。 右側の「リグ接続設定」を開き、下記赤丸で囲った項目を設定します。
・KENWOOD-1にチェック (黙って信じてチェックしましょう)
・FT-2000/9000にチェック (FT-891はどうやらこれらと同じように出来ているみたいです。 Hamlog開発者が特にFT-891を識別してプログラムを作っていないので既存機器用ロジックで動くものを利用するものと思われる)
・タイマー・コマンド に”1”を設定。 これはPC側からFT-891Mのデータを取りに行くポーリング頻度をミリ秒で指定しています。 1ミリ秒だと殆ど瞬時にHamlogの方にデータが取り込まれることになります。 KENWOODのロジックではPC側からデータを取りに行くように作られているので・・・。 とにかく信じて設定してみましょう。
・タイマーコマンドの右にあるリストボックスの「1kHzt単位」の指定は、無線機からHamlogに周波数を何桁で持ってくるか等を選択できる。
設定後、OKを押してからXで閉じます。
次にHamlogのオプションタブの1行目の「環境設定」を開き「設定5」のタブを開きます。
kENWOOD-1 or ICOM ボックス内の
・リグと接続にチェック(上記のリグ接続設定のKENWOOD-1に合わせる)
・COMに上記のEnhanced COM Port(上の例ではCOM4)の番号を入れます。
・ボーレートに38400bpsを選択します。
・ストップビット 2のラジオボックスにチェックします。
値の設定はCOMのプロパティにもありますのでCOM(例ではCOM4)を右クリックで開き、プロパティを開いてボーレートとストップビットを指定します。
このボーレートと同じ数値をFT-891Mのメニュー項目(05-06 CAT RATE)にも設定します。 メニュー項目:・05-06 CAT RATE 38400bps
これで設定は終わりです。 一旦PC、FT-891Mの電源を落とし、USBケーブルを刺した状態で再度電源を入れます。 そしてHamlogを立ち上げます。
以後、CWでもSSBでもFMでも、無線機FT-891Mでの交信時情報が自動的にHamlogの入力ウィンドに入力されます。 チューナーノブを回すと周波数が即変更されるのを確認しましょう。
自動入力される項目:
周波数とバンドモード:無線機から自動入力されます。 周波数やバンドを変更するとHamlogの方も自動で変化します。
コールサイン:お相手のコールサインです。 これはHamlog単独では手入力です。 DSCWのHamlog連携(F1,F6ボタン)を使うとDSCWからHamlogに自動入力されます。
日付、時刻: Hamlogにコールサインを入れてEnterキーを押すと自動で、その時のPCの日付、時刻がセットされます。
日付、時刻: Hamlogにコールサインを入れてEnterキーを押すと自動で、その時のPCの日付、時刻がセットされます。
その他の項目: 基本手入力ですが、お相手のコールサインがHamlogユーザーである場合にはJCC Code、Grid Locator、名前、QTH、RemarksなどがHamlogデータベースから自動入力されます。
DSCW(Digital Sound CW)の設定:CWデコードを可能にする。
DSCWを使ってCWをデコードし、交信が終わったらHamlogに入力できるようにします。
先にHmlogを立ち上げておきます。
次にDSCWを立ち上げるのですが、その前に、こちらもやはりFT-891MとPCの間の音声接続が必要になります。 USBシリアルケーブルだけで音声接続ができる機種はあるのですがFT-891シリーズでは出来ないようです。FT-891以後の機種ではできるようです。 その代わりとして別の音声ケーブルでマイク・Phoneジャックを利用して音声接続を行うわけです。
PCのマイク・Phoneジャックの形状が色々なので、それぞれのPCの形式に従って接続することになります。
PCでオーディオの入力と出力を設定する:
ThinkPad E412の場合: マイク・Phoneジャックはコンボジャックと言って4極の3.5㎜プラグを刺すようになっています。
オーディオ設定:
オーディオ出力は「スピーカー(Realtek High Definition Audio)」に設定
オーディオ入力は「マイク(Realtek High Definition Audio)」に設定
NECのPCの場合(私の持っているもの):マイクジャックとフォンジャックはそれぞれ別のジャックとなっており両者とも3局プラグです。
オーディオ設定:
オーディオ出力は「スピーカー(Realtek High Definition Audio)」に設定
オーディオ入力には、以下の3種が設定可能でした。
内部マイク(Realtek High Definition Audio):Disableにする。ノイズになる
外部マイク(Realtek High Definition Audio):これをオーディオ入力に設定。
PCのマイクジャックにプラグが入っていないと、PCは内部マイクを使うんだな、と判断し外部マイクが設定できません。
ステレオミキサー(Realtek High Definition Audio):Disableにする。
接続ケーブル類:
・マイク入力用ケーブル: 両端に3極プラグのついたケーブル
FT-891Mのイヤホンジャックはモノラル仕様だが、ここに3極のプラグのケーブルを刺す。 イヤホンジャックにプラグを刺すと、FT-891M本体のスピーカーは無音となりCWが聞こえなくなる。 これをPC側から聞くためにヘッドホンが必要となる。
・ヘッドホンとケーブル: 3極プラグ付きヘッドホンを準備する。
・コンボジャック用3極-4極変換ケーブル: PCがLenovo E412のようにコンボジャックの場合に必要。 この変換ケーブルは入口が2本の3極ジャック、マイク(ピンク)とイヤホン(グリーン)になっており他の端は4極プラグ(PCコンボプラグ)となっている。 マイク入力用ケーブルを3極側のピンク(マイク)に刺し、ヘッドホンの3極プラグを3極側の緑(イヤホン)側に刺す。 Lenovo E412のコンボジャックにコンボジャック用4極変換プラグを刺せば準備完了。
PCがNECのように、マイクジャックとフォンジャックに分かれて2つある場合は、マイクジャックには上記マイクジャック用3極プラグを刺し、フォンジャックにはヘッドホンの3極プラグを刺せば準備完了。
DSCWの立ち上げ:
ケーブルをすべてセットした後にDSCWを立ち上げ、「初期設定」タブをひらきます。 最初の行にあるCOM設定をクリックするとドロップバーでCOM番号を選択するようになっています。 ここで、先に述べた例のStandard COMポートの番号、例ではCOM3、を選択します。 このCOMポートはTX制御をPCから行う場合に使用されます。 後でPC打鍵で使います。 デコード目的のためには、下記に説明するマイクラインとスピーカーを使いますのでCOMは不要なのですが、とりあえず指定しておきます。 後でPC打鍵をテストするのに使います。
信号入力タブの下にある左側の矢印をクリックすると左側パネルにCW波形が現れます。 この状態で一旦ファイルタブを開き、設定ファイルを名前を付けて保存しておきます。 例: 設定.dscw 等
次に立ち上げた時に、ファイルタブを開いて保存してある設定ファイルをクリックすると同じ設定が読み込まれて設定されます。
サウンドの音量調整:(PC側での操作)
音量は約30%程度以下に調節する。それ以上にするとノイズばかり大きくなりデコードできなくなります。 Windows画面の右下のスピーカーマークを右クリックし、音量ミキサーを開くと、設定したサウンド入出力の音量調節とDisable/Active化ができます。 あるいは、DSCWパネルの「信号入力」タブを開き、最下部の「入力信号調整」をクリックしても音量ミキサーが表示されます。 Disableにするには各デバイスの下部にあるスピーカーのマークをクリックすると赤いXマークが付きます。再度クリックするとActiveになります。
場合によってこの画面にマイクが表示されないことがあります。 その際にはマイクラインに無線機から取ったイヤホンケーブルを刺すとマイクが表示されます。 表示されない場合は、設定ーサウンドーサウンドデバイスを管理する、で入力デバイスを設定します。
ヘッドホンからCW音響を聞くには、マイク(サウンド入力に設定したデバイス)のプロパティを開き「聴く」タブを開いて「このデバイスを聞く」にチェックを入れます。 プロパティの「拡張」タブを開いて「すべてのサウンド効果をオフにする」にチェックマークを入れます。 スピーカー(サウンド出力に設定したデバイス)のプロパティでも「すべてのサウンド効果をオフにする」にチェックマークを入れます。 マイクやスピーカーのプロパティは音量ミキサー画面のマイクやスピーカーの画像をクリック(又はダブルクリック)すると表示されます。
このチェックが無いと、モニター音にエコーがかかったりハウリングしたりしてノイズが大きすぎてデコードできなくなります。
以上でPC側からヘッドホンでCW信号をモニターできるようになります。 とりあえず、ヘッドホンから音が聞こえることを確認します。
デコードのための無線機のノイズ調整:
さて、FT-891Mが受信したCW音響をPCのマイク入力に入れ、PCのヘッドホンで聞くことが出来るようになりました。 DSCWの左の窓には信号音のグラフがうごめいています、がこの信号パネルからノイズ音を取り除かないとデコードは働きません。 波形が赤い閾値の横線よりも下でうごめくようにするのです。 DSCWに本来のCW符号だけが聞こえるように無線機、PCのサウンドを調整します。
DSCWパネルの右半分にあるNR1(Noise Reducer1)、または、NR2(Noise Reducer2)、QRM(これは必須、フェージングや混信ノイズを除去)のチェックボックスにチェックを入れてノイズを削減します。 パネル上の音量調節バーは最低に調節してノイズ音量を下げます。 この辺りは体験して覚えます。 波形パネルの下にあるAutoチェックボックスは使わないで自分でノイズのレベルを判断して閾値の赤線の位置を調整する方がうまく行くように思います。 また、NR1、NR2、QRMのチェックボックス、信号レベルバー、は立ち上げなおすと消えていることがありますので、注意しましょう。設定ファイルを保存しておけば再現される筈なんですがね・・・都度設定する癖を付けましょう。
FT-891M側の操作:
いよいよデコードのための最終調整です。 厳密なゼロイン操作が成功のカギ。 ゼロインできると綺麗なCW信号だけが聞こえてきます。
・チューニングステップのFast(100Hzステップ)を消し、10Hzステップに切り替えます。 大まかにFastでチューンし、切り替えて10Hzで微調整すると良いでしょう。 100Hzステップだと聞き逃している信号が10Hzステップだと結構多く聞こえる筈です。
・スケルチノブを左に回し、DSCWウインドのノイズレベルが下がり、かつ、CW音声が聞こえる程度にまで絞り込む。
・FunctionメニューでDNR(Dynamic Noise Reduction)のレベルを上げ15レベルにする。 ノイズがかなり削減されます。
・FunctionメニューでCNT(Contour)をOnにする。これは有効です。
・FunctionメニューでNARROW(狭帯域)にセットする。混信除去。 有効。
・FunctionメニューでWIDTH(帯域幅)を狭くしたりする。混信除去。有効。
・FunctionメニューのAPF(オーディオピークフィルター)を中央にセットする。 最も大きな音で受信。
・CWオプションでZEROINボタンを長押しして正確にゼロインする。 受信ピッチをメニューに指定した周波数(例えば、700Hz)に調整。
、等々をして、とにかくDSCWパネルのノイズ信号が閾値の赤線より下になるように調整します。 でもCW音声が聞こえなければデコードはされませんので弱いCW信号ではうまく行かないこともあります。 Sメーターで3以上のものはたぶんOKでしょう。 5以下は微妙・・・その場合は自分の耳でデコードするしかありません、ハイ。
以上のノイズ調整がうまくできると、面白いようにCW信号がデコードされます。
DSCWのコールサイン取り込み機能(F1ボタン、F6ボタン):
デコードされるとDSCWの左側画面にデコードされたテキストで表示されますので、コールサイン部分をドラッグして選択し、F1ボタンを押すと、そのコールサインをHisコールサイン欄に取り込めます。 次にF6ボタンを押すとHamlogの入力ポップウィンドにそのコールサインが埋め込まれます。 同時に先に立ち上げてあるCATコントロールにより、周波数とバンドモードがHamog入力ボックスに取り込まれます。 HamlogのEnterキーを押すとHamlogユーザーであれば、名前、QTH、JCCコード、GLコードなども自動取得されます。
送信の設定:
「初期設定」タブの「Key Control設定」で「RTS」か「DTR」を指定します。 COMにはStandard COMのポート番号を指定します。
DSCWでは受信信号のデコードのみならず、Standard COMポートを使えばPCのキーボードで送信文字を文章として入力して送信することも出来ます。 また、マクロを使って事前登録した文章を送信することもできます。
音声ケーブルの作成:
PCキーイングをしたい場合は、サウンドカード用USBケーブルにDINコネクタのついたケーブルが必要になります。
また、PC打鍵、サウンドカード使用、など参考になります。
FT-891Mのパラメータ設定が参考になります。
とにかくデコードがうまく働くとCW交信がとっても楽しく、自信をもてるようになり飛躍的に上達します。 ACT5の5分以上のCW交信なんてことも夢じゃなくなりますね。