つれづれの記

日々の生活での印象

指文字の文化  その1

2013年11月14日 23時02分46秒 | 日記

2013年11月14日(木)  指文字の文化  その1

 

 

 NHKで日曜夜11時から放映されている、韓国歴史ドラマ「トンイ」は、毎週楽しませて貰っている番組の一つだ。

先日曜夜の第39回だが、主人公のトンイが幼い頃に目撃した、片手で示す指の暗号の意味が、長い間分らず、謎解きをしたいと願って来たのだが、終に、手がかりが見つかったようなのである。

 ここでは、詳細は略すが、あの指の暗号は、中国清国の商人が、取引で使っているもので、8、5、10、5の4つの数字ではないか、というのだ。今後の番組で、数字の意味するところが解明されると思われるので、楽しみにしたい。

 

 一方、偶々、同じ日曜の夕方のNHK―BS番組 ぐるっと瀬戸内の旅「山口」 の中で、マジシャン マギー審司さんの案内で、フグで有名な下関南風泊市場での、一風変わったユニークな「袋競り(ふくろせり)」の様子が伝えられた。買い手が袋の中で、フグの買い値等を、仲介する競り人の指を握って伝えるものだ。番組では、1、2、などの指の握り方が簡単に伝えられたが、よく把握できなかった。

  フグの袋競り人形(ネット画像より) 

 

 同じ日に、偶々見た二つのTV番組の話題が切っ掛けとなって、何時もの悪い癖だが、手の指で数字を表す方法(本稿では、以下 指文字)が大いに気になり、あれこれ調べる等、やや深みに嵌ってしまったようだ。少し整理して取り上げてみることとした。 

 

 

 文字や言葉を手の指で表す方法としは、体系的に作られている「手話」があり、この中で使われる数字の指文字もある。一方、今回の話題にある、競り等で使われる指文字もある。 又、日常的には、指の形で数を伝える方法や、指を折って数を数えるやり方などもある。

 これらは、指を使った10進法での数字表示だが、更に、指を使って、2進法でデジタル的に数字を表示する方法なども工夫されているようだ。

 これらについて、興味本位に調べてみた。人間は、生まれながらにして備わっている、両手の10本の指を使って、数を数えたり、色々な数字を表示したり伝える事が出来た訳で、この自然数の10進法が原点となって、現在の数に関する文化(数学体系)が出来ている、と言えるだろうか。

 

 

○ 一般的に競りが行われる市場の代表として、東京築地市場(水産物部、青果部)について調べてみた。 ここで使われている指文字は、「手やり」と呼ばれ、以下の図のようなものと分った。(東京都中央卸売市場 | いちばQ&A | 取引符牒(符丁)を教えてください から引用)(同様の手やり写真 http://www.hmaruuo.co.jp/ichiba/seri.htm

数を、片手だけで表示するのが大きな特徴で、下図は、右手表示になっている(左手表示でもOKと思われる)。

 

 上図には書かれていないが、類推で、最初の0は、全指を折ったグーの状態、桁が上がる10も、同じグーと思われる。

所が、注記によれば、金額で、101など、ゼロ(0)表示が必要な場合は、 と表現してから次の数字の手やりを出すとある。 は、手をぐるっと廻すのだろう。0がはっきりしないのは、数量等の計数上では、0(何も無い)は一般的には不要だからだろうか。

 

 この手やりが、実質的な標準(デファクトスタンダード)として、全国的に使われているのだろうか。 ネットで偶々、小田原魚市場で使われている手やりの写真(下図左)が見つかった。(市場で1~9までの数字を手でやってみよう!!!

 これは、左手表示になっているが、上述の、築地市場での手やり(右手表示)(下図右)と並べて比較してみると、3の場合に立てる指が、人差し指か小指か、の違いだけである。

       

              小田原市場の手やり                           築地市場の手やり 

 

○ ここで、日常生活で使っている指文字のやり方を改めて確認し、この競り用の手やりと対比しながら、指文字全体を整理してみる事としたい。 

 日常生活で、指文字を使う場面はいろいろあるが、

   A 指を使って、相手に数字を伝える時(競りでの手やりと同じケース)

   B 指の動きを見ながら数を数える時

があろうか。 

ここでの、A、B両者の区分けは、厳密なものではなく便宜的なものである。

 

A:日常生活で、指文字を使って、相手に数字を伝える時、例えば、何歳? と聞かれた時に、子供が指を出して答えるなど、のやり方を見て見よう。  

A―1:先ず、片手だけの場合だ。一般には、0のグーから始まって、1~5までは、人指し指から順に立てていくやり方で、上記の小田原型の手やりと同じだろう。

3では、築地型手やりのように、親指・人差し指を折り、他の指を立てることは、普通には、余りやらないだろうか。 

 次に、6以上については、片手だけで表現することは、日常生活では、殆ど無く、市場での手やりなどが主であろうか。  

 手やりで、片手で6以上を表現する場合だが、もう一方の手が、パーの状態(5の数)で隠されていて、これに見えている手の、立てた指の本数1~4を足し算している、と考えると、多少分りやすいだろうか。

ただこの場合、この1~4を、当初のA-1の1~4と区別する必要があるため、親指から始まる異なる指を使って、

     1+5=6

     2+5=7

     3+5=8

     4+5=9

を表していると言えよう。

 更に、ここでの4は、1~3までの延長で、4本目の指(薬指)も立て、小指だけを折った形なら分りやすいのだが、この形を作るのが、やや難しいだろうか。

このためか実際は、中指、薬指、小指を折り、親指を立て、その上に人差し指を被せて輪を作るような独特の形(グーとは異なる形だが)になっていて、4を足しているという感じは無く、直接9を表していると言えそうだ。慣れないと、8から9に行く時に、一瞬、戸惑ってしまう。 

 いずれにしても、言葉(符牒)等と共に、片手の手やりのやり方を覚えて、市場の競りの現場でスピーディに使えるようになるまでには、かなりの習熟が必要だろうか。

  

A-2:次は、両手を使う場合だ。

 両手がグーの状態から始まって、1~5迄は、片手がグーのままで、もう一方が、A-1と同じに、人差し指から立てていき、最後はパーとなる。

6以上では、日常生活では、両手を使うのが普通だろう。片手をパーに開いたまま、もう一方のグーの手で、1~5迄を、上と同様に表現し、足し算することが多いだろうか。 

この場合、開いた手の掌の上に、もう一方の手を重ねても良いし、両手の掌側を、相手に見せる方法もあろう。  

 

 以上の、手の指の形で、相手に数を伝える方法を整理すると、以下のようになろうか。 

           1~5    6~9   0        10      記事

  日常生活   片手    両手    片手グー?    両手パー

  競り      片手     片手    片手       片手グー? 小田原/築地

 

B 一方、指の動きを見ながら数を数える場合では、

  B1 手の掌を自分側に向けてやる場合 と

  B2 手の掌を相手側に向けてやる場合

があろう。 

 

B1:自分側に向けてやる場合は、この例では、“もういくつ寝るとお正月”などと、子供が、待ち遠しそうに、指折り数える光景等が思い浮かぶが、指折りしたり、指を立てたりして数えるやり方になる。この場合

  ①開いたパーの状態から始めるやり方

  ②閉じたグーの状態から始めるやり方

の二つがある訳だ。どちらを使うかは、ネット情報では、やや大げさに、文化人類学の研究分野とあり、国によっても異なるようだ。(指折り数えて・・・とは言いますが - Yahoo!知恵袋

 

B1①パーの状態から始めるやり方  

B1①-1:まず片手の場合、パーに開き、1から5までは、親指から順に、重ねるように折っていき、3~4と進み、5でグーの状態になる。

  6以上の場合は、今度は逆に、小指から順に開いて行き、10でパーの状態に戻る。

  (親指から開いていくやり方もあろうか)

B1①-2:両手の場合は、先ず、両手をパーに開いて、片手の親指から順に折って行き、5で片手がグーの状態になるのが普通だろう か。

  6以上の場合は、片手のグーの状態は保ったまま、もう一方のパーの手の親指から、順に折って行き、最後は、両手がグーの状態になる。

 

B1②グーの状態から始めるやり方

B1②-1:片手の場合、1~5迄は、先述のA-1の、小田原型手やりと、指文字の形は同じで、手の掌の向きは反対となる。通常は、人差し指から立てて行き、5で親指も立ててパーの状態になる。

  6以上で、片手の場合は、パーの手を、親指から順に折って行き、10でグーの状態になるのが普通だろうか。この場合でも、逆に、小指から順に折って行き、10でグーの状態になるやり方もあろうか。

 

B1②-2:両手の場合、両手をグーから始めて、1~5迄は、②-1と同じである。

  6以上は、片手はパーの状態に開いたまま、もう一方のグーの手の親指から、開いて行き、最後の10で、両手がパーの状態になる。

 

B2 相手側に向けてやる場合

 上述のB1で、そのまま、掌を相手側に向けると、以下のように、曖昧になり、別の数字に間違えられる可能性が生じるようだ。

   自分側    相手側 

     1  →   4

     2  →   3

     3  →  2/3

     4  →  1/4

     5  →   5    

 従って、手の掌を相手側に見せながら、数を数える場合の、このB2のケースは、先述の、相手に数を伝えるA-1(片手)、A-2(両手)のケースと同じと考えていいようだ。  

 

 

○ 先述のトンイに出て来た例を改めて見てみると、10以外は、市場での手やりA-1と同じで、手の形は、以下のようになる。  

  8  親指・人差し指・中指を立てて、他は折っている

  5  全開き(パー)

  10 全閉じ(グー)

  5  全開き(パー)

 

 日本の市場での手やりでは、10は明確には規定されていないようだが、どう表現するのだろうか。例えば、この例のように、やはりグーを使うのか、1に続いて0( )とするのか、等は未確認である。 

又、日常生活では、ここでの5は使われるものの、8や10のサインは、殆ど使われないだろう。


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