かつて、日本の大人たち、親たちが地域や自分の子供たちにしっかりと教えて来たこと。その多くは現在、教えなくなっています。
家づくりの仕事の中でも特にそうした分野に入るものが、「お墓」「コミュニケーションの大切さ」そして「家づくり」です。
お墓参りやお墓のお掃除について、子供たちはしっかりと受け継いでいません。
家族や地域社会でしっかりとあいさつをしたり、自分の考えを適切に伝えるということについても教えていません。
家は長く住めるもの、どうすれば快適な家になるのか、ということも伝えていません。
他にもたくさんあるのですが、ライフスタイルに影響する様々なことについて、なぜ大人は子供たちに伝えなくなってしまったのでしょうか。
答えは明白です。
子供たちには、子供たちの世界と文化があります。大人が子供に、自分たちの文化や価値観を、子供たちに押し付けることは不可能です。
子供たちに自分の考えや価値観や文化を伝えたいのであれば、子供たちの文化や価値観について、まずは大人がお手本を示して学ばなければいけないんです。
大人だって、祖父母の世代や海外の異文化について押し付けられて、それを無条件に受け入れることはできませんよね。子供たち、次世代だって同じです。
何かを受け継ぐということは、何かを学ぶということと同じこと。時間と労力を投資して学ぶわけです。
若い世代は今の価値観や文化をすでに自分の時間と体力とお金を使って学んでいるわけですから、そのコストを「古いものを受け継ぐ」ことに投資したいと思えるかどうか、ということが鍵。
お墓の管理にどれだけ意味があり、いい家を建てることにどれだけ価値があり、他の人とコミュニケーションを取るには何が必要なのかをしっかり教えることができる大人がもっと増えると、世の中は変わっていくのでしょうね。