よねの備忘録

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ORSの魔法

2007-08-17 15:16:43 | 医療の話

ORS(Oral Rehydration Salt)は、ユニセフが開発した
小袋状のパッケージです。

これを水に溶いて、乳幼児の脱水症の治療に用います。
1980年代まで、脱水症で生命を失う5歳以下の乳幼児は、
全世界で年間500万人に上りましたが、現在では220万人まで
減っています。

水の25倍の吸収力をもつ「魔法の薬」です。
1袋の単価は10円です。

日本語では、「経口保水塩」と訳されています。
 (リンク先-長文注意)

自宅で、簡便にORSを作製するとしたら、
水1Lに、食塩2gと砂糖20~40gを加えると書かれています。
水1Lに、食塩を小さじ1杯、砂糖を小さじ4~8杯ですね。
 (*註 コピペも他の資料も小さじ1杯となっているが、
      Kさんのご指摘のように、1/2~1/3杯が適当でしょう)

脱水症には、塩分の補給が必要なのですが、
 ・塩分は砂糖と一緒だと吸収が早い。
 ・液体の濃度が血液より少し低い(正確には浸透圧が低い)と
  吸収が早い。

これがORSの魔法のタネです。
__________________________

ORSをもとに「スポーツドリンク」を考えてみましょう。

スポーツマンが「爽やか」に汗をかいているとき、
汗の中のNa+濃度は約20mEq/Lです。
 (単位は「化学」の話ですので、説明は省略)
「スポーツドリンク」のNa濃度はこの値=20mEq/Lを基準
としています。

ところが、体調が悪かったり、ふだん汗をかかない人だと、
汗腺がうまく機能せず、汗の中のNa+濃度は約40mEq/Lまで
上がってしまう場合があります。
水やスポーツドリンクを大量に摂取すると、低Na血症や「水中毒」に
なることがありますので、注意しましょう。

小児の下痢、嘔吐にも同様のことが言えます。
この場合のNa+濃度は約50mEq/Lですので、
水やスポーツドリンクでは、塩分濃度が薄いのです。

そこで、味噌汁の上澄み(Na+濃度は約138mEq/L)を
うまく利用します。

ORSですが、Na+濃度は34mEq/Lですので、これでも充分です。

 

コメント (7)
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