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毎日新聞 2008年8月6日 東京朝刊より (Unknown)
2008-08-06 08:38:14
東京・雑司が谷の下水工事事故

警視庁と東京消防庁の懸命の捜索活動は夜まで続いた。

 「突然たたきつけるような雨が降り、しばらくして大声で叫ぶ声が聞こえた」。

現場前に住む女性は「いつも午前10時ごろから7、8人で作業を始めていた。」と話した。

近くに住む50代の女性は「今朝、現場監督という男性が『今日は雨が強くなるから浮輪をつけて作業をしなければいけなくなるかもしれない』と冗談を言っていた」と言葉を詰まらせた。

 北立建設工業本社によると、死亡した大島浩さん(49)は、00年4月に別の下水道工事関連の会社から転職し、07年11月から事故現場の監督を務めていた。

午後3時過ぎに現場から死亡を告げる電話を受けた総務部長の足立敬吾さん(32)は、「これまで水難事故は起こしたことがなかったのに。貴重な人材を失った。安全管理が不十分だったと思う」と語った。
大島さんは経験豊富だったという。

普段から『雨が降ったら工事をすぐやめるように気をつけている』と話していた。

 橘技建工業では深夜まで社員が情報収集などに追われた。

 ◇5分前に大雨注意報
 今回の下水管工事で採用されたのは、作業員が老朽化した既設管の中に入り内側に樹脂を張り付けながら補修する「SPR工法」。管を切断したり削る必要がなく交通や市民生活への影響が少ないため一般的に採用されているが、今回のように管に一気に雨水が流れ込むケースは作業に危険も伴うため作業時の気象情報の把握が「命綱」になる。

 都によると事故発生は午前11時40分ごろで、現場周辺に大雨洪水注意報が発令された5分ほど後だった。
元請けの竹中土木が都に提出した施工計画書には、大雨洪水警報や注意報が出た場合や降雨で水深が30センチ以上になる水位上昇が確認されれば、作業を中止し地上に退避することが明記されていた。
しかし同社は大雨洪水注意報を把握していなかったうえ「通常は(午前8時の)朝礼前の天候で判断している。突発的な豪雨などを把握する仕組みはなかった」と説明した。

 都発注の下水道工事を巡っては04年10月、港区赤坂で台風による増水で下水管を点検中の作業員1人が死亡する事故が起きた。これを受け、都下水道局は大雨や洪水警報が発令された場合、工事を中止するよう請負業者に求めていた。
しかし、大雨洪水警報が周辺に発令されたのは事故から1時間近く後だった。

 工事区間は雑司ケ谷幹線(延長約4・2キロ)の一部約600メートル。汚水と雨水を合わせて流しているが、普段は水深10センチ程度の汚水が流れており、後楽ポンプ所(文京区)を経て芝浦水再生センター(港区)へ向かう。雨で水深が20センチ以上に達した場合は途中の神田川へ直接放流される。

 下水管は1時間に50ミリの雨が降ると水深が60~90センチになる。都の観測では豊島区では5日午後0時11分からの1時間で66ミリの雨が降り、想定を超える大量の雨水が下水管に流れ込んだとみられる。都は5日夕に事故調査委員会を設置。原因を調べるとともに再発防止策を検討する方針だ。

 竹中土木は5日午後8時から江東区の本社で会見し、竹中康一社長は「重大な事故が発生し被災者とご家族に大変申し訳ない。突発的な豪雨にも各現場に通報できるシステムを整えたい」と謝罪した。

 ◇集中豪雨原因は積乱雲急激発達
 関東甲信地方に大きな被害をもたらした集中豪雨は上空に寒気、地表付近に暖気があり、それに暖かく湿った空気が流れ込んだのが原因で、広い範囲で積乱雲が急激に発達したとみられる。

 気象庁によると、例年は太平洋高気圧が日本列島を広く覆って安定した晴天が続く。しかし今回、関東甲信地方は二つの高気圧に挟まれ、その間の上空約6000メートル付近に氷点下4、5度の寒気が流れ込んだところに、地表~約1500メートルに暖かく湿った空気が入り込み大気の状態が不安定となった.

 
 
 
中日新聞 2008/0806 朝刊 (Unknown)
2008-08-06 08:40:37
東京・豊島で下水管増水、2人死亡 水位急上昇、逃げ遅れ



 東京都豊島区雑司が谷の下水管で5日、補修工事中の作業員ら5人が流された事故は、局地的豪雨で流れ込んだ雨水により水位が急上昇、作業員らが脱出しようとしたが間に合わず濁流にのまれたとみられることが分かった。警視庁は作業員らが逃げ遅れたとみて、関係者から当時の詳しい状況を聴いている。

 5人のうち、下請けの北立(ほくりつ)建設工業(東京都千代田区)の現場監督大島浩さん(49)=埼玉県三郷市高州2=が午後1時半ごろ、現場から約3・5キロ離れた文京区内の神田川で発見され、死亡が確認された。

 同8時半ごろには、同区内の「後楽ポンプ所」で別の男性が見つかり、死亡を確認。不明になっている孫請けの男性作業員4人のうちの寺井誠さん(44)=東京都足立区=とみられる。

 警視庁の調べなどによると、5日午前9時に6人がマンホールから下水管内に入り、老朽化した内壁を補強する作業を始めた。当初の水位は「ひざ下30センチだった」という。

 工事は都が発注、竹中土木(江東区)が請け負った。現場周辺では同11時半すぎに雨が降り始めたため、地上にいた同社の責任者が作業を中止して下水管から出るよう指示。しかし、その直後に腰付近まで増水し、6人が流されたという。

 1人は下水管内の手すりにつかまり自力で脱出。「(5人は)鉄砲水のようなもので押し流された」と話しているという。


 下水管は幅約2メートル、高さ約1・6メートルの長方形。通常は汚水が流れ、水深は約10センチという。

 竹中土木が都に提出した施工計画書では、大雨、洪水注意報が発令されたり、水深が30センチに達した場合は工事を中止するとしていたが、5日夜の記者会見では「注意報は現場に伝わっておらず、状況をみて退避した」と説明した。

 豊島区によると、現場近くでは正午までの1時間に43ミリの雨量を観測した。

 
 
 
共同通信 2008/08/06 (Unknown)
2008-08-06 08:47:39
不明3人の捜索続行 警視庁、安全管理も捜査
 東京都豊島区雑司が谷の下水道管内で男性5人が流された事故で、警視庁と東京消防庁は6日午前、現場から約3キロ離れた文京区の後楽ポンプ所で見つかった遺体を寺井誠さん(44)=足立区=と確認した。現場の下流となる神田川やポンプ所の捜索を続行し、残る行方不明者3人の発見に全力を挙げている。

 警視庁捜査1課と目白署は安全管理の実態について捜査を開始。工事の元請けの竹中土木や下請けの北立建設工業は「これだけの集中豪雨は予測できなかった」としているが、避難の判断などに問題がなかったか、関係者から事情を聴く。

 東京都下水道局によると、現場は雨水と汚水を1つの管で流す合流式下水道。流水は近くのせきで雨水と汚水に分けられ、雨水は神田川に、汚水は後楽ポンプ所に流れる。ポンプ所には、ごみを取り除く装置があり、流れてきたものが止まる構造という。

 
 
 
2008年8月6日 朝日 (Unknown)
2008-08-06 08:49:17
予測不能の「ゲリラ豪雨」 警報は事故の約50分後


 東京都豊島区内の下水道で作業員5人が流された事故。気象庁が東京23区に大雨洪水警報を出したのは、約50分後の5日午後0時33分ごろだった。今回の増水の原因は、いつ、どこで起こるか分からない短時間の局所的な「ゲリラ豪雨」。都市部の気温上昇がもたらすヒートアイランドの影響なども指摘されている。

 同庁の村中明・主任予報官によると、コンピューターを使って行う今の「数値予報」は、縦横100キロ程度の大気の動きを予測している。しかし、豪雨をもたらす積乱雲はせいぜい縦横10キロ程度。「さらに細かく予想すれば、計算に手間取り、予報として使えなくなる」と言う。

 同庁によると、1時間に80ミリ以上の猛烈な雨の年間発生回数は、76~87年が全国平均で千地点あたり10.3回。それが98~07年は18.5回になった。豪雨が増えるなか、技術的な予測限界をどう乗り越えるのかが問題だ。

 気象庁は23区の予報について、2010年度をめどに、今の「西部」「東部」より細かく、各区ごとの注意報、警報を出す方針でいる。そのためには、コンピューターで推計する「予報モデル」の改良や、気象ドップラーレーダーのデータ取り込みなどの精度を高めることが必要だ。

 一方、都の下水道工事の安全基準では、「大雨、洪水、暴風警報が発令された場合はすべての工事を中止しなければならない」としている。しかし、今回は警報は出ておらず、都の基準では事故は防げなかったことになる。

 04年10月、東京・赤坂で建設中の下水道に大量の雨水が流れ込み、下水道内で作業していた男性1人が水死した事故を反省に作られた基準だ。

 しかし、今回の事故は、大雨注意報が出てからわずか5分後に起きてしまった。

 23区の下水道の総延長は約1万6千キロ。都は99年度から老朽化した下水道の改修を進め、昨年度末までに約15キロを終え、現在は13カ所で工事をしている。

 想定を超えた今回の事故で、都は作業員の安全を確保するため、新たな豪雨対策を迫られることになった。

 京都大学防災研究所の戸田圭一教授(都市水害)は「水害の規模や様相が従来と違ってきている。雨の予兆があれば川に近づかない、下水道も作業を早めに切り上げるなど、安全の意識を高めていくべきだ」と語った。

 
 
 
竹中康一社長は5日夜、同社で記者会見 (Unknown)
2008-08-06 08:50:46
「大変申し訳ない」請負業者会見=安全管理の問題は否定
-東京・江東 東京都豊島区のマンホールで下水道工事中の男性作業員5人が流された事故を受け、請負業者の竹中土木(江東区)の竹中康一社長は5日夜、同社で記者会見し、「被災者とご家族の方に大変申し訳なく思っている。亡くなった方のご冥福を心よりお祈り申し上げる」と話し、頭を下げた。
 一方、安全管理上の問題について、同席した岡田一孝技術生産本部長は「ない。短時間にこれだけの雨量は予測できなかった」と強い口調で否定した。
2008/08/05
 
 
 
スポニチ (Unknown)
2008-08-06 08:52:29
関東豪雨 マンホールで5人流される

5人が流された現場付近に到着しマンホール内部をのぞき込む救急隊員ら
Photo By 共同
 関東各地が局地的豪雨に見舞われた5日、東京都豊島区雑司が谷の下水道工事中のマンホール内で午前11時40分頃、作業員5人が流された。警視庁目白署によると、うち1人が現場から約3・5キロ離れた文京区の神田川で見つかったが、搬送先の病院で死亡。ほか4人の捜索を続けていた東京消防庁は同日夜に、近くのポンプ所の水中で不明の作業員とみられる男性1人を発見、死亡が確認された。同庁は引き続き捜索を続けている。

 地上にいた作業員が「大丈夫か」と叫んだ。マンホールに向かって流された作業員らの名前を呼ぶが、5人からの返事はなかった。

 流された5人らが作業していたマンホール内の下水道管は、地下約3メートルにあり、幅約2メートル、高さ約1・6メートルの長方形の断面。老朽化した下水道管の内側にプラスチック樹脂などを張る工事をしていたという。

 作業開始の午前9時頃は足首ほどの水位しかなく、ひざの高さまで増水すれば工事を中止することになっていた。地上に監督役が2人、マンホール内に作業員6人がいた。午前11時40分頃、突然空が真っ暗になり、雷とともに強い雨が降り始めた。地上の監督役2人が「上がってこい」と6人に声を掛けた直後、水位が急上昇。ひざ下約30センチだった水量が、わずか10分間で腰の周辺まで急激に増え、鉄砲水のような勢いの濁流が6人をのみこんだ。うち1人は別のマンホールから自力で脱出した。

 工事は竹中土木が請け負い、北立建設工業(東京都千代田区)の作業員らが作業していた。死亡したのは同社の現場監督者大島浩さん(49)=埼玉県三郷市。不明の4人は、同社の下請けで橘技建工業(足立区)に勤める埼玉県草加市、浜田彰さん(29)ら。その後の捜索で東京消防庁は同日夜、文京区のポンプ所の水中に沈んでいる不明の作業員とみられる男性を発見。死亡が確認された。身元確認を急いでいる。

 下水道局の出先事務所によると、脱出した作業員は「作業を中断して1人ずつ地上に避難しようとしている際に流された」と話している。

 都の規定では、下水道工事は気象庁が大雨洪水警報を出した時点で作業を中止しなければならない。今回は午後0時33分に東京23区で大雨洪水警報を発令。正午すぎからの1時間で、現場から約1・5キロの距離の豊島区南大塚で66ミリの雨量を観測した。注意報は午前11時35分には出ていたが、北立建設工業の足立敬吾総務部長は「局地的な集中豪雨だったので、予測しきれなかった」と無念そうな表情で話した。

 ≪社長「大変申し訳ない」≫都下水道局から工事を請け負った竹中土木(江東区)の竹中康一社長らは5日夜、同社で記者会見し「重大な事故が発生したことについて、被災者とご家族の方々に対して大変申し訳なく思っている」と謝罪した。岡田一孝技術・生産本部長は「短時間でこれだけの雨量というのはとても想像できなかった」と繰り返し、突発的な豪雨が予測不能だったことを強調した。

2008年08月06
 
 
 
2008年8月5日 読売新聞 (Unknown)
2008-08-06 10:24:05
大雨で下水道増水、5人流され不明…東京・豊島区

2008年8月5日 読売新聞

抜粋

 都下水道局などによると、この工事は「竹中土木」(江東区)が請け負い、作業員6人は同日午前からマンホール内に入って、老朽化したコンクリート製の下水道管(幅約2メートル、高さ約1・5メートル)の内側に塩化ビニール樹脂を張る作業をしていた。下水道管の内部に歩道などはなく、雨水と汚水が流れ込む構造になっており、集中豪雨などに見舞われた場合、水量が急激に増える危険があるという。

 同局のホームページによると、現場付近では、事故の約30分前から猛烈な雨が降っていた。

 都によると、この工事は2007年12月に始まった。都下水道局基幹施設再構築事務所には、5日午後0時20分ごろ、「急激な増水により、作業員が地上に上がるのが遅れ、下水の中に流された」との連絡が竹中土木から入った。

 竹中土木の下請けで工事を担当していた「北立建設工業」(東京都千代田区)の広報担当者によると、流されたのは、同社の作業員1人と、さらに孫請けで入っていた都内の会社の作業員4人。

 東京都心では、5日朝から大気の状態が不安定で、気象庁は同日午後0時33分に23区に大雨洪水警報を発令。豊島区周辺では、積乱雲が次々と発生し、1時間に60ミリの非常に激しい雨が降る恐れがあるとして、低地の浸水や河川の増水に警戒を呼びかけていた。

 都によると、下水道改修工事では、気象庁が雨などに関する警報を出した時点で、工事を中止する規定になっている。今回は、警報は事故が起きた後だった
 
 
 
Unknown (Unknown)
2008-08-06 19:18:58
東京・豊島区で下水道工事の作業員5人が流される 1人死亡、ポンプ所で新たに遺体発見(08/06 00:19)FNN

東京・豊島区のマンホールの中で、下水道工事をしていた作業員5人が流され、1人が死亡し、4人が行方不明になっている。
また、突然の激しい雨で、そのほかにも各地で被害が出ている。
5日午前11時40分ごろ、東京・豊島区雑司が谷で、下水道工事の作業員を濁流が襲った。
事故当時、9人の作業員がおり、そのうち6人がマンホール内で作業をしていて、1人は自力で脱出したが、5人が流された。
現場付近の人は「すごい雨だった。バケツをひっくり返したような雨で。窓の外から、人の叫ぶ声が聞こえるんですね。で、何か尋常じゃない感じの声だなと思いまして。マンホールの中に人が頭を突っ込んで、一生懸命に叫んでいた」と話した。
事故現場を通る下水は、増水の際には、大半の水が神田川へ流される。
そこから下った直線距離3kmの地点で、大島 浩さん(49)が発見されたが死亡が確認され、不明の4人の安否が気遣われていた。
その後、現場近くの下水道ポンプ所で新たに遺体が発見され、確認を急いでいる。
東京消防庁は「人のようなものが見えるという状況で、119番通報がありました」、「はっきりと人だとわかるような、腕が見える状況です」と話した。
事故現場付近の下水管は幅2メートル、高さ1.5メートルで、午前9時に作業を開始したが、午前11時半ごろから雨が降り出し、10分後には大粒になった。
そのため、地上に上がるよう指示が出たが、水位は一気に腰あたりまで上がり、流されてしまったという。
事故発生直前の正午ごろ、現場付近で観測されたのは、1時間に66mmもの雨量だった。
現場の安全管理について、都下水道局は「1時間に50mmの雨量の際には、(水深が)60cmから90cmになる計算になっております。水深が30cmに達した場合には、作業中止と判断します」と話した。
しかし、警視庁の調べに、監視員は「作業開始時にひざ下30cmほどの水位があった」と話していたという。
現場の判断は正しかったのか、元請けの竹中土木は「注意報発令や警報発令だとか、事前情報があればリアルタイムにやりますが、(突発的な豪雨を)作業責任者が理解していたかは、確認できていない」と話した。
局地的な豪雨により、各地でも被害が相次ぎ、道路上をまるで川のように雨水が流れ、せき止めようとする人の姿もあった。
床上床下浸水は都内で30件、千葉県内で10件発生し、すでに復旧したものの、停電などが起こる事態となった。
関東地方を襲った雨雲は、弱まってきているものの、大雨や落雷などへの警戒が必要となる。
 
 
 
Unknown (Unknown)
2008-08-11 00:17:56
孫請けの橘技建工業(足立区)は6日、下水管内にいた作業員6人が、近くの上流側のマンホールから避難を試みたものの、水の流れが急すぎたため、下流側に引き返しているうちに流されたことを明らかにした。


 橘技建工業の橘英二社長が、自力で脱出した同社作業員の男性(25)から聞いた話によると、事故直前、下水管内にいた作業員は、地上の作業員から「遠くの空模様がおかしい」「近くで小雨が降り始めた」と2度にわたって天候の変化を知らせる連絡を受けた後、「本降りになったので下水管内から退避するように」と、作業中断を指示されたという。

 下水管内で作業する際、避難経路として作業現場に近い上流と下流の2か所のマンホールのふたを開けた状態にしているという。退避指示を受けた6人は、いったん作業場所から近い上流側のマンホールに向かったが、下水の流れが予想以上に激しく、下流側のマンホールから逃げようとして途中で濁流に巻き込まれたという。二つのマンホール間は約80メートルだった。

 警視庁幹部によると、脱出した男性は「地上から『上がれ』という声がした後、すぐに水の流れが激しくなり、水かさは一気に腰ぐらいまで増えた」と説明している。この男性は下水に流されながら、下流側のマンホールに下ろされた縄ばしごをつかみ、地上に逃げ出したという。

 同庁は6日午前、作業員が流された現場付近の下水管内の検証を実施する一方、東京消防庁とともに、増水時に下水が放出される神田川などで、依然行方不明の3人の捜索を行っている。

(2008年8月6日 読売新聞)
 
 
 
Unknown (Unknown)
2008-08-11 00:21:05
地上にいた作業員たちは、縄ばしごを投げ降ろすなど懸命に救出を試み、仲間の名前を呼び続けた。

 現場の前にある生花店を経営する鈴木英男さん(63)は5日午前11時すぎ、雨がパラパラと降り出したため、地上にいた作業員がマンホールのふたを開け、「雨が降ってきたので気を付けろ」と呼びかけているのを聞いていた。

 しばらくすると突然辺りが暗くなり、雨が雷とともに激しく降り始めた。地上の作業員は、何度もマンホールのふたを開けて「大丈夫か」と大声で叫び続けており、それでも応答はまったくない様子だった。ずぶぬれになった作業員が下半身の衣服が脱げた状態で自力ではい上がってきたのは、それから約10分後。この作業員は「まだ中にもいる」と仲間に伝えていたという。

 現場のマンホール前にある接骨院のスタッフの男性(27)は、大雨が降り出して間もなく、下水道工事の作業員たちが、マンホールの中に向かって、叫ぶように名前を呼び続けているのを聞いた。

 しかし中からは反応はなく、外に出てみると、3~4人の作業員がなすすべもなくマンホールの中を見下ろしている状況だった。

 現場では最近、下水道工事が続いていて、この日も朝から工事が行われていた。事故が起きたマンホールのある場所は、なだらかな下り坂と下り坂が重なるくぼ地の部分で、周囲に比べ一番低くなっており、周囲の道路からマンホールに大量の水が川のように流れ込んでいた。男性は「突然、滝のように雨が降り出したので、作業員は逃げる間もなかったのではないか」と心配そうに語った。

 作業員らが作業をしていたと見られるマンホールの周りには、下水道の作業中を示す看板が立てられ、警察官が警戒にあたっていた。消防隊員らはウエットスーツを着て、隣接するマンホールを開け、流された作業員を捜していた。

 現場近くのクリーニング店経営荒木俊明さん(61)は「昼前から土砂降りになってきて、危ないと思っていた」と語る。付近では、今年1月ごろから下水道管を補強する工事が行われており、この日は2か所で朝から作業をしていたという。

 近くの食料品店の従業員の女性(59)は「正午ごろから、雷と雨がひどかった。しばらくして作業員数人がマンホールのフタを開け、縄ばしごを投げていた。何が起きたか分からない」と話した。

(2008年8月5日 読売新聞)
 
 
 
東京・雑司が谷の下水工事事故:気象情報の自動受信装置、備えず (Unknown)
2008-08-11 00:22:37
 東京都豊島区で作業員5人が流された事故で、工事の際に気象情報を把握していなければならない請負業者が情報を自動的に受信できるシステムを備えていなかったことが6日、都の調査で分かった。都下水道局の小川健一計画調整部長は「業者側に自動配信システムの配備を義務づけていないが、義務化を含め検討したい」と述べた。【市川明代】

毎日新聞 2008年8月7日 東京朝刊

 
 
 
2008/08/11 (Unknown)
2008-08-12 08:51:14
東京都豊島区の下水道工事で全員の死亡を確認、当日は管の曲線部を手作業で
2008/08/11

 
 東京都豊島区雑司ヶ谷で8月5日に発生した下水道工事の事故で、増水によって流された作業員5人全員の死亡が8日までに確認された。流された作業員のうち、2人は神田川で、3人は後楽ポンプ所でそれぞれ見つかった。

 これら2カ所は、いずれも工事をしていた下水道の下流に位置する。神田川には増水した際に下水の一部を川に放流する放水口があり、後楽ポンプ所には下水をくみ上げる施設がある。下水をくみ上げるのは、下水を高い位置にくみ上げ、別の下水道で自然流下させるため。

 同工事の元請け会社である竹中土木によると事故当日、現場には下請け会社の北立建設工業(千代田区)と孫請け会社の橘技建工業(足立区)の作業員が8人いた。このうち、6人が地下の下水道管に入り、2人が連絡など工事の支援のために地上に残った。竹中土木の現場代理人と補佐役の社員も地上で工事を監督していた。

 工事は東京都が発注した雑司ヶ谷幹線再構築工事で、「SPR工法」によって下水道管を補強する。専用の機械を使って塩ビ系パネルを管の内側に張り付け、パネルの裏を裏込めして補強する。

 事故があった当日は、下水道管の曲線部分を施工していた。曲がった壁面では塩ビ系パネルが追従しきれないので、曲線部分だけFRPを使った補強方法に切り替える施工計画になっていた。機械を使って施工するSPR工法とは異なり手作業で施工していた。機械を用いた施工と作業員の数は同じだという。
 
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