荒井 訓 様
前回も申し上げましたが、「レオのドイツ語世界」はとても
よかったと思います。工夫が沢山ありました。
聞いていますと、あなたは関口存男氏のドイツ語学を学んで
いるらしいと思いました。又、ランゲさんという立派な同僚に
も恵まれているようです。何よりあなたはまだ40代のようでこ
れからの日本のドイツ語教育学界を背負って立つ人の一人だと
思います。
そこであえて問題を提起します。
それはほかでもない接続法第2式をどう研究し、どう説明す
るかという問題です。
私見によれば、接2の用法を全部説明するという意気込みを
持った本は1つもないと思います。どれを見ても「基本だけ」
説明する、といった風に逃げています。
又、独和辞典もようやく話法の助動詞の接2形を独立した見
出し語として掲げるようになりましたが、その用法の説明は極
めて不十分です。
関口氏の『接続法の詳細』(三修社)だけは例外で、これは
本当に立派なものですが、それでも全部は尽くしていません
し、何よりもハンドブックのようになっていないために、出て
きた接2の用法を手軽に調べたい時に役立たないと思います。
あなたは9月号の27ページでそれの一部を説明していますが
、やはり接2の用法の全体像を示すべきではなかったかと思い
ます。又、もっと沢山の時間を割いて接2を取り上げるべきで
はなかったかと思います。
その理由は、第1に、ドイツ人にとっては接2は極めて身近
な存在で、子供のころにその基本を身につけるものであり、接
2を使って多くの感情を表現し、ニュアンスを表すからです。
第2の理由は、日本人のドイツ語学習者は(多分、ドイツ語
を外語として学ぶ人はみな)接2は難しいという先入観に囚わ
れているからです。そして、その原因の1つは、研究者がしっ
かりしていないからであり、例えば読本のテキストについてい
る「編者の注解」をみましても、難しい所は素通りしています
し、間違っている場合も多いからです。
というわけで、あなたが今後、接2の研究と教育方法につい
て考えてくださるように希望します。
草々
2001年10月01日
牧野 紀之
付記・これにも返事がありませんでした。
前回も申し上げましたが、「レオのドイツ語世界」はとても
よかったと思います。工夫が沢山ありました。
聞いていますと、あなたは関口存男氏のドイツ語学を学んで
いるらしいと思いました。又、ランゲさんという立派な同僚に
も恵まれているようです。何よりあなたはまだ40代のようでこ
れからの日本のドイツ語教育学界を背負って立つ人の一人だと
思います。
そこであえて問題を提起します。
それはほかでもない接続法第2式をどう研究し、どう説明す
るかという問題です。
私見によれば、接2の用法を全部説明するという意気込みを
持った本は1つもないと思います。どれを見ても「基本だけ」
説明する、といった風に逃げています。
又、独和辞典もようやく話法の助動詞の接2形を独立した見
出し語として掲げるようになりましたが、その用法の説明は極
めて不十分です。
関口氏の『接続法の詳細』(三修社)だけは例外で、これは
本当に立派なものですが、それでも全部は尽くしていません
し、何よりもハンドブックのようになっていないために、出て
きた接2の用法を手軽に調べたい時に役立たないと思います。
あなたは9月号の27ページでそれの一部を説明していますが
、やはり接2の用法の全体像を示すべきではなかったかと思い
ます。又、もっと沢山の時間を割いて接2を取り上げるべきで
はなかったかと思います。
その理由は、第1に、ドイツ人にとっては接2は極めて身近
な存在で、子供のころにその基本を身につけるものであり、接
2を使って多くの感情を表現し、ニュアンスを表すからです。
第2の理由は、日本人のドイツ語学習者は(多分、ドイツ語
を外語として学ぶ人はみな)接2は難しいという先入観に囚わ
れているからです。そして、その原因の1つは、研究者がしっ
かりしていないからであり、例えば読本のテキストについてい
る「編者の注解」をみましても、難しい所は素通りしています
し、間違っている場合も多いからです。
というわけで、あなたが今後、接2の研究と教育方法につい
て考えてくださるように希望します。
草々
2001年10月01日
牧野 紀之
付記・これにも返事がありませんでした。