真っ白な原稿の上で、俺は爪を切った。

漫画家 施川ユウキのブログ

タオル

2006年12月30日 07時17分23秒 | Weblog
ようやく年末進行が終わって少しは余裕が出来たんだが、仕事中「終わったらアレも書こう、コレも書こう」と溢れてかえっていたブログ更新のモチベーションがさっぱり高まらない。
結局忙しい時ほど仕事と関係ない事を考えて現実逃避してしまうんだろうけど、いわゆる「アイデア」というモノの正体は「無関係な物同士の新しい組み合わせ」にあるのだと言われているそうなので、ネタ作り中に関係ない事を考えるのはあながち間違った行為ではないだろうし、ミスター味っ子も毎回料理と関係ない物にヒントを得て独自の料理を作っていたと記憶している。それはまあどうでも良い話で。

おそらく、「後で書く」とラベリングした話は、 鮮度の低下によって結果受け手から「後で読む」とラベリングされる。気がする。

例えば話題になってた頃書こうと思って書きそびれたイジメ問題に関して。今となっては今更感が強くモチベーションも低い上に、大した話でもないけど、敢えて書く。
大橋ボクシングジムの外壁には「いじめられっ子集まれ!」と大きく書かれてるそうだが、そんなトリビアはともかく要するにいじめられっ子はボクシングをしたらいいんじゃないか、という話。 この時点で相当読み手のモチベーションも下がっていると思われる。全くもってありふれた発想だし、まあ古い。特に「トリビア」という単語が中途半端に古い。フックゼロのテキストだ。ボクシングなのにフックが無いとは皮肉な話で、それはいいとして僕自身ボクシングには全く興味が無いのだが、なぜボクシングなのかと言うと「心身ともに鍛えて強くなれ」という事では無く、いや全く無い訳でもないのだが、ここで太字にして言いたいのは「ボクサーは孤独を美学とする」というナルシスティックな部分だ。
集団の中で孤立するタイプの人間に「信頼できる友達を作れ」だの「家族に相談しろ」だのコミュニケーションによる解決を求めるのは酷な話で、それよりも孤立している事を前提に、その現状を自分自身に向けてどう演出するかをあれやこれや工夫した方がより現実的ではないのだろうかと。
集団の中で孤立している自分は惨めだ。が、ボクシングジムに入門した時点で「ボクサーだから」という孤独に対するエクスキューズは成立する。単なる慰みのようだが、実際にジムに通うという行動によって、演出に説得力が出る。飽くまで自分自身に対する演出だとしても。

ここまでダラダラと書いてきたが、やはりこのテキストには説得力が無い。説得力とは、理屈より経験や実績によって高められていくものだと思うのだが、僕自身ボクシングの経験どころか興味も無い上に、イジメの深刻な現場に居合わせた事も少ない。そもそもここでイメージしてるイジメは周囲からシカトされる程度の身に迫る危機の無いレヴェルのものであり、生き死にに関わる由々しき事態のイジメ問題をどうにかするのは土台無理な話で、と言うか読み返してみるとイジメ問題をどうにかしようと言う話ではなく、「イジメられ続ける事を前提として、学校生活の数年間をどう現状認識し、どうサヴァイヴするか」という趣旨の、捉え方によっては身も蓋も無い話だった。

ただ、身も蓋も無い話だが生きていれば出口の無い状況にはしばしばぶち当たる。そういう場面において演出としてどういう物語を自分に重ねるかは、その後の人生を左右する大きな問題になりえると思う。極端な話、キリスト教が普及した理由のひとつには「原罪を背負ってるから」だの「神の与えた試練」だの出口の無い状況に対してドラマチックな物語を演出してくれたから、というのもあるんじゃないだろうかと。

このエントリは、まとまりの無いままもう少し続く予定だったのですが、やはりモチベーションが保てないのでこの辺りでやめておきます。
「途中まで書いてやめる」とラベリングするような話は、おそらく途中で読むのをやめられている。気がする。


2006年12月27日 05時20分22秒 | Weblog
○時
僕は赤い顔で酔っ払っていた。
○時
帰り道、車を運転しながら前方から赤いテールランプが近づいてくるのが見えた。
○時
気が付くと、自分の両腕が血で赤く染まっていた。
○時
赤の他人の命を奪ったと知らされた。

うろ覚えだけど、こんな感じの
飲酒運転撲滅を訴えるラジオCMを聞いた。

こんな状況でありながら、何で「赤」できれいにまとめてるんだ?
上手い事言ってる場合か。
自分が被害者の遺族だったら、「オチに使うな」って切れると思う。



物忘れ

2006年12月15日 00時04分29秒 | Weblog
時間が無くて先送りにしたエントリは、
記憶の中からものの見事に消えてしまう。
頭の中で丁寧にまとめ上げ脳内の抽斗に大事にしまって置いたアイデアも、
時間の経過と共に見る見るうちに腐って風化する。
書き留めておきたいと思った時の強い衝動は、防腐剤のようには働かない。
インパクトのある夢が、起床後猛スピードで忘却していくのに似ている。


告知

2006年12月06日 08時24分31秒 | Weblog

年末進行で忙しくて
なかなか宣伝も出来ないんですが、

「サナギさん」第3巻
12月8日発売です。

表紙を、質感のある絵にしようと試みたんだが、
印刷したらほとんど消えてしまった…。

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