Max爺のひとり言

のこり少ない日々の記録
~でもまあ いろんなことをやってきたなあ~

組紐 綾取りでミサンガ があっという間に作れる

2018年06月08日 | 組紐・組紐台

みなさん、組紐(くみひも)と聞くと「君の名は」というアニメを思い出すでしょう。

異なる時空に引き裂かれた二人が組紐によって時空を超えて再び行き会う・・・というお話だったよね。

この映画で一気に組紐、ミサンガ、などが脚光を浴び、組紐教室には申し込みが殺到したようだ。

だが、組紐を習うというと、丸台、角台、綾竹台、高台、組玉・・・などといった道具を買わされる。  バカにならない金額を取られる。 躊躇する・・・あきらめる・・・といった悪循環が起こっている。

ところが・・・こういった組み台が使われ始めたのは江戸時代になってからのようなんだな。  それ以前はというと、手で組んでいたんだ。  (だから・・・今でも手で組紐が組めるんだよ。)

ループ組紐技法ってのがある。  奈良時代(もっと以前とも言われている)のころからあって、正倉院の御宝とか、平家納経を巻いていた紐とかに実際使われていた。  今でこそ帯締めは組台を使って作っているけど、昔は手で組んでいたんだ。  もともと刀をつるす組紐だったのを、江戸の粋な女性が刀の紐を帯締めに使ったことから、今の帯締めの歴史が始まったんだとか・・・

これらの手組の史実は、実際に調べた人たちがいて、ループ技法を再び集大成し、考古学的な組紐が発見されると、それらをループ技法を使って再現する、といった活動をしておられる。 L-M Bricsで検索すると詳細なレポートと組み方の情報が公開されています。 (いまどき組紐の世界では珍しくオープンなサイトです。 頭が下がります。)

ループ組紐技法は、まず1本の紐(ひも)から輪を作る。  複数本の輪(ループ)を作り、両手の指にかけて、一定の規則性のもとに輪を動かすと、組紐が組めている、というすごく便利で簡単なものだと分かった。

似たような文化に「あやとり」という遊びがあるが、あやとりとループ組紐技法は、大変似ている。

世界各所にループ組紐が存在し、あやとり遊びも世界各所に存在する。  あやとりは全世界に自然発生的に表れた、と言われているが、ワシ個人の意見としては、そうは思わない。  あやとりは、ループ組紐の文化と一緒に世界に流布された、と思っている。  だいたい、子供がどのようにして紐を手に入れたか、その前に、どうやって紐が、この世に出現したのか、などと考えると、自然発生的に表れるはずはない。

紐は植物の繊維から木綿として、もっと根源的には、羊毛などの獣毛から紡いで作られたと思う。  羊の放牧やアルパカなどの毛の手に入るところには、必ずと言ってよいほど組紐の文化が存在する。  南米しかり、ヨーロッパ、中東、南アジア、アフリカ北部と分布している。  文化の伝搬とともに組紐も遊びも同様に伝えられたと考えるのが自然な気がする。

絹を使った組紐の日本への伝搬は、絹と一緒に大陸や半島から来たものと思われる。  金印の紐とか・・・衣冠束帯にくっついていた房紐とか・・・

アイヌの文化にも、年代はわからないが、組紐はあるようだ。  シイクンタラ(熊おぶい紐)の根元とか、エムシアッ(刀下げ紐)の一部、ライクルタラ(死者用荷縄)、ウプソル(下紐)、などに使われているそうです。 特に、ウプソル(下紐)は、独特の紐の組み方によって女性の血脈を伝えるものとされていたようです。

 

さて・・・と、講釈は置いといてっと・・・実際に自分で組んでみた。

硬めの毛糸で、いろんな色のものを1mの長さに切って輪にする。 長さ50㎝の輪ができる。

使う輪の数は、4つ、5つ、7つ、8つ、9つ、などといろいろな数の組み方がある、が運指法は大概似たものである。

あやとりのように1本の輪を両手で輪を操るのではなく、複数本の輪の片側を1つに縛って、何か動かないものに固定する。 たとえば椅子の背もたれとか・・・

両手の指に輪の反対側をかけ、あちこち動かすと組紐が出来上がる。  輪の長さの半分くらいの組紐が、あっという間に出来上がる。  これをミサンガや携帯のストラップにすればいいんだ。

こんな感じで、小指を輪2,3,4の中をくぐらせて輪1を取る・・・

実際、輪を移動させることを「綾を取る」と言っていますね、技法の中でも・・・ひょっとしたらループ組紐って綾取りそのもののことだったのではないのかな~・・・と感じたりして・・・それを子供たちが横で見ていて、大人から紐をもらって真似して始めたのが綾取り遊びの始まりじゃ~ないのかな~・・・

いずれにせよ、ループ組紐技法ってのは、綾取り遊びと似たような感覚で組める組紐技法であることは間違いない。

面白いのは、同数の輪で、ほぼ同じような運指法で、1か所だけ紐の取り方を変えることで、

1. 角紐(あるいは平紐) 2本同時 太さは2または3の半分
2. 角紐 (あるいは丸紐) 1本
3. 平紐                     1本

の3種類が組めるということだ。  面白いね~輪の動きってのは・・・結び目理論ってのも関係あるかも・・・

例えば、これ、8本の輪で組んだ 笹波組3種、 もうミサンガの形になってるでしょ。

1本から2本に連続して組んだ角紐、途中で綾の取り方を変えただけ

こちらは同じ運指で綾の取り方を変えると平組紐に、サンマの開きみたいね

両端を2本、中央を1本、というように連続して組むこともできるんよ。  そういう形の物って、いろいろあるよね・・・羽織の紐、鉢巻、、下駄の鼻緒、木のボタンのボタン穴、腕輪(ミサンガ)、携帯ストラップ、帯締めの端っこ、ネックレス、などなど・・・

ボタン穴にして他の端を通すように組んだ7本平組紐

組み方の資料も難しいことはなく、技法の資料を読んだ後、5分~10分でこんな紐が組めたんよ・・・言っとくけど、ワシ、組台は作ったことはあるけど、これまで組台の組紐は1本も組んだことはなかったんよ・・・

調子こいてこんなに組んじゃったわ

写真右から、(畝とはうねりの山のこと)

5本の輪  2畝平組紐(蛇腹組) 2本同時 (赤いの)
5本の輪  4畝平組紐 あるいは 重打   ・・・亀甲紋が出てるね (黄とグレー)

8本の輪  矢羽根柄ささなみ組角紐 途中から 2本同時 同角紐 (青と白)

4本の輪  丸紐 途中で各指の糸の色配置を変えることで右螺旋、右螺旋、2本筋 と変わる (茶と白)
4本の輪  4つ打ちと同じ手順で組むと 2本筋の角紐 (茶と白) シルクラインと同じ組み方

7本の輪  2畝と4畝の平組紐の組み合った2層組紐 (青とエンジ)
7本の輪  少しだけ糸の取り方を変えている (青とエンジ) 

7本の輪  2畝と5畝の平組紐の組み合った2層組紐 (白と茶)
7本の輪  同上 (白と茶にエンジ)

もう1本、長さ1mの紐作ったんだが、女房がメガネをぶら下げるのにいい、といって持って行ってしまったわ。 (角杉 4本ループ 青とエンジ)

両手の指の数、10本以上になると、複数の組手が横に並び、綾を交換する形で組む必要があるんですな。  まさに、綾の取りっこ・・・

 

組紐をこれから習おうと思っている人は、騙されたと思って、このループ組紐技法をマスターしてから、組台を使った組紐を習うといいでしょう。  ミサンガを簡単に作りたい人も・・・刺繍糸なんかでやってみるとイイネ。  模様がどういう風に出てくるのか、とか、表裏で色を変えて模様の出し方とか、この段階で理解しちゃう方が、後が早いと思う。  大概の組紐が組めるし、いろんなことがわかる。

ワシのミサンガ いいでしょっ? 四つ組です。

組紐の原点を知ることで、台を使った組紐の組み方が、なお一層理解しやすくなると思いますよ。

興味のある方は、 l-m Brics  と入れて検索すると l-m BRICSニュース、というサイトが出てきますので、それを読破することをお勧めします。  ちなみに、l-m B とはLoop Manipulation Braiding(ループ組技法)の略。  中世には英国やヨーロッパでも流行していたみたいよ。

特に技法入門シリーズ1,2 くらいを読むと、すぐにでも組めますヨ。

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