ブログ「教育の広場」(第2マキペディア)

 2008年10月から「第2マキペディア」として続けることにしました。

岡山県(01、実力)

2008年11月16日 | ア行
 キャッチフレーズは「晴れの国」。県都岡山の年間快晴日数37日は47都道府県で5位(2006年)、降水量773㍉で最下位(2007年)と、雨の少ない瀬戸内地方の中でも際立つ。とはいえ県北の豊かな森林に涵養された吉井川、旭川、高梁(たかはし)川の恵みで、水不足にも強い。

 桃、ブドウなど、日照に育まれ甘みの強い高級果物の産地でもある。

 広島や山口に比べ平野も広く、吉備の国と呼ばれた古代から生産力は際立っていた。巨大な前方後円墳のベスト3は大阪府内にあるが、4番目は関西ではなく当県にある。

 新幹線に加え山陰や四国など9方面からの列車が集まる岡山駅は、3大都市圏以外では随一の鉄道結節点だ。経済的に一体性の強い岡山市・倉敷市の広域都市圏人口は146万人(2005年)と広島都市圏に見劣りなく、政令指定都市以外では最大規模。水島の大工業地帯もあれば、ベネッセ、林原など、個性的な地場大企業も多い。

 にもかかわらず、岡山市街地のにぎわいは広島に比べればぐっと地味だ。広島のようにプロ野球やプロサッカーの応援で盛り上がる伝統もない。当県の実力はむしろ、上品な家具調度の集められた私的な空間におじゃますると実感できる。

 たとえば昔ながらの蔵が日本有数の集積密度で残る倉敷市の旧市街。美観地区が有名だが、その東の町屋地区では店や蔵の再利用が進み、旅人でも当地の居住文化の一端を味わえる。蔵を快適なサロンやギャラリー、カフェなどに造り替え市民に開放している方々、それを支える建築家集団の方々と思わぬ出会いもあるかもしれない。数字に出ない地域の奥深い魅力を知る機会が、ここにはある。

  (朝日、2008年09月06日。
(地域経済アナリスト藻谷浩介、協力・日本政策投資銀行地域振興部)

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