2022年1月6日(木) 地域連携協定を巡って
2022年が始まった。昨年は、オリンピックをはじめ、コロナ禍に振り回された1年だったが、果たして今年はどんな年になるのだろうか。今年は、北京冬季オリンピックが開催されるが、外交的ボイコットなど、不協和音も聞こえてくる。
今年の筆者の関心の一つは、国際的な地域連携協定であるRCEPが、1月1日からスタートした、ということだろうか。
筆者はこれまで、RCEPは、ASEAN等、と同様に、外交上の組織体ぐらいに考えていた。しかし、RCEPが、今後の加盟国間の経済的なやり取りのルールを決めている、立派な国際条約であり、しかも、経済大国中国がまともに絡んでいると知ったことは、可なりの驚きである。
ここで、日本を取り巻く、国際的な地域連携協定について、改めて調べてみた。
〇ASEAN
ASEANは、1967年に、5か国で結成された、域協力機構である。
東南アジア諸国連合 ASEAN :呼称は、以下の頭文字をとったものだ。
Association of South―East Asian Nations
現在、10か国が加盟していて、以下の経過だ。
発足時加盟国 :タイ インドネシア シンガポール フィリピン カンボジア
遅れて加盟した国 :ブルネイ ベトナム マレーシア ミャンマー ラオス
ASEAN加盟国の地図 ASEANのロゴ
ASEANには、周辺に位置する先進国を加えた集まりとして、以下の2つがある。
ASEAN+3 ASEAN加盟10か国+日本、中国、韓国の3か国
1997年以降、首脳、閣僚レベルの集まりが今も続いている。
ASEAN+6 ASEAN+3 に、さらに、+オーストラリア、ニュージーランド、インドの3か国が参加。
日本が提案したようだ。
〇RCEP
RCEPの呼称は、以下の頭文字からきている。
Regional Comprehensive Economic
Partnership Agreement
(comprehensive 包括的な 総合的な)
前項のASEAN+6が母体となり、RCEPに発展したようだ。このため、RCEPには、ASEANがそっくり加入していて、それに、日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドの5か国が加わった組織体になっている。ただし、インドは、RCEPには加入していないので、RCEP構成国は、15か国である。
下図での黄色枠内は、ASEAN10か国である。
RCEP15か国
〇TPP
RCEPと、すでにスタートしている、TPPとの関係が重要となる。
TPP:環太平洋経済連携 Trans-Pacific Partenership は、2016年2月に、12か国で締結された条約だが、アメリカ(トランプ政権)が、2017年1月に、TPPから離脱している。その後、アメリカ抜きで纏まることとなり、2018年3月に、TPP11が署名されていて、11か国で運営されている。
RCEPとTPPの加盟国は、下図のようになり、双方に加盟している国と、片方にしか加盟していない国がある。双方に加盟しているのは、以下の7か国だ。
マレーシア ベトナム ブルネイ シンガポール 日本 オーストラリア ニュージーランド
台湾、中国が、TPPへの加入を意図していて、険しい動きがあるようだ。
しっかりした国際協定である、RCEP、TPPの世界での比重は、下図である。
上図は、ネットより(世界でのウエイト GDP 人口.png 参照)
〇 APEC
この呼称は、以下の頭文字からきている。
アジア太平洋経済協力(会議):
Asia―Pacific Economic Cooperation 。
1989年 12か国の閣僚レベル会議からスタート
1993年 首脳会議開催
加入国の経過 1991 中国、台湾、香港 1993 メキシコ パプアニューギニア
1994 チリ 1998 ロシア ベトナム ペルー
国ではない、台湾、香港が加入している。
参加21か国・地域の世界の比重 人口 41.4% GDP 57.8% 貿易額 47%
この組織体が、経済的な連携として、どのような位置づけになるのか、筆者にはよく分からない。 また、APECには、次項の図にある様に、香港(中国香港)と台湾(チャイニーズタイペイ)が入っているのも、中国との関係から、不思議である。
〇 地域連携協定を巡って
これまで触れてきた、日本を取り巻く各種地域連携協定の全体像は下図の様になる。
(地域的な包括的経済連携(RCEP)協定が署名されました (METI_経済産業省)から引用)
TPPへの、台湾、中国の加入申請のニュースもあり、今後、世界は、慌ただしく動いていくのだろうか。