ブログ「教育の広場」(第2マキペディア)

 2008年10月から「第2マキペディア」として続けることにしました。

NHK の広場、5、ドイツ語(04、3人の講師への質問、その3)

2005年07月07日 | NHKの広場
荒井 訓様

前略 あなたの初級ドイツ語講座は新鮮です。最初の頃、少
し難しすぎるのではないかと危惧しました。ドイツ語のスキッ
トの会話のスピードが早すぎると思ったのです。最近は適当だ
と思います。

3人の呼吸がとても合っていると思います。

vielの用法について、Vielen Dank と格語尾変化するのは説
明がつかない、という指摘は教えられました。ありがとうござ
います。

大した事ではありませんが、1つだけ、言ってもよかったか
なという点があります。

8月号の36頁に des Architekten Walter Gropius という句
が出てきます。

ここでは der Architektが男性弱変化名詞である点しか説明
していませんでしたが、職業名と固有名詞が並べられた場合、
前の職業名だけが格変化し、固有名詞は格変化しないというこ
とを注意してもよかったかなと思いました。

一般的に言うと、

固有名詞が類種名詞や職業上の地位名に付置される場合、類
種名詞のみ変化し、固有名詞は変化しない。

1. der Ausbruch des Vulkans Vesuv
 2. die Uniform des Herrn Oberwachtmeisters Dimpfel-
moser

ということです。

別に、言わなかったのが落ち度だとは思いませんが。

2001年08月27日


 この3通の手紙には係から葉書で返事が来ました。
消印は2001年08月29日となっていました。

─三講師へのお便りありがとうございます。各先生におわた
しし、回答を依頼しました。ごていねいなご指摘、製作者の参
考にもなります。これからもご支援下さい。

 テレビの講座もよろしくお願いします。(係)


 しかし「各先生」からの回答はついに貰えませんでした。
  (2005年07月07日)


NHK の広場、4、ドイツ語(03、3人の講師への質問、その2)

2005年07月07日 | NHKの広場
 池田香代子様

前略 ラジオドイツ語講座「原書で楽しむグリム」を楽しん
でいます。メルヒェンの世界について学んでいます。ありがと
うございます。

語学上の点について少し質問します。

まず、 Froschkoenig について2つあります。

第1の質問

"Ach ja", sagte sie, "ich verspreche dir alles, was du
willst, wenn du mir nur die Kugel wiederbringst." Sie
dachte aber: Was der einfaeltige Frosch schwaetzt, der
sitzt im Wasser bei seinesgleichen und quakt und kann
keines Menschen Geselle sein.

貴下の説明は、感動の was。 Was du sagst! 「なに言って
るんだ」と同じ用法、ということでした。

しかし、ここは認容文と取ることは出来ないでしょうか。
Was der einfaeltige Frosch auch schwaetzt と言うのと同じ
と理解するのです。だから次の主文が定形正置になっている、
と考えると整合的だと思います。尚、高橋健二は認容文に訳し
ています。

 第2の質問。

"Warte, warte", rief der Frosch, "nimm mich mit, ich
kann nicht so laufen wie du." Aber was half ihm, dass
er ihr sein quak, quak so laut nachschrie, als er konn-
te!

貴下は、「 wasが疑問代名詞として文頭にくると、副文は
wasの代わりに dass を用いる」と、説明していますが、何の
事か分かりません。

 この文は、Aber was half es ihm, dass~で、 es が落ちて
いるだけだと思います。dassと結びつくのは省略されている
es だと思います。あるいは dass の副文を主語と考えてもよ
いと思います。

was は疑問代名詞の4格で、程度を表す4格です。

Das half ihm nichts.
  Das half ihm wenig.
Das half ihm etwas.
  Das half ihm viel.

以上の文で、 nichts, wenig, etwas, viel は4格です。

これが反語的疑問文になったために wasが文頭にきたのだと
思います。

次に、8月号の67頁の moechteの説明について質問がありま
す。

貴下は、これが「かもしれない」の moegen であると説明し
たのちに、
「王の懸念(fuerchtete)の内容なので、接続法2式が用いられ
ている」
と説明しています。

 つまり、この die Stiefmutter moechte .. の文は、間接話
法だということなのでしょうか。もしそうなら、これを直接話
法に転換した時、どうなるのでしょうか。

貴下は昨年の秋頃、放送の中で、「ドイツ人は間接話法を頭
の中で直接話法に転換して理解する」と述べていました。そう
ならば、ドイツ語の読解でも間接話法が出てきたら、よほど易
しい場合を除いて、直接話法に転換してみせるべきだと思いま
す。

A: Weil er fuerchtete,: "Die Stiefmutter mag sie nicht
gut behandeln."
 B: Weil er fuerchtete,: "Die Stiefmutter moechte sie
nicht gut behandeln."

どちらでしょうか。

 又、接続法2式を使って「かもしれない」を表現するならば
koennteでもいいと思います。なぜ koennteではなくて
moechteなのでしょうか。

 済みませんがお知り合いのドイツ人に聞いてでも以上の質問
にお答えください。
よろしくお願いします。 草々

2001年08月27日


NHK の広場、3、ドイツ語(02、3人の講師への質問、その1)

2005年07月07日 | NHKの広場

 矢羽々 崇(やはば・たかし)様

 前略 カフェ・ファルプカステンを楽しく聞いています。参
考になる事が多く、ありがたいです。

 1つ質問があります。

 8月号の89ページの一番下に次の説明があります。

 weil du es bist について貴下は「 es を使った強調構文の
変形です」と説明しています。これはこの副文の何を説明して
いるのでしょうか。又、もしそれが「変形」だとしたら、変形
でない「 es を使った強調構文の標準形」とはどういうもので
しょうか。具体例をいくつか出して教えて下さい。

 思うに、この文で説明されるべきことは、人称代名詞と es(
od. das)をそれぞれ主語・述語とする述語文の使い方ないし使
い分けです。人称代名詞を du で代表させるとしますと、Du
bist es. と Das bist du. との使い分けです( Ich bin es.
と Das bin ich. でも同じ、以下省略)。

つまり、ここの例で言いますと、この「ほかならぬローマン
の頼みだからね」という意味で、weil das du bistとも言える
のか、ということです。

既に貴下の講座の5月号にも次の文が出てきました。

Es tut mir Leid, dass du in letzter Zeit so viel Pech
hast, aber du solltest trotzdem nicht zu sehr schwarz
sehen. Das bist doch gar nicht du. Wo ist denn dein
Humor geblieben?

この場合も、Du bist es doch gar nicht と言えるのかとい
うことです。

 そもそも it だけの英語と違ってドイツ語には es と dasが
あります。従ってその使い分けが問題になります。

まず基本的な事がほとんど教えられていないと思います。

英語の授業ではその最初期に次の事が教えられます。
  Are you a student? Yes, I am. No, I am not.
  (これは three words answer というそうです。ご存知で
しょうが)

しかしドイツ語の授業ではこれは教えられていないと思いま
す。大切な事です。私の考えでは、
  Bist du Schueler?
Ja, das bin ich. Nein, das bin ich nicht.
です。ここでは Ja, ich bin es. Nein, ich bin es nicht.
は使えないはずです。

従って、ここで確認するべきことは、まず第一に、ドイツ語
では three words answer は答えの基本ではないということで
す。

この点については既に関口存男氏が次のように述べていま
す。

─英語では、例えば Has he said anything about me? に対
する答えとしては Yes, he has. とか No, he has not 等の形
が常則であるが、ドイツ語では Hat er etwas von mir
gesagt? に対しては Ja, er hat とか Nein, er hat nicht と
は答えない。

必ず Er hat es getan, Er hat es nicht getan と答える。
省くにしても, getan は省くことはあっても、 es の方は絶対
に省かない。しかし、ある種の場合、たとえばここのようなお
うむ返しの反問にあっては、英語と同様の形になる。
Habt Ihr?(英語: Oh, have you? )。もちろん Ach, habt
Ihr das? とも言う。
(理髪師ツィッターマン、三修社 50頁)

 次に確認するべきことは es と dasの使い分けがあるという
ことです。

es と dasの両方が可能な場合もあると思います。
 Bist du der Schueler, der die Fensterscheibe einge-
schlagen hat?
Ja, ich bin es. Ja, das bin ich.
Nein, ich bin es nicht. Nein, das bin ich nicht.

Bin ich es, der jetzt angerufen worden ist?
 Ja, das bist du. Ja, du bist es.
  Nein, das bist du nicht. Nein, du bist es nicht.

 私の狭い見聞によりますと、この使い分けをまとめた文法書
は1つもないと思います。そこで自分で用例を収集しているの
ですが、例えば次のような例があります。

1. Als er bei Peters Haus vorbeikam, blieb er stehen
und warf einen kleinen Stein gegen Peters Fenster. "He,
Peter! Ich bin's, Kollin."

2. Sie(Koenigstochter) sah sich um, woher die Stimme
kaeme, da erblickte sie einen Frosch, der seinen dicken
haesslichen Kopf aus dem Wasser streckte. / "Ach, du
bist's, alter Wasserpatscher," sagte sie.
(Grimm, Der Froschkoenig)

3. Die Jungen gehen leise aus dem Zimmer. / "Bist du
das, Hans?" ruft Gretl aus dem Zimmer. "Ja, ich bin es.
Ich gehe zu Bett. Schlaf nur schnell, Gretl", ruft
Hans. (Erich und Maria, 41-2頁)
 (〔そこにいるのは〕ハンスなの? うん、僕だよ)
 この場合は Bist du es, Hans? もあるのではないでしょう
か。
 〔手紙に載せた例から3例を省きました〕

 私の知りたいのは、これらの各々の場合で es と dasの使い
分けはどうなっているのかです。そして、その一般法則です。
私見では dasは基本的には形容詞的(その意味で不定冠詞的)
で、 es は特定のものを指す(ないし、受ける)場合にだけ使
えるようです。つまり定冠詞的とでも言いましょうか。

 済みませんが、ローマンさん達に聞いて教えなくれません
か。

 よろしくお願いします。     草々
2001年08月27日

PS これを書いた後25日の放送の中に次の文がありました。

 Wer sind die drei in der Baugrube? Bist du das da
rechts ?  Ja, das bin ich.

 ここで私が知りたいのは、Bist du das da rechts ? に対応
する平叙文は
 Du bist das da rechts.(君は右の人だ)なのか
 Das da rechts bist du.(右の人は君だ)なのか、
ということです。

 またこの場合の答えとしては Ja, ich bin es. も可能かと
いうことです。